28 / 35
4
しおりを挟む「……」
「……」
どこからどう見てもヤケクソな誘い文句を口にした直後、ちっともやってこない後ろの穴への衝撃に、俺は閉じていた目を片方だけ微かに開いた。俺が「よし」と言えば、きっと「おやつ」を食べるみたいに、凄い勢いで挿入されるとばかり思っていたのに。
「え?」
「っはぁ、っはぁ、っはぁ」
目を開けると、そこには俺以上に顔を真っ赤にして肩を震わせるくつしたの姿があった。
「く、くつしたはっっ、」
「……おい、どうした。くつした?」
「くつしたは、……今から、いあんと、こうびを、する?」
真っ赤な顔。合わせられない視線。潤む瞳。
(あぁ、くつしたも恥ずかしいのか)
そういえばそうだった。くつしたも人間になったせいで「羞恥心」が、しっかりとその身に宿ってしまっていたんだった。
ただ、くつしたの視線は、しっかりと俺の後ろの穴に向けられている。瞬きもしない。釘付けとは、まさにこんな姿を言うのだろう。
「……あ、あの。あんまり見るな、よ」
「でも、見て、ないと……くつした。じょうずに、イアンのナカ、いれ、れない」
「た、たしかに」
なんてザマだ。こんな無様で、段取りもクソもないような交尾が……セックスがあるか。いや、確かにここにある。童貞と、そして獣上がりのまだまだ赤ん坊の二人によるセックスは、どこもかしこもぎこちなかった。
「こ、ここに。入れて、いい?く、つしたは……まちがって、ない?」
「あってる、あってるから。だい、じょうぶ」
必死に足を開きながら、俺はくつしたが隆起する自身に手を添え、ピタリと後ろの穴に添えた。焼けるような熱の塊に、穴の淵がヒクリと疼く。
「っぁ、ぅ」
ヤバイ、怖い。でも、怖い以上に、なんかスゴイ、ゾクゾクする。
「いれる、よ。いあんに、くつしたの、いれる。ここで、あって――」
「合ってるからっ!」
クソッ、早く挿れろよっ!
そう、叫んだ瞬間、舌よりもずっと硬くて大きいモノがナカに突き立てられていた。
「ぁ……っぁ、あ、っ――!」
早く、と自分で言っておきながら容赦なく奥まで捻じ込まれた太い亀頭に、目の前が爆ぜる。
(なんだ、コレ。こんなの、知らないっ、こんなの、俺は……今まで!)
視線の先に映り込む白銀の毛が、パチパチとまるで炭酸が弾けるように光輝いた。
「っん゛っぁぁ……っぁっ、ぁ゛、ひぅぅっ!」
「っは、っはっはぁっ!っ、く!」
「あッ、あ…ッ、ひゃ、っぁぁんっ」
ぬ゛っ、ぐっ……ズププッ!
考える暇もなく、くつしたは肩で息をしながら激しく腰を揺らし始めた。コレだ!コレが欲しかったんだと言わんばかりに叩き付けられる剛直に、ゴチュゴチュと耳まで犯されるような激しい挿入音が部屋中に響く。
「き、もちぃっ……!イ゛ぁんっ、これ、っぁ!すご、いぃっ!ひも、ちぃっ!」
「っぁん、っぁ゛!~~ぁっ!」
これでもかという程上体を抱きしめられながら、パンパンと激しく抜き差しされるせいで、一切の体の自由が利かない。ただ、そうやって成す術なく強者に体を好き勝手にされる感覚に湧き上がってきたのは、屈辱ではなく、凄まじいまでの安心感だった。
「くつっ、したぁっ!っぁ!ん゛ぅぅぅ!」
「っふ、っふ、ン!」
気付けば再び口を塞がれていた。もう、呼吸すら目の前の獣に制圧されている。視界には銀色のキラキラしか見えない。星みたいだ、と頭の片隅で思う。
「で、るっ!っぅ、っは、ぁ゛ぁッ!」
「―――ッ!!!」
腹の奥にジワリと熱い感覚が広がっていく。どうやら、射精したらしい。ただ、二度目の射精にも関わらず、凄まじい律動も、凶器のように固い性器もまったく緩む事はない。ナカを濡らすくつしたの生ぬるい種子が、滑りを助け更に抜き差しが早くなる。
ずりゅっ、ずりゅっ!ゴチュゴチュ!
「っぁ、っひぃっ!っあ、も……!激しっ、これぇっ!」
押しては引いていく快楽の波に、頭がおかしくなりそうだった。
はじめ、どうする事も出来ないほどの快楽に、くつしたがはらはらと涙を流していたのが分かる。俺も、今まさにそんな感じだ。視界が歪む。
「っぁ、ぁぁぁんっ!」
でも、最高に気持ち良いっ。
射精感が高まる。そろそろ俺もイきそうだ。
「あっ、あ!くちゅ、したっ……も、らめっ!おかしく、なるっ……ダメぇっ」
「っ!」
その時の俺は、自分がまさかAV女優みたいな言葉を吐いているとは全く自覚がなかった。ただ、気分が高まって。気持ち良くて。どうしたらいいのか、何を言ったらいいのか分からなくて。記憶の中にある「出来る限りいやらしい言葉」を口にした、それだけだったのだ。
それなのに、気付くと、それまで絶え間なく与えられていた快楽の波が、ピタリと止まった。
「っへ!?」
「……っはぁ、っは、ぐぅ」
目の前には、先ほどまでの激しい腰つきがまるで嘘のように静止させるくつしたの姿。もうすぐで俺も射精出来そうだったのに!自分は出したからって、これは余りにもヒド過ぎる!
「お、いっ!くつした!なんでっ!?」
そう、くつしたを睨み付けると、そこには唇を必死に噛み締めて肩で息をする情けない雄の姿があった。次いで、俺の耳に届いたのは、まったくもって予想外の言葉だった。
「い、あん……いた、い?」
「え、いた……え?」
「いあん、いたい?」
イアン、痛い?
くつしたは、自分自身が苦痛に表情を歪めながら、そんな事を言い放つ。
え、どういう事だ。くつしたは、何を言っている?
「だって、さっき……ダメェって、言った、から」
「っあ゛!」
あぁぁぁっ!そうか!そういう事か!
俺はこれまで、狼だったくつしたに一年間にわたって言い聞かせていた言葉をしっかりと思い出した。
--------くつした、ダメ!
(クソっ、俺がっ!ダメって言ったからじゃねぇか!)
75
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる