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第4章:俺の声を聴け!
幕間17:クリアデータ7 07:20
しおりを挟む「はぁっ」
画面いっぱいに映し出されたスチル画像に、栞は思わず感嘆の声を漏らした。
「……ジェローム、貴方ってやっぱり格好良い。まさかこんなにすぐに貴方に再会する事になるなんて思いもしなかったわ」
言いながら、栞は一旦コントローラーを床に置いた。
そして、これまで通り傍にあったスマホで画面越しに格好良過ぎる昔の男をピコピコと写していく。
「っはぁ、もう完璧なのよ。全部が。そう、完全に私好み」
ジェロームは、一見するとスッキリとしたスーツのような体のラインがハッキリと現れる服飾を纏ってた。ただ、胸には銀色に光り輝く「リーガラント」の国章のバッチが光り輝き、胸の部分には金糸で細かく結われた文様付きのたすきがかけられている。全体的に装飾がないせいで、その二つの装飾が際立って見えた。
そう、その姿はまさに軍人然としており、その名の通り「闘う男の戦闘服」を纏う一国の元帥の姿であった。
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【ジェローム】
久しいな。シオリ……まさかお前とこんなカタチで再び出会う事になろうとはな。
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「ええ、私としても思ったよりすぐに会えてビックリしてるわ」
ジェロームの固い口調で放たれた言葉に対し、栞は手にしていたスマホを脇に置いて答えた。栞の言っている「思ったよりもすぐに会えた」は、完全にメタ的な意味での「すぐ」だ。決して感情的な意味合いではない。
「まさか、最終章のタイトルコールから、こんなにすぐに会えるなんて思ってもみなかったわよ。またイチからダンジョンを抜けて移動させられるのかと思ってたけど、エイダったら……」
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【エイダ】
シオリ、ワープして行こうぜ。面倒だからな。
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そう、クリプラントとリーガラントの移動はワープ一つで簡単に済んでしまったのだ。
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【シオリ】
え?でも、マティックはちゃんと国境を通って行くようにって言ってたよ?正式な使者なんだからって。
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「正式な使者としていくから、ちゃんと正規の手続きを踏めって言われてたのに。まさか、そこをスキップするかどうかの選択肢が出てくるなんて思いもしなかった」
エイダの提案に乗りますか?
【そうね!面倒だもん!】
【ダメよ。マティックの言う通り国境を越えましょう】
【……怒られるよ?】
普通のゲームなら、ダンジョンスキップの為の選択肢に過ぎないのだろうが、なにせこれは【セブンスナイト】だ。この最終局面においてエイダから提案されるこの選択肢に、まったく意味が無いとは思えない。
「あの時の選択肢……結局ダンジョンスキップしたくて【そうね!】ってヤツを選んじゃったけど、これで良かったのかな。しかも、ワープを警備してるクリプラント兵と戦う事になっちゃったし……不安過ぎるーー!」
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【エイダ】
さぁて!ジェロームとの会合の時間まであと少ししかない!アイツの事だ。遅刻したら小言を言われるだろうから急ごうぜ!
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「……ほんと、心配だわ」
未だに栞は腹の底で、あの時の選択肢が正しかったのかどうなのかを悩み続けていた。物語も最終局面。トゥルーエンドに向けて相当の時間を費やしてきた栞にとって、ここに来て選択肢のミスだけは避けたかった。
「でも……もうやっちゃったモノは仕方がない!ともかく私は“今”目の前のジェロームとの対話に集中しないと!」
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【ジェローム】
まさか、お前とこうして国の代表同士として向かい合う事になろうとはな。さぁ、栞。積もる話があるのではないか?しっかりと聞いてやろう。そして、お前も――
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「さて、本気を出すわよ。ジェローム。私は貴方もイーサもどっちも救ってみせるからね」
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【ジェローム】
俺の声を、よく聴くがいい。
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栞は、画面の向こうで不敵に笑う“昔の男”を前に、胸を高鳴らせながら向かい合ったのであった。
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