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166大罪人の一族⑧
部屋に大量の血が流れる。
目の前で無残な姿になるグレゴリーを見て真っ青になるヴィネラーナ。
「うっ…痛い」
「娘の痛みはこの何倍もです。加護の苦しみはこの十倍ですわ」
冷めた目でもっと苦しめと言い放つ。
「加護を受けることは体の負担も大きい。そんなに加護が欲しいなら同じ痛みを感じてみてはどうですか?ヴィネラーナ妃…いいえ、大罪人ヴィネラーナ」
「この私に…無礼な!」
「神の末裔を侮辱したお前に言われたくないわ」
既に敬称をつける価値もなかった。
「最後の情けです。大人しく報復し、この場で血判状にサインをした後にリネットに詫びなさい。そうすれば塔に幽閉した後に島流しにして差し上げますわ」
「ふざけるな!あんな死にぞこないの小娘が…あの時…死ねばよかったのに!お前の娘と一緒に」
「なるほど…あの時娘が力を暴走させたのはお前の所為か」
サラサーテの顔つきが変わる。
「おかしいと思ったのです。いきなり加護が暴走するなんて…」
「もはや、話し合いは無意味だ」
その場に風が集まり、人の形になる。
「セフィール様」
「サラサーテよ。この人間は生きる資格もない。大罪人の中の罪人だ」
セフィールはずっとこのやり取りを見ていた。
その上で告げた。
「この女に一番相応しい罰を与えてやる」
「何を…きゃあああ!」
竜巻がヴィネラーナを襲う。
全身から力が抜け落ち、その場に倒れる。
「見るがよい」
目の前に大きな鏡が出される。
水鏡だった。
魔法を使い水を大きな鏡にするのだが、目の前に映ったのは醜い老婆だった。
「なっ…いやぁぁぁ!」
「貴様はこれからこの老婆の姿で生きるのだ…グライアイ姉妹顔負けだ」
「あら?グライアイ姉妹に失礼ですわ」
神話の時代から有名なグライアイ姉妹。
強欲恐ろしい老婆とも言われているが、そのグライアイ姉妹よりも醜いのだ。
「貴様の外見の時間を風で動かした。そしてその時間を止めた…そして寿命を延ばした。百年間その姿で人間界で生きるがいい」
「いや…こんな!」
「人間世界では異なる存在は排除対象だ」
「良かったではありませんか?今までお前がしてきたことをその身に受けるのですから」
「助けて…お願い」
涙目で訴えられても罪悪感を抱くこともない。
「そろそろ外の者達が強行突破をするだろう」
「分かりました。では私達は避難します」
「待て…保護しに来たのではないのか!」
最初こそは保護すると言っていたが、今ではその素振りはない。
「貴女の母君が拒否しましたので交渉決裂です」
「待ってくれ!俺は…」
「それからもう一つ。娘はリシウス様と婚約をしました。次期公爵はリシウス様になられるでしょう。息子は跡継ぎの座を妹に譲ることを決めています」
「そんな!」
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もしあの時、リネットに手を出さなければ。
シャルロットの手を取らなければと思わずいられない。
「私はシャルロットに…そうだ!あの女は」
「彼女は被害者だと言っております。実際直接手を下していません」
責任をシャルロットに着せようとするも、直接手を下していないので罪に問われないと告げられその場に倒れ込む。
風のナイフで切り刻まれ血を流し過ぎたこともあり立ち上がれずにいた。
そのタイミングで石が投げられる。
「後はお好きにどうぞ」
そう言い残してサラサーテは去って行く。
部屋からは民衆の声と二人の悲鳴が木霊していた。
その後に二人は民衆に暴行を受け、ボロボロの状態で晒し者になった。
体には大罪人の紋章が刻まれてていた。
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