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番外編3:独りが寂しいって気付けるのは、独りじゃなくなった時なんだよ(1)

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≪前書き≫

此方のお話は【番外編2:飯島、アオイの脱毛サロンへ】の後のお話です。
※未読の方は其方から先に読まれる事をお勧めします。


その為、アオイはタローの【コタロー日記】を見ている状態です。
ほぼ、タロー視点。
完全にR18です!
二人が若干ズレながらも、本能的にピッタリくっついてイチャイチャしております。


そして、アオイの腹の中での凄まじいツンの補填は、今の皆様なら完全再現できると思います。
託しました!

--------------




-----たろーさん……、毛の無いセックスは、どうだった?



 それは、アオイさんが初めて出張脱毛をしてくれた日の事だ。なんだか、色々と凄い事があり過ぎて理解が追いつかない俺に、帰り際、アオイさんは言った。

「タローさん、連絡先を交換しませんか?」
「えっ?」

 アオイさんはいつものニコッと音が聞こえてきそうな程の笑顔を浮かべながら、スマホを此方に差し出して来た。
 え?今なんと言った?連絡先を交換?え?俺とアオイさんが?

「……」
「あ、やっぱり嫌ですよね。脱毛サロンのスタッフに連絡先を教えるのなんて」
「っ!あ、ち、違います!あの、えっと」

 あぁっ!俺の返事が遅くなったせいで、アオイさんに悲しそうな顔をさせてしまった。俺ときたら、普段誰からも「連絡先を交換しましょう」なんて言われないせいで、完全に思考が止まってしまっていた。

「あの、むしろ……いいんですか?俺みたいな客に、連絡先を教えてしまって」

 そう、問題はソコなのだ。
 普通は客に自分の連絡先なんて教えないと思う。というか、嫌だろう。頻繁に連絡とか来るかもしれないし。そんな事になったらアオイさんは、いつ、どこに居ても仕事の事を気にしなければならなくなる。そんなの、余りにも可哀想だ。

「俺からお願いしてるんですよ?いいに決まってるじゃないですか」
「……ほ、本当に?」
「ええ。だってこれからも施術は長く続きますし。脱毛の具合とか色々とタローさんからも相談に乗ってもらいやすい環境があった方が安心じゃないですか?」
「っ!」

 凄い、アオイさんは本当に凄い。
 この人は本当にプロだ。ここまで一人の客に気持ちを傾けられるなんて。やっぱり俺はアオイさんを推して本当に良かった。俺は、推しを見る目がある。

「あっ、ありがとうございます!それなら是非、連絡先を交換してください」
「はい、よろしくお願いします」

 そうやって優しい笑みを浮かべるアオイさんに、俺は慣れない手つきで連絡先を交換した。普段は誰とも連絡先を交換しないので、イマイチやり方が分からなかったけど、アオイさんが丁寧に教えてくれた。本当に優しい。

「この【設定】から、自分のアカウントのコードを表示して……」
「ここ?」
「あっ、ソッチじゃなくて」
「え?」

 完全に孫と祖父みたいになってしまった。もう、これはデジタル介護だ。きっと、アオイさんみたいな人なら脱毛サロンじゃなく、デジタル介護の仕事に就いても、きっと上手くいくと思う。
 ……デジタル介護って何だ?

「じゃあ、タローさん。また来ますね。次回の予約についても、これからはここに連絡して頂ければ大丈夫なので」
「はい!」

 そう言って、ヒラヒラと自分のスマホを見せてくるアオイさんに、俺はやっと合点がいった。
 あぁ、そうか。あのスマホはアオイさんの「仕事用」のスマホなんだ。そりゃあそうだ。俺みたいな客に、プライベート用の連絡先を教えるワケがない。出張までしているくらいだから、それ専用のスマホを持っているのだろう。

「今日はお話出来て良かったです。ありがとうございました。何かあったら気軽に連絡してくださいね」
「はい!こちらこそありがとうございました」

 また、お店で!
 そう、部屋から出て行くアオイさんを、俺は外まで見送った。振り返り様に手をヒラヒラと振ってくれるアオイさんは、夜でもパッと明るく見えるくらい素敵だ。やっぱり推しはどこに居ても輝いて見える。

「結局、出張費用もいらないって言われちゃったし……申し訳ないなぁ」

 せめて帰りのタクシー代だけでも、と言ったのだが頑なに断られた。あんまりしつこく言うと、ほんの少し。本当に少しだけ、アオイさんがムッとした顔になるので、それ以上は言えなかった。
 アオイさんが帰りつく頃「無事に帰れましたか?」ってメッセージを送ってもいいだろうか。

--------脱毛の具合とか色々とタローさんからも相談に乗ってもらいやすい環境があった方が安心じゃないですか?

「……脱毛以外の事で連絡したらダメだよな」

 連絡先を教えて貰ったからと言って、あまり調子に乗らないようにしないと。そんな事を思いながら、俺は部屋に戻った。
 すると、その瞬間、独特の匂いがツンと鼻先を掠めた。

「ぅ、あ……コレ」

 とっさに顔に熱が集まる。
 それは、まごうことなき精液の匂いだった。
 俺はまた、性懲りもなくアオイさんの前で射精してしまったのだ。でも、今回はアオイさんも……。

-----ね、タローさん、挿れていい?
「っか、換気しないと」

 下半身、特にお尻の穴に感じる違和感から目を背けるように、俺は窓に手をかけた。でも、結局俺は窓を開けなかった。

「……はぁ、コレ。アオイさんの匂い」

 完全にド変態だ。
 ただ、分かっていても、クンクンと部屋の匂いを嗅ぐのを止められない。自分の匂いが殆どだろうけど、確実にこの中にはアオイさんのも混じっている。そう思うと、もったいなくて換気出来なかった。

 そして、俺は独特な匂いの充満する部屋の中で、再びスマホを見た。

「ふへ、アオイさんの連絡先だ」

----------
 高梨アオイ
----------

 学生時代の友人達以降、初めて追加された連絡先。その名前に、俺は布団にもぐった後もずっとその名前を見つめていた。たとえ、仕事用だとしても、アオイさんと繋がりがあるのは嬉しい。
 きっと、次に連絡を取れるのは予約を取った一カ月半後だろう。「脱毛、明日はよろしくお願いします!」くらいならメッセージを送ってもいいだろうか。それまで、アオイさんと会えるのも、連絡を取るのも我慢だ。

「あーぁ。長いなぁ」

 と、そう思っていたのだが――。


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