外伝‐剣崎雄の世界論

しらき

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2044の頁「本物の科学へ」

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 新井さんの“ やることがある”は恐らく嘘であった。これまでに何があったか俺にはわからないが、新井さん以外にはほとんど口をきかなくなった白城に自分無しでも会話が出来るようになって欲しかったのだろう。俺の旅のお供とか言っておきながら本当は俺がお供の方だったのではないか。それにしても俺は新井さんのお節介がわからない。俺の周りの大人たちは子どもに優しくしているようで実際は剣崎家に恩を売っていたとしか思えなかった。新井さんの行動原理については謎のままだったが(もしかしたら人間と妖怪で考え方が異なるのかもしれない)、悪い気はしなかった。
 「それにしてもお前、よく喋るようになったよな。」
「振り切っても振り切っても話しかけてくるクソガキがいるからな。」
「なんだよ、人見知りのくせに。」
「…それにしてもお前が行きたがっている理研特区ってのはどんなところなんだ?」
「科学の本拠地さ!更築が田舎町に見えるくらいすごいらしいぜ!」
「科学の本拠地、ねぇ…。」
「鋼鉄で出来たすごい大きな戦艦とかもあるらしいよ!それを見るまでは俺帰らないからな!」
「おいおい、それって戦争が起きるまで帰れないってことじゃないか。」
「そうなの?」
「俺に戦艦の知識はないが、兵器なんだったら敵に情報がいかないように隠しておくものなんじゃないか?いや、船だから港に行けばあるのか…?」
「まあ、もし戦争があっても俺には優秀な助手がいるから大丈夫だな!」
「いや俺に近代兵器を使った戦争の心得はないし、流れ弾が飛んできたりでもしたらお前は普通に死ぬんだからな。」
「大丈夫!俺は神に愛された天下の剣崎様だからな!」
「理由になっていない気がするが…」

 楽しい旅のお供が出来て、『剣崎雄の世界論』は18巻にてようやくまだ見ぬ世界への思いを綴ったものではなく、世界を記録した書になった。19巻は科学者の国、理研特区についての記録になることだろう。そして20巻、21巻…俺が生きている間に何巻まで書けるかはわからないがこれを読むだけで様々な世界や人生を知ることができる、そんな書物が『剣崎雄の世界論』だ!
「あー、これからが楽しみだ!」
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