あの日見た空を忘れない

karin

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プロローグ

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「おい、もうええじゃろ…ぼちぼち抜けぇや」
「はぁ? お前だけが気持ち良うなったらええんか? 次は俺の番じゃろうが。もうちぃと付き合うてくれぇや」
「バカか、もう散々したろうが。暑いんじゃって」

のし掛かってくる男が身動ぎするたびに、ボトボトと滝のように汗が降り注いでくる。
体の中も外も、熱くて暑くて堪らない。

「ほんまに、ちょっともう勘弁…もう出るモンもなんも無いが」
「何言いよんな? お前体力落ちすぎじゃないんか、情けない。それともあれか? 俺とする前にどっかで悪さでもしてきたせいで、タンク空っぽなんか?」
「………こがいなオッサンと悪さしたがる物好きおらんわ。お前ぐらいよ、俺なんかに突っ込みたがるん。そもそもな、現役アスリートのお前とおんなじだけの体力求めるなや」

上の男がニヤリと口許を歪めれば、体の奥深くまで穿つ熱が更に容積を増す。
もうこれ以上は無理だ…とクールダウンを試みていた俺の体は、その圧迫感に再びゆらりと温度を上げ始めた。

「お前なぁ…何をまた大きいしよんな」
「あ? お前が俺の独占欲満たしてくれるけ、嬉しいなったんじゃろ」

どうにも抑えきれない欲が塊となり、捌け口を探して体内を駆け巡る。

───独り占めできる事を悦んでるのが、自分だけだと思うなよ?───

もう何年も前からだ。今のこの季節はコイツの為にある。
日本中の視線を、称賛を一身に浴びているというのに、コイツの目に映るのはあの頃と変わらず俺一人。それが実感できるのが本当は嬉しくて仕方ないのに、長過ぎる付き合いのせいでつい悪態を吐く。
それももはや、俺達の間ではデフォルトだ。

「たまには可愛い事でも言うてみいや」
「三十路過ぎた男の口から可愛い言葉聞きたいとか、お前もええ趣味しとるのぉ」

見つめ合い、穏やかに笑いながらも少しずつ俺を追い詰めるような動きは大きくなっていく。ただの欲とは違う快感の高まりに、俺は逞しい背中に夢中でしがみついた。

「はぁぁ…亮治…亮治…好き…好きっ…じゃ……」
「お、お前、それ反則っ……」

今更恥ずかしくて素直になれない俺の口からその言葉が出るのは、感極まったこの一瞬だけ。快感と幸福感に理性が飛ぶその瞬間に思わず口走るその言葉こそ、俺の積み重ねてきたコイツへの思いそのものだ。

苦しんでるのかと言いたくなるほど眉間の皺を深くすると、男は俺の奥深い所に先端を強く押し付けてくる。みっちりと内襞に包み込まれていた塊が一瞬にしてグググッと膨らみ、そしてパチンと弾けた。
その刹那、コイツ…亮治も、快感と他の感情がたっぷりと入り交じった切なげな顔を見せる。

この後にコイツから出てくる言葉は、いつも同じだ。
そして、返す俺の言葉も…

「なあ隆史…お前もええ加減に……」





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