乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!

ユウ

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204幸福な結婚式





とても小さな教会だった。


「この教会は…」

「現在お国事情もありますので広い教会はできません」


鏡に映る私は純白のウェディングドレスに身を包んでいた。
しかも絹のドレスで、ドレスには銀刺繍が施され、ヴェールには真珠があしらわれていた。


「君達の結婚式が台無しにされただろう?ならばここで行うことにした…君のご両親が上げたこの教会で」

「え…」


黒の魔導士様の言葉に驚く。


「間に合って良かった」

「お爺ちゃん!」


「急いでドワーフ族に連絡をいたしました」


隣にはノームのおじいちゃんが何故かスーツを着ている。


「帝国での騒ぎの後急いで連絡を取りました。すべてが終わった時に結婚式を挙げる為に」

「そうだったんですか…」


私が知らない所で皆がこんな…


「リネット。手を」

「はい」


最初の結婚式は私の所為で白紙になった。

でもこんな素敵な結婚式を挙げられるなんて。




「通常の挙式とは異なりますが…この日を迎えることが出来て嬉しく思います」

「猊下…」


私達の結婚式には十分すぎる。
小さな教会で親しい人に心から祝福を受けて神様の間で誓いをする。



「リネット。これが私達にとって一番の挙式だ」

「うん」


手を握られ、ゆっくりと歩く。
傍には両親はいないけど、見守ってくれているはずだ。


「あれ?進まないんだけど」

「何だ?」

歩こうと一歩踏み出すもウェディングドレスの裾が引っかかって動けない。


『この蛇が!私が真ん中をガブガブするのです!』

『これは私の!』



後ろでくだらない争いをする二匹。


「何をしているんだ。どっちでもいいだろ」

『馬鹿ですか!この役目は私の特権です!仕方なくちょっとだけ譲ってやっているだけです』


二匹が騒ぐ中布が裂ける音が聞こえた。


「ああ!」


「何をしている!」


足元まであるヴェールの裾も破れ、ウエディングドレスの裾も派手に敗れビリビリと音がした瞬間。



「何所の世界に膝の見える花嫁がいるんだ」

「ご愛好と言うことにしましょう…お兄様、ドレスの弁償代は頑張ってください」

「何だと!ちょっと待て…王家の紋章が入っていないか」



良き見ると王族だけが身に着けることができるドレスだ。
しかも王妃、もしくは王太子妃となった高位な女性が着る品じゃないか。


「陛下に脅迫して…いいえ、お願いしましたの」

「ああ、快く泣きながら貸してくれた」


脅迫されて怖くて泣いて貸してくださったんじゃないか!


「新婚早々借金とは嘆かわしい」


「兄上、そのような言い方は…」


「まぁ、地道に働いて返すしかないだろう」

「叔父上」



似てないと思いきや思いっきり阿吽の呼吸が合うな。この叔父と甥。



「前々から運がないと思ったが…続く不運な男め」

「この結婚を反対した方がよかったかのぉ?」


こっそり援護射撃をするお爺ちゃんズ。
本当にやめて欲しいんだけど!


てんやわんやな結婚式。

でもこれが私達にお似合いかもしれない。


「貧乏だけど、なんとかなるよね」

「そうだな…」


手を握り、私達の幸福な明日はきっと明るいはずだ。


だって大好きな人がいるんだから!
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みんなの感想(116件)

綾瀬海斗
2026.03.07 綾瀬海斗
ネタバレ含む
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四葩(よひら)
2026.01.27 四葩(よひら)
ネタバレ含む
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四葩(よひら)
2026.01.27 四葩(よひら)
ネタバレ含む
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