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158大罪人の一族①
セレスティア王国内で暴動が起きた。
その中心となる領地は王都からそう離れていないゲルツォーネ侯爵領地だった。
以前から傍若無人な態度の領主に、その娘は妃であることをいいことに身分が低い者に対して非人道的な真似を続けていたので領民からは嫌われていた。
権威が揺るぎなかったことで異論を唱えることはできなかったが、既に権威は失墜していた。
王宮内でも孤立し、居場所もない状況下だった。
鉱山は泥となり、銀行商では偽金を作った証拠がバンバン出てきてどうにもならない状態だったが、それに追い打ち毛をかける事件が起きた。
それは干ばつ問題だった。
国中で水不足になっていても何故かゲルツォーネ侯爵領だけは干ばつの影響は出ておらず、隣の領地が水不足問題が大きくなっていた。
それだけではなく、瘴気が隣の領地に流れてしまったのだ。
通常ならゲルツォーネ侯爵家にも瘴気が萬栄するのだが、風が瘴気を吹き飛ばし隣の領地に瘴気が流れたのだ。
一度や二度ならば偶然で済ませられるのだが、何度も続けば故意的ではないかと疑いを持ち始める。
しかもその風は精霊の力によるものだった。
雨に関しても王国内で日照りが続いている中、ゲルツォーネ領地だけ雨が降ることが怪しいのだ。
他の領地に降るはずの雨を自分の領地だけに降るように仕組んだのでは?と疑いを持つようになった。
隣国の貴族はかつてはゲルツォーネ侯爵とは親しい仲だったのだが、今回の件で関係は壊れてしまった。
「旦那様、玄関先に伯爵様がいらしております」
「知るか」
「ですが、今にも玄関をぶち破る勢いです。警備隊を引き連れておられます」
「何だと!」
まるで戦争を仕掛ける勢いだった。
ちらりと窓から外を見ると完全武装をした騎士達が塀の外を囲んでいる。
「何故…」
「その背後には民達が今にも暴動を起こしかねない状態です」
淡々と話す侍女長にいら立ちを感じるゲルツォーネ侯爵。
「貴様!何を冷静に…状況が分かっているのか!」
「はい、断頭台に立たされる直前と言うべきでしょうか…公開処刑前ですね」
「ふざけるな!」
まるで他人事の侍女長に逆切れをし、言い放つ。
「この出来損ないが!貴様は解雇だ!」
こんな時こそ打開策を考えるのが侍女長の務めだろうと言うが、既に侍女一人にどうこうできる問題ではなかった。
優秀な侍女長は深いため息をつきながら礼をしながら告げる。
「承知いたしました。長らくお世話になりました」
「は?」
あっさりとした物言いで、その場で侍女服を脱ぎ捨てトランクを片手に解雇を受け入れたのだった。
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