あの日見た空を忘れない

karin

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エピローグ

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あれから干支が一回り。

亮治は、ルーキーイヤーにいきなりオールスターに選ばれた。さすがに先発とはいかなかったが初戦で2回を投げ、6連続三振なんて離れ業をやってのけた。
残念ながらその日はパ・リーグが負けたためMVPこそ逃したものの、当然優秀選手には選ばれ、そのお立ち台で『たかちゃ~ん、約束守ったよ~』と号泣したのは今でも語り種になっている。
入団以来12年連続で二桁勝利をあげ、今や誰もが認めるナンバーワンピッチャーだ。
人気、実力共球界随一と言われ、当然今年もファン投票ぶっちぎり1位でオールスターゲームの出場が決定した。

一方俺は膵臓癌で急逝した親父の跡を継ぎ、昔と変わらず丁寧な酒造りで人気の小さな酒造メーカーを守っている──杜氏頭と再婚した亮治のお母さんと、うちのお袋に支えてもらいながら。

「なあ…いい加減、一緒に暮らそうぜ」

大人になり、少し格好をつける事を覚えた亮治は、セックスの後に必ずこう言う。
いくつになってもこいつの目には俺しか映ってない事が堪らなく嬉しいけれど、俺はその言葉に頷いた事はない。

「バカ言うな。お前には大事な役目があろうが。俺にも俺の役目があるんで。お前がプロ辞めた時に……安心して帰ってこれる場所を、ちゃんと守っとかんにゃいけんじゃろ」

断るとわかっていても亮治は毎回同じ言葉を繰り返す。
きっと亮治も、俺が変わらずコイツの事だけを考えて生きていると実感したいんだろう。

「なあなあ、今年のオールスター、どこじゃ思う? なんと……甲子園なんで!」
「ほんまか!? ほしたらようやくリベンジじゃのぉ。バシッと決めてこいよ」

一頻り汗が引いたところで再び亮治が覆い被さってくる。体は悲鳴をあげているのに、俺は悦んでその重みを受け入れた。

ほぼ逢瀬の為だけに借りている、バカみたいに広いマンションのリビングで、冷房もつけないままで二人縺れる。
いつかのような夏の盛りではないのに、開け放たれた窓の外にはうんざりするほどの青空と──大きな入道雲が広がっていた。





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感想 2

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みんなの感想(2件)

花雨
2021.08.10 花雨

お気に入り登録しときますね♪

2021.08.11 karin

ありがとうございます

解除
黒月禊
2021.07.25 黒月禊

もう堪らなくて最高ですね!!幼馴染の青春と真っ直ぐに想いあってる二人が幸せそうで読んでるこちらまで幸せでニコニコしてしまいます。読みやすく野球を知らなくても大丈夫でした。周りの人も優しいし互いに信頼しあってる様子がとても伝わりました。執筆頑張ってください!!応援しております。

2021.07.25 karin

お言葉、ありがとうございます。
方言と野球とであれこれわかりにくい部分もあると思うのですが、きちんと伝わっているようで本当に良かった。

普段は大人同士の話を書く事が多く、初々しくも抑えられない強い思いを持っている幼馴染みカップルと言うのは自分でもとても新鮮です。
ますます真っ直ぐに、時にワチャワチャと二人の大切な時間を書いていきたいと思いますので、どうぞのんびりお付き合いください。

解除

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