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165大罪人の一族⑦
子供にとって親に拒絶されること以上に辛いことはない。
生まれてこの方、愛されていると信じていたグレゴリーにとって、最愛の母からの残酷な言葉は受け入れがたいものだった。
「お前が出来損ないだから…加護もない役立たずだから!陛下の子を身籠れれば…」
耳を塞ぎながらヒステリックに叫ぶ。
グレゴリーが手を伸ばしても拒絶し、親として言ってはならない言葉を言い放つ。
「触るな!汚らわしい!」
「母上…」
「お前に母など呼ばれたくない!産んだ意味もない!」
二人のやり取りを見ていたサラサーテは哀れな表情を向けた。
「実の息子ですら道具…貴女自身も同じでしたものね?」
「何を…」
「貴女も父君の不義により生まれた子供…いわば同じですもの」
サラサーテの言葉にヴィネラーナは発狂した。
「違う!私は…」
「前侯爵夫人を毒殺して侯爵夫人の座を得た下町の女性…ですが、侯爵家の血を引いてはいない。だから身分に執着した…そして真っ当な心を持った殿方を踏みにじる行為を好んだ」
「違う…」
「これまで身分を使って妻のいる殿方を…幸福な家庭を持つ騎士や商人を情夫にした」
「…なんて悍ましい。母上…貴女は化け物ですか」
「グレゴリー!お前は誰に向かって…」
「お前は魔女よりも恐ろしい!吸血鬼だ…獲物の血を吸いつくす恐ろしい吸血鬼!化け物だ!」
少し前まで母を乞うていたのに仇のような目をして、詰る。
「俺は被害者だ!この女と国王の…聖女と名乗った女が俺を謀ったんだ!ならば…」
「グレゴリー!」
「黙れ!王子の俺を馴れ馴れしく名前で呼ぶな!貴様など母でもない!」
親子で口汚く罵り合いが繰り返される。
不幸な生い立ちに泣き寝入りする程可愛い性格でもない。
むしろ、自分こそが被害者だから守られるべきだと公言するグレゴリーに同情心の雫一滴すらなかった。
「似た者親子ですな」
「ああ…なんて醜いのだ」
「普通庇うんじゃないのか」
せめて片方が庇う姿勢を見せたのであれば騎士達の間に同情心を抱いただろう。
しかし、互いに自分の事ばかりだ。
グレゴリーに至ってはこれまでの罪を罪と思ってないのか、暴言を繰り返したのだ。
「公爵夫人!私は何の罪もないはずだ…エリザベートと再び婚約してやってもいい!婿に入って…」
何をどうしたらエリザベートと復縁する形になるのか。
その場にいる騎士でさえも剣に手をかけ今すぐにでも切りかかる勢いだった。
「我が公爵家に罪人を入れるわけには行きません。何より我が嫁を殺そうとしたのは誰です!」
「あれは俺が悪いいんじゃない!あの女が弱いから…」
グレゴリーが言葉を放った瞬間。
窓が開き風が舞い込む。
その風はナイフとなりグレゴリーを切り刻んだ。
「ぎゃあああ!」
風の精霊の裁きを受けることになるのだった。
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