乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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140治癒の条件



少女に雷が襲い掛かろうとした刹那。


強い光が放たれた。

「なっ…何だ!」

「これは結界魔術?だが…」

強い銀の光が少女を守り、雷を弾く。
通常の結界魔術と異なっており、魔術者達は驚きを隠せなかった。


しかし、少女を囲んだ結界から魔法陣が浮かび上がり、それを見た魔術師は憎悪の表情をした。


「忌々しい魔法陣…最弱の魔導士の紋章だと!」


他の結界魔術は紋章が浮かぶことはない。
だが、リネットが使う結界魔術師は特殊で魔法陣と一緒に家紋の紋章が刻まれていたのだ。


「リネット様だ!」


少女は空を見上げ安堵した表情になる。

「遠くからリネット様が守ってくださったんだ」


少女にとっては怖い思いをさせられた魔術師から優しい光で守ってくれたリネットはヒーロだった。


「あの結界は…」

「白の魔女様の魔術だ」

少女を守った結界により、村人は歓喜の声を上げた。
かつてこの村が魔物に襲われ絶対絶命の時も忽然と現れたリネットはあの時も光の結界を敷き障壁を作り出したのだ。


「傷が…火傷が癒えてる」

結界に囲まれた少女は瘴気の影響で火傷を負っていたが、傷は癒えていた。


「リネット様、ありがとうございます」

涙を拭きながら少女は心からお礼を告げ祈りを捧げた。


その光景が魔術師達を更に追い詰めることとなる。


「どうしてリネット様が追放されたんだ」

「ずっと俺達に親切にしてくださったのはあの方だった」

「今回だってリネット様が来てくだされば…」


戦場の天使とまで言われたリネットは彼らにとって救いだった。
風の噂で宮廷魔導士を解雇になり、国外追放の身になった事を聞かされた時は絶望した。


これまで国の為に尽くしてきた心ある貴族令嬢。
病や怪我を負った民の治療に尽くしてくれたのはリネットだけだった。

今回、代理で派遣された魔術師達には期待をしていなかった。
案の定、治癒魔法は乱暴で、治癒を受ける側は強すぎる魔力により拒否反応を起こしたり、無理な治癒で怪我が悪化もしていたのだ。


対するリネットは患者に治癒をする時は怪我の状況を見ながら行っていた。
不安を抱く患者には励ましの声と、手を握り優しく語りかけていた。


治癒魔術は、ただの癒しの魔術ではない。
術者が患者の心に語り掛け、術を受ける側が心を開いていないと効果は半減するのだ。


医師と患者の信頼関係が無くてはいけないのと同じだった。


そんなことすら王都から派遣された魔術師は忘れていたのだ。



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