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第3章:俺の声はどうだ!
138:サトシの性教育講座~一人でやってみよう編~
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かねてより疑問だった事を、俺は我慢出来ずにイーサに尋ねた。
「……なぁ、イーサ。お前、なんで俺相手に勃つんだよ」
テザー先輩との一件を経て声の出なくなった俺は、皆との飲み会前に声を取り戻すべく、イーサの部屋を訪れた。
そして、まぁ。した。キスを。
そして、更に言えばイーサはまたしても勃起していた。一体何なんだ、コイツらは!
「サトシは同じオスなのに、そんな事も分からないのか?」
「分かんねーよ!ちっとも!全然!わかんねーよ!」
イーサはお綺麗な顔にきょとんとした幼い表情を浮かべながら、俺の事を見ている。さっきまで勃起させて、下半身をモジモジさせていた癖に!腹立つわ!この顔!
「オスが陰茎を勃起させるのは、相手を孕ませたいからだろうに」
「……いや、俺。男だから。俺は妊娠しないから」
“陰茎”と余り馴染みのない言い方で局部を表現してくるイーサに、俺はハッキリと理解した。イーサにとって性的接触や、性的興奮の類が、未だに「教本」の中の知識止まりである事を。
だから「相手を孕ませたいから勃起する」などと平気な顔をして、男の俺に言えるのだ。
「でも、それはイーサの頭が考える事だ。でも、イーサの陰茎は違う」
「はぁ?」
「イーサのここは、頭が悪い」
何言ってんだコイツ。そう、俺はわりと本気で思った。
イーサは、未だに若干の主張を示す局部に、服の上から面白がるように触れている。見た目が完全に大人なのに、これではまるで初めて勃起を経験して面白がる、小学生男子のようではないか。
「イーサのコレは、相手がオスかメスかなんて分からない。何も考えてないんだ」
「……はぁ」
「ただ、相手の中に自分の種を入れて、自分のモノにして、子孫を残させたいと思っている。サトシがオスだから孕まないというのは、イーサの頭で分かっていても、どうにもならない。イーサのココが、イーサの“本当”だ」
「……」
そう言ってニコッと微笑んでくるイーサに、俺は一体どんな顔をして受け入れればいいのかサッパリわからなかった。
「……あー、まぁ。イーサ?言いたい事は……何となく分からんでもない。お前は、ともかく……まぁ、俺の事が好きなんだな?」
「そうだ!イーサはサトシがこの世で一番好きだ!」
この世で一番。重い。
この短期間で俺は、どうやらイーサのこの世で一番の座を手にしてしまったらしい。
マジかよ。この世で一番が、この俺でいいのか?しょっぱすぎだろ!その一番!お前なら、どんな美女もよりどりみどりな癖に!
「いや、待てよ」
「どうした?サトシ」
コレ。もしかして、イーサのヤツ分かってないんじゃないか?俺は緩く固さを保つイーサの下半身を見ながら、一つの可能性に思い至った。
「イーサ。お前、自分でヌいた事あるか?」
「ぬく?陰茎をか?そんな事をしたら、俺は死んでしまうだろう……サトシ、お前は変な事を言っているぞ」
「あっ、そういう“引っこ抜く”って感じじゃなくてな!?」
こえぇぇっ!
確かに言葉通りに受け取るとそうなるが!想像しただけで、腹の底がゾッとするわ!そして、やっぱコイツ!絶対分かってねぇ!
「今まで、自分で触って射精した事はあるか?って聞いてんだよ」
「あぁ、そういう事か」
確かに、勃起の本来の目的は、子孫繁栄の為にあるのだろうが、でもそうじゃない時もある。いや、むしろ“そうでない時”の方が多い筈だ!
なにせ、勃起と射精なんて、男の中で定期的に起こる“生理現象”の一つでしかないのだから!
特に処理せず溜まっている時なんかは、相手が誰であれ、性的接触を持つと勃起する事はある。多分イーサはソレなんじゃ……。
「ない」
「ほらな!?ほらほらほらほら!ほらなぁ!?」
「どうした!サトシ、急に!」
「イーサ!お前、溜まってんだよ!だから、俺相手に勃起するんだ!」
あー!安心した!
ていうか、これまで何百年と生きてきて、一度もヌいた事ないって。それは、それで大丈夫だったのか?もしくは、エルフだったら……そういう事もよくある事なのか?
種族が違い過ぎて、全然わからん。
「イーサ。ひとまず定期的に自分の……その、陰茎に触って射精するようにしろ。男は定期的にソレが必要になる」
「俺の種を無駄に出すのか?イーサは王族だから、種も尊い。もったいないだろ」
「……凄い事言うな、お前」
「それに、イーサは偉いからな。そんな事は自分ではしないんだ」
「ええぇぇ」
この発言からするに、どうやらエルフだからとか、人間だからとか言う問題ではなさそうだ。これは、完全に生まれ育ちによるモノに違いない。
「そういう事はな?自分でやるんだ。なぁ、イーサ。いくら王族でも、自分でやらないといけない事は沢山ある」
「でも、イーサはやり方が分からない」
「えっと、まず陰茎を持って上下に」
「あぁぁぁっ!分からん分からん!全然わからん!サトシがしてくれ!」
「へ?」
「サトシがイーサのでやって見せてくれ!じゃないと、イーサはちっとも分からん!」
「はぁぁっ!?」
コイツ!とんでもない事を言い始めたぞ!
つーか!この世界には……AV的なモノは、無いのだろうか。いや、この際だ。エロ本でもいい!っていうか、今此処に来てくれ!王族の“そういう”教育係の人!
--------あぁ、丁度良かったです。王子の性教育は、サトシ。貴方にお任せします。
「うぉぉっ!そうだった。マティックのヤツ!俺に匙投げやがったんだった!」
「何をさっきから一人で言っているんだ。サトシ、ほら。早く」
「……っぐ」
俺はベッドの上で優雅に横になりながら、自分の下半身をポンポンと叩くイーサに、拳を握りしめた。なにが「ほら」だ。ぶん殴るぞ。
「ほれほれ」
「……クソが」
他人に何かをして貰う事に、一切の躊躇いがない。たとえソレが、オナニーであったとしても。
この時、俺は芯に理解した。イーサは骨の髄まで「王族」なのだ、と。
ある意味、ゲームキャラ設定通り「俺様」だ。いや、どちらかといえば「おれさま!」に近いかもしれない。
「……腐っても王子様ってワケか」
「ん?」
ただ、ここで一度イーサにオナニーを教えておけば、俺が今後唾液を貰う際に、イーサがいちいち発情する必要が無くなる。一度のオナニーで得られるその功績は……なかなかにコストパフォーマンスが良いかもしれない。
よし。
「分かった、イーサ。やってやる。やってやるよ!」
「おお!よしよし、では頼んだぞ!」
「ほら!下を脱げ!」
「うぬ。では、ほら!脱がせてくれ」
「そろそろぶっ飛ばすからな!?」
と、こんな調子で、俺によるイーサの性教育は始まり……
そして、終わる頃には、俺の疲労はピークに達していた。
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