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第27話 校外学習で水族館へ①
しおりを挟む五月終盤の今日。
外は雲ひとつない青空が広がって、太陽の光が降り注ぎ、ぽかぽか陽気に照らされている。
少し暑い中で、たまに吹く風が涼しくて…。
校外学習日の本日は、そんなお出かけ日和であった。
今はバスに乗って水族館に向かっている途中だ。
座席は、一番後ろの席に四人で並んで座っていて、右から竜胆さん、私、有咲ちゃん、奈緒ちゃんである。
「有咲ちゃんは水族館で何見たい?」
「あたしはシャチ!」
「お、いいね。かっこいいよね!」
「まじかっけぇー!海のギャング!」
両サイドの二人、竜胆さんと奈緒ちゃんが寝てしまったので、有咲ちゃんとお菓子をつまみながらお話をしている。
奈緒ちゃんが寝てるのはイメージ通りだけど竜胆さんまで寝てるのは少し意外だ。
…もしかして、楽しみ過ぎて昨夜寝れなかったとか?(自分のこと)
それにしても、竜胆さんの寝顔可愛いな。
切れ長の目を瞑っているからか、いつもより少し幼い印象を受ける。天使かな? いいえ、女神です。
そんな事を考えていると、有咲ちゃんが肩を叩いてくる。痛い痛い、なに? どうしたの?
「かなちん、あれ!水族館!見えてきたよ!」
有咲ちゃんが指差す先には、見るからに水族館の建物があった。うん、見たらすぐ分かるね、あれ。
だって大きなシャチの像が立っているのだ。凄く目立っている。かっけぇー!
「…ん。着いたのかしら」
「あ、竜胆さん。おはよ~、着いたよ!」
「えぇ、おはよぅ」
竜胆さんは寝起きなのでまだ少しふわふわとしている。寝ぼけ眼でこっちを見ている。可愛い。
そして反対側では有咲ちゃんが奈緒ちゃんを叩き起している。
「なおちん、起きてー!」
「うーん、あと一時間…」
「もう!鮪も蛸もイカも待ってるよ!」
いや、奈緒ちゃん。そのセレクトだと観覧目的じゃなくて食べる目的になりそうだよ!?
「お寿司…?」
「うん!」
「お寿司じゃないよ、食べないよ!?」
思わずツッコミを入れてしまったが、奈緒ちゃんは無事に起きたようだ。
「ふわぁ~ぁ。よく寝たぁ~」
奈緒ちゃんは手を頭上にあげ、伸びをしている。
お胸が、大きなお胸様が強調されて…! けしからんですよ、こんなの目に毒ですよ、ありがとうございますです本当に。
━━━━━━━━━━━━━━━
さて、バスを降りてからは班行動である。
「集合写真を撮ろうー!」
という有咲ちゃんの提案で、シャチの像の前で集まり、写真を撮ることになった。
撮影者は近くにいた五十嵐先生である。
有咲ちゃんが奈緒ちゃんの腕に引っ付いていたので、私も便乗して竜胆さんの腕に抱きついてみた。
そしたら、竜胆さんもこちらに身を寄せてくれた。
くんくん…めちゃくちゃ良い匂いがする。幸せ。
「じゃあいくわよ~。はいチーズ」パシャッ
撮った写真を確認すると、写ってる子が全員可愛くて輝いていた。
それに、竜胆さんと私が恋人みたいな距離感で撮れている。
…うん、これは永久保存版ですわ。
「「先生ありがと~!」」
「ありがとうございます~!」
「ありがとうございます」
「いえいえ、楽しんでね」
「「はーい!」」
写真を撮ったので、いよいよ水族館へと入場する。
すると、建物に入ってすぐには、薄暗い中でクラゲなどが入った水槽がライトアップされていて、凄く神秘的な空間となっていた。
「わぁ~、めちゃくちゃ綺麗だね、竜胆さん!」
「とても幻想的で美しいわね」
そんな感じで竜胆さんと風情に浸っていると、隣の二人組もなんだか盛り上がっていた。
「うわぁ~、涼しいぃ~」
「ね!涼し~」
いや、確かに涼しいけど…!
水族館に入って最初に室温の感想とか、感性がズレてる…。二人ともお子様すぎるよ!
風情、、、風情……。どこ行った~?
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