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声劇用台本~鬼女~分割【下】終の物語(ラストストーリー)

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鬼女きじょ

登場人物 

(占)占竜せんりゅう
年代:40代イメージ
職業:占術師せんじゅつし(お祓い、祈祷もする占い師)

(和)佐藤和美さとうかずみ
20代前半イメージ
職業:OL 

(光)加藤光一かとうこういち
25歳くらいイメージ
居酒屋の店主になろうとしている、チャラ男系

(鬼)鬼女きじょ
若い女性イメージ…光一の居酒屋に住み着く鬼…怨みを持って死んだ女性が鬼になった。

(登)加藤登かとうのぼる
50代前半イメージ・光一の父親で建設会社社長

(久)加藤久恵かとうひさえ
40代後半イメージ・光一の母親・専業主婦

(雄)加藤和雄かとうかずお
70代後半イメージ・光一の祖父

(道)加藤道代かとうみちよ
70代前半イメージ・光一の祖父

(オ)近所のおばちゃん
噂話、野次馬大好き、40代後半イメージ

(幼鬼)登美子とみこ
鬼女の正体、小学校低学年の頃の年代

(母)登美子の母親
優しくも、娘の為なら命をかけるほどの愛を持っている



【開幕】

N〖登が二階に戻ると
占竜はぐったりと倒れていた…〗

登「占竜さん!」

N〖登は占竜に駆け寄りほほを叩くが反応がない…〗

登M「占竜さんまで魂をとられてしまったのか…」

N〖登は壁を睨みつけ鬼女に語りかける!〗

登「もういいだろう!
貴女あなたが苦しんだのは十分にわかった!
ちゃんと供養するから…
もうやめてくれぇ~!!!」

N〖登は土下座をしながら叫んでいる!〗

鬼「ヴエェェェエェェ…」

N〖女性の顔とは思えないモノが壁からでてきた…
髪が燃えているように真っ赤で…
頭には二本の角が生えている…
目からは黒い血を流し…
吐く息は悪臭あくしゅうを放っていた…〗

鬼「クルシ…ムガイ…イ…
ナキ…サケ…ブガイ…イ…
ワ…レガ…アジワッ…タ…
クルシ…ミ…
オマ…エ…ニ…モ…
アジア…ワセ…テ…
ヤロ…ウ…」

N〖登はくそぉ~っと叫び
占竜を引きずり一緒に逃げだそうとしていた…

それをあざ笑うかのように鬼女は登をつか
魂をえぐり出そうと胸に手を突っ込んだ!

その時っ!〗

光「父さんを離せぇ~‼‼」

N〖登は声のする方を見ると
光一が震えながら立っていた〗

登「光一!
何故戻ってきたぁ!
逃げろぉ~!
お前だけは生き残るんだぁ!」

N〖光一はくそぉ~!と叫び
占竜からかりていた念珠を鬼女に投げつけた!〗

パァーン!!!【念珠がはじけ飛ぶ音】

N〖投げつけた念珠が弾け飛び鬼女の体にめり込む!〗

鬼「ヴエェェエェェ!?」

N〖鬼女は登を離し苦しみもだえている!
怒り狂った鬼女は標的を光一にかえ、つかみかかった!
その時、まばゆい光が鬼女の体から飛び出し
鬼女の手をはじく!〗

雄「孫に手を出すなぁ!!!」

N〖念珠をその身受けたショックで
おじいさんの魂が解放され鬼女の攻撃を防いでいる!〗

鬼「コザカシイ…ワァ…」

N〖鬼女はニヤリと笑うと
おじいさんの魂を壁に叩きつけた!〗

占「ノウマク サンマンダ バザラダン センダ
マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カンマン!!!」

N〖鬼女の体が赤く燃え上がり苦しみだす!
それを見た登は
息を吹き返している占竜に気づいた…〗

登「占竜さん!」

N〖占竜は、淡々たんたん不動明王ふどうみょうおう真言しんごん
唱えていた…

占竜は鬼女が苦しんでいるのを見て水晶玉を取り出し
おじいさんの魂に近づけた…

魂は水晶玉へと吸い込まれる…
水晶をふところにしまうと占竜は息を切らしながら叫んだ!!〗

占「登さ…ん…
ひとまず逃げるぞ!…」

N〖占竜は登にそう伝えると
|真言を唱えながら家の外にむかった…

外に逃げ出した占竜達はその場に倒れ込む…

占竜は笑っていた…〗

占「登さん、光一、助かったよ…

光一が投げた念珠が俺とおじいさんの魂を
鬼女の体内から助け出してくれた…

魂を抜かれた時は…
流石にもうダメかと思いましたよ…
まさか鬼女とは…」

N〖占竜は登と光一に御礼を言いった…
登は震えながら笑っていた…〗

登「一旦いったんは怖くて逃げ出しましたけどね…」

占「息子さんを逃がす為でしょ?」

N〖占竜は大笑いした…〗

占「おっと忘れるところだった!
ヒトガタをだしてもらえますか?」

N〖占竜から言われて
登さんと光一は胸にしまっていたヒトガタをだし占竜に渡す…
白い紙で作っていたヒトガタが真っ黒になっている…〗

占「すさまじい邪気だな…」

N〖そう言うと占竜はヒトガタにライターで火をつけ
秘文ひもんを唱えてその場を清めた…
ヒトガタも燃え尽き占竜は二人を見てニッコリと笑う」

占「とりあえず…
おじいさんの魂だけは取り戻せたよ」

N〖そう言うと占竜はふところから水晶玉を取り出した…〗

占「水晶玉をおじいさんの胸にあててください…」

N〖占竜は水晶玉を登に渡す…
水晶を受け取った登は占竜にたずねた…〗

登「占竜さんはきてくれないのですか?」

占「自分は鬼女を調伏ちょうふくする為に
身を清めて準備をします…
とりあえず病院におくりますよ…」

N〖登はわかりましたと言うと
光一と一緒に占竜の車に乗り込んだ…

車の中で登が鬼女をやる時は必ず連れて行ってくださいと頼んできた…〗

占「もちろん、そのつもりですが
再戦は今日の夜中になります…
あまり間をおくと今残っている封印がとかれてしまう…
そうなると、まず、今の家の主…
光一がマズい…
でも今日はおじいさんの通夜つやになると思いますが…」

登「鬼女を放置して通夜にでていたら
親父に臆病者おくびょうものがぁって怒られてしまいますよ!
鬼女を倒して葬式の時に胸を張って親父を見送ります!」

N〖占竜はニッコリと笑いうなずいた…〗

占「わかりました…
では再戦まで壁を壊す道具を準備しておいてください…
それと、鬼女をなんとかする前に
あの店には絶対に近づかないように!
後はご飯を食べて睡眠を取り体力をつけていてください!」

N〖登はわかりましたと笑った
登と光一を病院に送り届けた時にはすっかり夜が明けていた…〗

占「朝日がまぶしいな…」

N〖占竜は身を清め精神集中の為に滝を目指す…

その頃、登と光一はお婆ちゃんと久恵さんに一部始終を話し
みんなで霊安室れいあんしつのおじいちゃんのところにむかった…

登は占竜に言われた通りに
水晶玉をお爺さんの胸につけると水晶玉が光り出し
お爺さんの胸に光が吸い込まれていく…

苦悶くもんの表情をしていたおじいちゃんは穏やかな表情になる…
それを見ていたお婆ちゃんはお爺さんに話しかける…〗

道「お帰りなさい…
今日はお通夜ですぐにお別れになるけど…
また会えて良かった…」

N〖お婆さんはおじいちゃんの手を握り締めて泣いた…
登はちょっと申し訳なさそうに久恵に話しかけた…〗

登「久恵、通夜と葬儀の方は頼むな…
俺は占竜さんとけりをつけに行くよ…
最後まで見届けたいんだ…」

久「はい、気をつけてくださいね」

N〖久恵は登に優しい笑顔を見せ
それ以上は追求しなかった…

その様子を見ていた光一が登に言った…〗

光「父さん俺も行くよ!」

登「ダメだ!
あんなに危険だとは思わなかったからな…
お前は通夜にでなさい…」

光「なんでだよ!
俺が行かなきゃみんな死んでいたんだぞ!
俺が借りた家のせいでこんなことになったんだ!
ケジメつけさせてくれよ!」

登「ふぅ…
わかった…
でも、危険と感じたら
今度は一人でも逃げろよ!」

N〖登は光一と約束して一緒に行くことを承諾しょうだくした…

色々ありすぎてみんな疲れ果てていたので
久恵がとったホテルに行き
食事をとってから、みんなで爆睡ばくすいした…



滝についた占竜は服を脱ぎ捨てフンドシ一枚になり滝の中へと入って行った…〗

占「我が身を清めたまえ…」

N〖占竜は滝にあたりながら気を高めていく…
一時間くらい滝を浴びた占竜は
自宅に車を走らせ鬼女調伏きじょちょうふくの準備にとりかかった…

準備が整った頃には23時になっていた…〗

占M「鬼女よ…
待っていろよ…
苦しみの因縁いんねんを断ち切ってやるからな…」

N〖占竜はそうつぶやくと、登と光一を迎えに車を走らせた…

葬儀社そうぎしゃに到着した時には、お通夜にきた人が沢山いた…
コッソリと携帯で登と光一を呼び出し車に乗せた…〗

占「さあ、気合いをいれてくださいよ!
今日でけりをつけます!」

登&光「はいっ!」

N〖車を発進させようとした占竜は
ふと、葬儀社の入り口を見ると
おばあちゃんと久恵が深々と頭を下げて
見送っているのがわかった…

占竜も頭を下げて、絶対に負けられないなと
再度気合いを入れ直した…


光一の自宅の前につき
二人に新しいヒトガタを渡し
光一には新しい念珠も渡した…


その後、占竜は家の外を周り
水晶玉に秘文ひもんを唱え、家の東西南北に設置した…

病院で結界を張る時に使用していた
何かが彫り込まれた水晶玉を…〗

占「では…
行くぞ!」

N〖占竜は大きなかばんを持ち
登と光一は大きな金槌かなづちを持って鬼女の待つ二階へと進んだ…

二階につくと、「ヴェェェエェ」っとうめき声が聞こえはじめた…

登と光一は大きな金槌をかまえて震えている!

占竜は鞄を開け
水晶玉を取り出し二階の中心に
立つと秘文ひぶんを唱えた…〗

占「太極たいきょく陰陽いんようとなり
陰陽いんよう五行ごぎょうとなる!

東方青龍とうほうせいりゅう
来臨守護急急如律令らいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう

南方朱雀なんぽうすざく
来臨守護急急如律令らいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう

中央黄龍ちゅうおうこうりゅう
来臨守護急急如律令らいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう

西方白虎せいほうびゃっこ
来臨守護急急如律令らいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう

北方玄武ほっぽうげんぶ
来臨守護急急如律令らいりんしゅごきゅうきゅうにょりつりょう


五神獣ごしんじゅうそろいて木火土金水もっかどこんすいの五行をしめす!

五行の神獣しんじゅうよ!

鬼女を封じ込めよ!」

N〖占竜が秘文ひぶんを唱え終わると手に持っていた水晶玉が光り出し
黄金色おうごんしょくの龍が現れ壁に向かって飛んでいった!

鬼女はたまらず壁からみにくき姿で現れた!

その瞬間、青き龍や、紅き鳥、白き虎に尻尾が蛇の亀が
鬼女の四方を取り囲む!〗

占「登さん、光一、今です!
鬼女がいる近くの壁を壊してください!
鬼女は動けません!」

N〖登と光一はあまりの出来事に唖然あぜんとして見ていたが
占竜の叫びにハッとし大きな金槌かなずちで壁を壊しはじめた!

鬼女は登や光一を攻撃しようとしているが
ことごとく神獣しんじゅうに邪魔をされて手が出せない!

そうこうしているうちに壁が壊れてドアが現れた!》

占「そのドアも叩き壊してください!」

N〖占竜の声を聞いた登と光一は汗だくになりながらドアを叩き壊した!〗

占「さあ、行きますよ!」

N〖占竜が叫ぶと隠された部屋の中へと入って行った…
占竜は部屋に入ると周りを見渡す…〗

占M「壁に護符が七枚…
天井からぶら下がっているおびは…
首を吊った時の帯がそのままか…
机に翡翠ひすい勾玉まがたま
勾玉に鬼女の封印をほどこしたのか?」

N〖占竜は勾玉に近づいた…〗


バシュッ!

N〖勾玉から鬼の手が出てきて占竜が持っていた水晶玉を叩き割った!〗

占「しっしまっ…」

N〖占竜が喋るより先に鬼の手が占竜の首を掴んだ!〗

占「ちぃ…」

N〖水晶玉を一つ壊され五行の神獣が消え去る…〗

占「まっマズい…」

N〖メキメキと占竜の首を締め上げる鬼女…〗

占M「おかしい!
鬼女はそこに…」

N〖今まで鬼女がいた場所を見ると
ニヤリと笑っている鬼女がいる…〗

占M〖何っ?
一体ではなかったのか?〗

N〖翡翠ひすいの勾玉から出てきた鬼女は…
さっきまで神獣しんじゅうが戦っていた鬼女よりも一回り大きく
より禍々まがまがしい…〗

占M〖本体はこっち?
では奴は…〗

鬼「ヴェェェエェ…」

N〖翡翠ひすい勾玉まがたまからでた鬼女は嬉しそうに語りかけてきた…

鬼「ワレガ…クライ…シ…
モノノ…シュウゴウタイ…ジャ…
イタブリ…クルシメ…クラッ…テ…ヤッタラ…
ワレト…オナジク…
ヒトヲ…ウラミシ…オニヘト…ナッタノジャ…」

N〖登と光一は
もう一体の鬼女に捕まってしまった…〗

鬼「ワレノ…フウイン…ヲ…
トイテクレタコト…
レイヲ…イウ…
マタ…タラフク…
ヒトヲ…
クロウテ…ヤロウ…」


鬼「ヴェェェエエェ」

N〖勝利の雄叫おたけびをあげる二体の鬼女…
登と光一は首を絞められ白目をむき、泡をふいている…〗

占M「くそぉ…
ここまでか…

いや…

ここで、あきらめる訳にはいかない!」

N〖占竜は鞄をとろうと手をのばしたが届かない…〗

占M「仕方ない…
うまく鳴ってくれよ…」

N〖占竜は足で思いっきり鞄をり飛ばした!〗


チリリ~ン!【鈴の音】

N〖鞄の中の金銅五鈷鈴こんどうごこれいが鳴り響いた!
鬼女達は鈴の音を聞くと
苦しみ占竜達を離した!〗

占M「しめたっ!」

N〖占竜は鬼女から離れて鞄の中の金銅五鈷鈴こんどうごこれい
を取り出し鳴らした!
鬼女達はヤメロォ~っともがき苦しんでいる!
光一の意識が戻り、後退あとずさりをしているのに気づいた占竜が叫ぶ!〗

占「光一ぃ~!
翡翠ひすい勾玉まがたまを叩き壊せぇ~!」

N〖光一はビクッとなり一瞬考えたが
大きな金槌を拾い上げると
そのまま翡翠ひすい勾玉まがたまに振り下ろした!〗

パキーン!

N〖翡翠《ひすい》の勾玉まがたまくだけ散った!〗

鬼「ヴェェェエエェ!」

鬼「バカナ…ニンゲンメ…
オカゲデ…フウインガ…
カンペキニ…トケタワァ…」

N〖鬼女達は言うが早いか
そのまま、光一には目もくれずに
占竜に襲いかかった!

光一は、えっ!?

俺は間違えたのかと
占竜を不安そうに見つめて叫んだ!〗

光「占竜さぁ~ん!」

N〖鬼女達は笑いながら占竜へとつかみかかる!〗



バシュ!


ゴトン…



鬼「ヴェェェエ…」

鬼「ギャアオァァア~!」

N〖占竜は鞄から出した桃剣ももけん
鬼女達の片腕かたうでを切り落とした!〗

占「封印はとけていいんだよ!
もとから封印するつもりは
サラサラないんだからな!」

N〖占竜は桃剣を鬼女達に向けて言い放つ!
鬼女達はたまらず逃げ出そうとするが
占竜はニヤリと笑うと鞄から水晶玉を取り出した…〗

占「悪いな…
神獣の水晶玉…
予備があるんだよっ!」

N〖そう言い放った瞬間に
神獣を降臨こうりんさせ
鬼女達を取り囲ませた!

鬼女達は神獣達に襲いかかったが
片腕かたうでの鬼女達に
神獣の結界けっかいはとても破れない!〗

占「…

あわれ…
うらみにまみれ…
鬼女に落ちし者達よ…

過去を思い出せ…

苦しい思い出だけではあるまいに…」

N〖占竜は鬼女達に語りかける…
鬼女達は…
そんな占竜をうらめしそうに…
にらんだ…〗

鬼「ヴェェェエ…」

鬼「ワレハ…ヒトヲ…
ノ…ロウ…
コノヨニ…
ヒトガ…
イルカギリ…」

N〖占竜は遠くを見て真言しんごんを唱えはじめた…〗

観世音菩薩かんぜおんぼさつよ…

大慈悲だいじひを持って…
あらゆる苦しみをやし
鬼女にちたる…
あわれなる者達を救いたまえ…

オン アロリキャ ソワカ…


鬼女達よ…

この世に生まれきた時…

両親は喜びの涙を流したはずだ…

幸せだった頃を思い出せ…

オン アロリキャ ソワカ…」


N〖真言の効果だろうか…
鬼女はどこか遠く見ているようだった…〗

鬼「ヴェェェエ…」

【鬼女過去回想】
※鬼女設定【小学生低学年の女の子(幼鬼)表記】




母「登美子とみこ~」

幼鬼「あっ!

お母さん♪」

母「早く帰っておいで~
晩御飯できたよ~」

幼鬼「はぁ~い!

母「登美子とみこ
大丈夫かい?
苦しいのかい?」

幼鬼「お母さん…

ゴホッゴホッ…

お母さんだしてぇ~!

苦しいよぉ~!

ここから出してぇ~!」


母「すぐに出してあげるから…
すぐに…

ゴホッゴホッ…」



N〖登美子とみこの母親は、
病気平癒びょうきへいゆを神々に祈願すべく、
|真冬にも関わらず、井戸の水をかぶり必死に祈った・・・〗

バシャ


母「神様…

登美子とみこを救ってください…

我が身がどうなろうと構いません…


バシャ

私の…

命を代わりに…

捧げます…

何卒なにとぞ

登美子とみこを…

救ってください…

バシャ


お願いです…

神様…


かみさ…ま…」




幼鬼「お母さぁ~ん…

お母さぁ~ん…

どこにいるのぉ~

苦しいよぉ…

お母さん…


側に来てよ…

苦しいよ…

寂しいよ…

お母さん…」


N〖遠くを見ている鬼女に…
再び占竜は語りかけた…〗


占「鬼女よ…

登美子とみこよ…

母親はお前を救うため…

毎晩…

極寒ごっかんの中…

水をかぶり…
 
登美子とみこ病気平癒びょうきへいゆを祈願していたんだ…

その祈願きがんかなわず…

母親もやまいになり…

お前を残して先にったんだ…

お前を閉じ込めたくて
閉じ込めたのではない!!!!!!!

疫病えきびょうを食い止める為…

村の人々を守る為…

やむを得ず…


登美子とみこよ…

苦しかったろう…

寂しかったろう…


だがな…



だがな…



母親は…

登美子とみこ

お前を愛していた…

やまいを恐れた人をうらむのはもうやめて…

母親の元に帰るがいい…

お前を嫌った人もいるが…

愛してくれた人もいる…」


N〖鬼女のひとみから一滴いってきの涙がこぼれおちた…〗


鬼「オカア…サ…ン…

アイタ…イ… ヨ…

オカ…アサ…ン……」


N〖占竜は悲しそうな表情を見せた鬼女を見ると天をあおいだ…
なぜか天井がけて見え…
空には星々が輝いている…〗

占「地蔵菩薩じぞうぼさつ御力おちからにより…
哀れなる魂を浄土じょうどへと導きたまえ…
オン カカカ ビサンマヤ エイ ソワカ…」

N〖鬼女に喰われていた魂が、ほたるのような光を放ちながら
天にあがっていく…〗

占「オン カカカ ビサンマヤ エイ ソワカ…」

N〖占竜は真言しんごんを唱え続けている…〗

登と光一は
鬼女から魂が成仏じょうぶつしていくたびに
美しい女性に変り…
幼くなっていくのを…
涙を流しながらながめていた…〗


占「オン カカカ ビサンマヤ エイ ソワカ…

地蔵菩薩よ…

ねがわくば…

登美子とみこの母親の魂をこの場に連れてきたまえ…

オン カカカ ビサンマヤ エイ ソワカ…」


N〖まばゆい光がそそぎ…
地蔵菩薩じぞうぼさつ
その手に錫杖しゃくじょうを持って降臨こうりんしてきた…〗

占「オン カカカ ビサンマヤ エイ ソワカ…」


幼鬼「お母さぁ~ん!!!!!」

N〖幼く変わった鬼女の母親をしたい叫ぶ声を聴いて
地蔵菩薩はニッコリと笑い錫杖しゃくじょうを鳴らす…


地蔵菩薩は占竜の願いを聞き届け
登美子とみこの母親を連れてきてくれた…〗

母「登美子とみこぉ~!」


N〖鬼女は占竜の真言により、登美子の姿を取り戻していた…
登美子は地蔵菩薩が連れてきてくれた母親に抱きつくと…
幸せそうな笑顔を占竜達に見せてくれた…〗

母「さあ、お家に帰ろ…
今日は登美子とみこの大好きな里芋さといものお味噌汁を作るからね…」

N〖登美子は綺麗な笑顔で泣きながら
母親と地蔵菩薩と共に天界へと上がってった…



その時…

天からかすかに…




登美子とみこの声が聴こえたような気がした…〗






登美子「ありがとう…」





っと

【閉幕】





~あとがき~

説明してなかった物がありますので、ここで説明したいと思います♪


桃剣ももけん

桃の木から削り作り出した木でできた剣♪

桃は昔から禍をさける物として、使われてきました…

桃の木は鬼門封じにも使われたりします♪

目に見えない悪しき者に絶大なる威力を発揮します♪


金銅五鈷鈴こんどうごこりん

聖なる音を出す鈴♪


五神獣ごしんじゅう

四神獣は有名で、安倍晴明も使役していた…

東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武が有名♪

それにリーダーで中央の黄龍こうりゅう



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