初恋は一期一会 ~彼女が可愛すぎるので、私の心臓は多忙な日常を送っています~

羽海

文字の大きさ
25 / 35

第25話 試験結果の発表

しおりを挟む

 定期試験の翌日。
今日は、各教科二十分ずつでテスト返しがある。

「テスト返し緊張する~」

「でも試験の出来は良かったのでしょう?」

「うん、まぁ過去一の達成感を感じるくらいには」

「なら気楽に構えておけば良いじゃない」

「そうだけどさ~」

 朝のホームルーム前、私たちは竜胆さんの席で集まって雑談をしていた。

「小森さんは各教科何点以上とか目標はあるの?」
 
「ん~、九十点以上、かな!」

「割と高めの目標なのね」

「これで全部目標を下回ってたら恥ずかしいけどね…。結果悪かったら慰めてね」

「九十点を超えてなくても恥ずかしくはないと思うけれど…。分かった、その時は慰めてあげるわ」

 言質を得たところで五十嵐先生が教室へ入ってきたので、私は自分の席へと戻る。
 九十点以上なら嬉しい。
そこまで取れてなくても竜胆さんに慰められて幸せ。

 うん、私の未来は明るいな!


━━━━━━━━━━━━━━━


 放課後。
 私たちはいつものファミレスに来ていた。
 今から試験結果のお披露目会があるのだ。
 まだお互いに点数は秘密にしてあるのである。

「竜胆さん、準備は良い?」

「えぇ、大丈夫よ」

「じゃあ私から…いくよ」

 そう言って、返却された試験をテーブルの上に広げる。

「…これは」

 竜胆さんは私の答案用紙を見渡して、驚きの表情を浮かべる。

「そうです!全教科九十点以上、達成しました~!」

 なんと、今回の試験での目標を無事に乗り越えることが出来たのだ。この好成績には自分でもびっくりした。
 これは、まさに快挙である。
私史上では、苦手なピーマンを克服した事に並ぶほどの快挙と言えるだろう。

「凄いじゃない!おめでとう」

「ありがと~!」

 お褒めのお言葉を頂いた私は、上機嫌で今回の目玉商品最高点を紹介する。

「見てみて!数学満点だったんだ~!」

 100という数値と花丸の書かれた数学の答案用紙を掲げて、竜胆さんにお礼を言う。

「竜胆さんが教えてくれたおかげだよ!まじで助かった、ありがとう~!」

「いえ、小森さんの努力の結果だと思うわ。試験勉強、頑張っていたもの」

 えへへ、照れちゃうな~。

「竜胆さんは試験どうだったの?」

「私は完璧だったわよ」

 尋ねると、竜胆さんも鞄の中から答案用紙を取り出して見せてくれた。

「全部満点だったわ」

「…え?」

 え?(思考停止)

「満点?」

「えぇ」

「ぜ、全部?」

「そうよ」

 私は、竜胆さんの達筆で埋められた答案用紙を確認する。
 もちろん竜胆さんが嘘をついているはずが無く、全教科で満点であった。

「ほ、ほんとだ」

 え、やば。(語彙消失)
まじの完璧じゃん。凡ミスも無いとか…。

「いや、凄すぎん!?」

「今回は応用問題はあれど、意地悪な問題は無かったから。それに運も良かったわ」

「だとしても凄いよ、めちゃ凄い!おめでとう!」

 私は、ぱちぱちと拍手をして褒め称えた。
 竜胆さんの功勲に、私も嬉しくなってしまう。もしかしたら竜胆さんより喜んでいるかもしれない。

「あ、ありがとう。そんなに褒められると、嬉しいけど少し恥ずかしいわ…」

 僅かに頬を赤らめて、落ち着き無さそうにもじもじとしている。
 え、ギャップ…!普段のクールな印象とのギャップで、もう、あぁぁぁああ!!!(昇天)


━━━━━━━━━━━━━━━


 もじもじ照れる竜胆さんの破壊力は抜群で、一旦落ち着くためにお手洗いに逃げてきた。戦略的撤退である。

(ふぅ、やばかったな。まじ可愛すぎて心臓が破裂するかと思ったわ)

 まだ動悸は治まっていないが、大分マシになってきた。
 鏡の前で髪を軽く手直ししながら、興奮が完全に静まるのを待つ。
 果たして、私の心臓はこの先、竜胆さんの可愛さに耐えていけるのだろうか? とそんな事を考えながら。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

身体だけの関係です‐原田巴について‐

みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子) 彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。 ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。 その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。 毎日19時ごろ更新予定 「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。 良ければそちらもお読みください。 身体だけの関係です‐三崎早月について‐ https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生して最強召還師になったけど現世に帰ってきた女子高生ですが何か?

苑崎頁
恋愛
女子高生、真島乃亜15歳は通学途中にトラックに轢かれ、魔界に転生した。 魔界に転生した乃亜は魔王たちと契約し、最強の悪魔召喚師になった。 そして堕天使ノアの名も授かった。 しかし、どうにか現世に帰ってきた乃亜を待っていたのは、怠惰な学校生活だった。 現世でも魔王たちがいると思い、魔王を探す旅に出る乃亜。 しかし、先に出会ったのは…? 某小説サイトでは90万PV以上してる作品です。 内容が変な所があるかもですがご了承ください。 女子高生がいろんな人と出会ってしまうお話です…。 コメント、応援。本当にありがとうございます! とても励みになります! 拙い文章ですが、これからもよろしくお願いいたします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...