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143精霊の宣言
全知全能なる精霊が目の前にいると、村人は頭を下げた。
寝たきりの病人も手を合わせて敬う態度を取るばかりだった。
それだけ、一般人にとって精霊の存在は絶対だった。
「現在この国は慈悲深き白の魔導士を冤罪により暴行を加えただけでなく地位を剥奪し、国外に追放という下種の極みを行った!」
「何ですって…」
「王族の怒りを買って国外に追放だれたことは聞いたが…」
ざわめく村人にさらに続ける。
「悪徳貴族達が彼女の功績を妬んだゆえだ。婚約者は公爵家の嫡男だ。あの者は白の魔導士が幼少期の頃より心身ともに支え合いを育んだものだ…だが周りは彼女が高位貴族に見初められたことを妬んだのだ!」
精霊の言葉に村人は絶句した。
これまで無償の慈悲で国を民を守って来たのはリネットであると知っていたからだ。
「これまで誰が泥だらけになって戦場を走り回り傷を癒した!誰が国の為に結界を敷いた!その対価も与えられず、王都では無能な魔導士として十年間虐げられたか!」
一度だって恨まなかったリネット。
辺境地の民は、リネットの事情は詳しく知らなかった。
だが、魔術師の多くはリネットを毛嫌いしているのは知っていた。
治癒の報酬は、宮廷魔導士達に支払っていたが、リネットの装いはとても質素だった。
その反対に他の魔術師達はローブに宝石をあしらい、豪華な装いで戦場にも出るのだ。
食事だって豪華だった。
対するリネットの食事はどうだろうかと思い出す。
「私は最後に彼女から願いを受けた。彼女の魔力すべてを我ら精霊に返上すると…それは彼女がすべての魔力を失う意味だ!」
「そんな!」
「そんなことをしたら白の魔女様の御身はどうなるんだ!」
「そうだ!ご自分の身が危ないじゃないか!」
村人は今後、治癒に来て欲しいからとは思わなかった。
魔力を失っ後を思って危惧したのだ。
魔力が元から無いならまだしも、元は魔導士でもあるリネットがすべての魔力を失えば今後後ろ指を指されて生きていく事になるのを恐れたのだ。
「酷い…酷すぎるよぉ!リネット様が可哀想…」
少女が涙目になる。
先ほど魔術師に雷の攻撃を受けそうになった少女は精霊に訴えた。
「精霊様…どうして王族はリネット様を虐めるのでしょうか。何も悪いことをしていないのに」
「これ!」
他の村人が止めに入るも精霊が手で制した。
「彼女が高潔だからだ。優しい人間は欲深い者に利用され、最後は邪魔になれば始末される。権力者とは愚かで自分勝手なのだ」
「じゃあ…リネット様は最後に殺されちゃうの?そんなのやだよ…」
我慢できず泣いてしまう少女に精霊は近づく。
「そうなることを防がねばならん。我が一族は彼女の心意気を認めておる…故にお前達に問う!白の魔女を救うために戦う覚悟があるか!」
それは王族に弓引く行為ができるかという覚悟を問われていた。
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