乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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138消えゆく加護①





疫病の打開策として、魔力の強い宮廷魔導士達が派遣されて二週間。
病をい日でも早く鎮静させるべく計画された救助隊は、思った以上に救援に難航していた。


「クソっ…感染者が増えた」

「こっちもだ…瘴気は浄化できない!」

「とにかく森を燃やせ!」

疫病は悪化の一途を辿った。
最初こそは単純だと思い込んでいた宮廷魔導士や宮廷師団は早三日で難航した。


まず初めに、疫病というものを知っていても現場を知らなかった。
魔術師の中には医師の資格を持ったものはいても、そういった輩は戦場で負傷した患者を診た経験は皆無で、綺麗な設備で整った環境で小奇麗な治癒を行うことはあれど、疫病が酷くなった場。

しかもテントが張られる程度の場で治癒することは初めてだった。


「気持ち悪い…眩暈が」

「クソっ、まるで効いていないじゃないか!」


長時間精神的ストレスを受けるだけではなく、患者に回復魔法を施しても回復には至らない。
その所為で患者のいら立ちは高まる。

「おい!何やってんだ!」

「お前らそれでも魔導士かよ!ぐふっ!」


どんな治癒をしても効果がなく、患者は暴言を吐く。

そうなれば治療をする側も黙っていることはできない。

「ふざけんな!俺達が治癒してやってんのに!」

「誰のおかげで生きていると思ってんだ!この死にぞこないが!」

「そんなに嫌ならくたばれよ!国の屑がぁ!」



普段から他者に尊敬の眼差しを向けられ感謝されて来た彼らにとって、こんな酷い場所に派遣されるだけでも屈辱なのに、患者に暴言を吐かれるなど耐えがたかった。


その不満は悪化し、自尊心を傷つけられてしまったことから言ってはいけないことを口にしてしまう。


「お前達なんて死ねばいいんだ」

「おっ…おい」


他の魔術師が言い過ぎだと止めようとするも…


「何で俺がこんな死にぞこないの屑の為に高貴な魔力をつかってやらなきゃなんねぇんだ!だったらお前ら死ねよ!消えろよ!くたばれよ!」


必死に疫病と戦う患者に対して魔術師は感情に任せてその言葉を放った瞬間。


「ぎゃあああ!」


「えっ…」


治癒を受けていた患者は黒い炎に燃やされてしまう。


「おい!何してんだ!」


患者は悲鳴を上げ炎は勢いを増し、隣に寝かされている患者に移り、事態は最悪の状態になる。


「いやぁぁぁ!お父さん!」

「なんてことを…人殺しよ!あの男は死神よ!」

「疫病に苦しんでいる患者を殺したわ…」


目の当たりにした村の住人は悲鳴を上げて、魔術師達を非難した。
父親を燃やされた娘は悲鳴を上げ、夫を燃やされた妻は泣き叫んでいた。


救うはずの人間にとどめを刺すような真似をした魔術師達に村人は憎悪の感情を向けたのだ。



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