月城のメモリー(千年放浪記-月城編1)

しらき

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エピローグ

変わらないもの

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 あのコンサートホールを造ってから、月城の地がそう名付けられてから、この辺境の地が賑わってから、30年くらい経つだろうか。相変わらず趣味の人間観察を楽しみながらこの地に訪れる若き演奏者たちやその子どもたちの面倒を見ている剣崎勇とは異なり、僕はあまりホールの方に顔を出さなくなってしまった。人付き合い初心者の僕にはころころと入れ替わる人一人ひとりに適切な対応は出来なかったし、段々と彼らに愛着を持てなくなってしまった。楽団の創始者である僕がこんななのに親子で中心に立って未だにこの地を盛り上げてくれている剣崎には感謝しかない。そして申し訳ないとも思う。だが僕はこれまで彼からもらったヒントを基に別の、もっと自分に合った娯楽を生み出そうとしている。
 「…」
「出来た…!僕がわかるかい?」
「う…?」
人間の育て方がわからないので僕は初めから10歳児くらいの見た目と知能を持つ人形を作った。とは言え、流石に生まれたての彼にとって何かを認知することは難しいだろう。
「僕は志都。君の創造主だ。」
「しづ?そうぞーしゅ?」
「僕が君を生み出したんだ。」
「…うみだす…、しづ、ぼくの、おや?」
「ああ、僕が君の親ということになるね。」
「…しづ、おや。ぼく…」
思ったより理解が早いと感心していたが、人形は自分を指さしたまま固まってしまった。確か僕を指さし”親”であることを確認していたが…もしかして…
「そうだ、まだ名前を付けていなかった。うーん、どうしようか…」
まさか上手くいくと思っていなかったから何も案を考えていなかった。皮算用も良くないが成功した場合を想定しないのもいけないな。
「僕の子だし一文字くらい僕の名前から取りたいな…。志都よりは月城からの方が良いか?うーん…」
「しづ?」
「ごめんね、あまり待たせちゃ悪いか。…そうだ、白城千(ハクジョウ カズ)なんてどうだろう。」
「はくじょう?かず?」
「そう、白い城と書いてはくじょう、千と書いてかずだ。」
「しづ、はくじょうかず。おぼえた。」
「もう覚えたのかい?千は賢いなぁ。」
人間というよりは機械人形のようでもあるが、それにしたって生まれてすぐ多少のコミュニケーションが取れるとは我ながら素晴らしい出来だと思う。それにしても白城千、か…。城は”月城”から取ったとは言え、何にも染まらない白、強固な砦としての城、そして長い時をも表す千。咄嗟によくこんなぴったりな名前が思い浮かんだなぁ。何て言ったって彼には10代後半くらいで成長が止まる呪いと絶対に死なない呪いがかけられている。要は多少成長する不老不死者というわけだ。彼こそ人ならざるものと人生を共にする人間として相応しいじゃないか。そして彼こそが僕が導き出した答えである。

神妖大戦争に続く…
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