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130唯一の我儘
幼い頃からの夢。
レオは物心つく頃から公爵家の長男という自覚を持ち、国の為、主の為に生きるのだと言ってた。
出会った頃に夢を話してくれた。
大人になったら主の為に生涯尽くしたいと。
「夢を諦めるの?」
「いいや、叶えるんだ」
「だったら!」
「私の願いは唯一忠誠を誓った主に一生お仕えし支えることだ。国を思う気持ちはあれど王族に忠誠を誓ったつもりはない」
「え?」
それはどういう意味?
「私が唯一の主として慕うのは国王陛下ではない。リシウス様だ。あの方は既に王位継承権の返上をされることを決めておられる」
「そんな…」
確かにそういう話は聞いていた。
数日前に王位継承権を返上するという話が出ていたけど。
でも、あまりにも早すぎる。
それにまだ幼いセシル様にすぐにでも立太子していただくなんて無理がある。
だって、少し前にグレゴリー様の件があって何も解決していない。
「表向きは、王族がしでかしたことだ。これまで血筋を優先してたことが問題だとおおせだ」
「表向き…」
「血筋重視ではなく、真に相応しいものを厳選すべきだと訴えられ。私の元に書状が来ている」
そうなると、リシウス様は今年中に王族籍から除籍をするだろう。
本来ならば時間がかかるけど、あの方は恐ろしい程に優秀で用意周到だろう。
「しばらくはセシルド様の後見役と、後ろ盾を作るべく動かれるだろうが…」
「そうなったら…」
「伯爵以上の爵位は不要だ。両親も納得してくださるだろう」
反対はしないだろうと思う。
だってあのお二人は、地位や名誉にあまり執着がない。
国を守る為であるならばと、許してくださる。
でも、それでもはいそうですかと言えなかった。
「君はすべてが終われば消えるつもりだろう」
「何で…」
「ずっと見て来たんだ。分からないわけない…私の元を離れて表舞台から完全に姿を消す方法を考えていたのだろう」
私は馬鹿だ。
レオナルド・ベルシュタインを侮り過ぎた。
私の考えなんて既にお見通しだったんだ。
「あの事件から君は何処か、思いつめている。自分に容赦が無くなった…」
「気づいていたの」
「私だけじゃない。エリザベートや侍女達も」
皆、知っていた?
なのに私に何も言わなかったの?
「彼女達を責めないでくれ。君の気持を尊重しての事だ」
私の我儘を許してくれた。
なのに、私は…
「だから私の唯一の我儘を聞いてくれ」
一番好きな人の我儘を聞けないでいたなんて。
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