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なんとかナタリーのご機嫌取りをしてここまでたどり着いた。彼女はかなり上級の魔法使いらしいので期待できる。
「これはどのような魔法なんだ?」
「ああ、その魔導書はエレメントの基礎研究に関することしか書いてないわ。実践的な要素は皆無で理論がつらつらと書いてあるだけだから素人は秒で閉じるやつね。」
「えっと、じゃあこっちは…?」
「液状物質の精製の応用理論についての本ね。これも単体で何かできるわけでもないし素人目で見たら“ 使えない”魔導書ね。」
「はあ…」
目につく魔導書の内容を次々と聞いているのだが彼女が何を言っているのかさっぱりわからない。魔法使いにとっては常識なのか、普段ナタリーが“ ホルニ~♡”などと接してくる姿は全て演技で本当は相当優秀な人物なのか…。
「もう、こんなの見ても全然楽しくないでしょ?それともホルニは何か気になる魔法でもあるの?」
「実は若返りや不死に興味があるんだ。その、あなたのようなレディならそういう系統の魔法について知っているかと…」
「うーん、あたしはそういうの興味ないから専門外なのよね…。でもなんで?ホルニはいくつになってもイケメンだと思うのに♡」
「いや、特に深いわけはないのだが…。ほら、戦いの時に不死だったら戦士として最強だろう?さすがに魔法でもそれは無理だろうけど。」
「できれば傷ついて欲しくないけど戦っているホルニも素敵よね。わかったわ、あたし不死の魔法について調べてみる!」
「本当か!?」
「ええ、ホルニのためだもん♡」
「そうか、ありがとう。」
目当てのものが無かったとはいえ予想外のチャンスを得たと内心喜んだが、いくら相手は俺を誘拐した人物だとしてもその恋心に付け込んでこちらの都合のいいように操るのは悪魔の所業ではなかろうか。いや、俺が戦うべき相手は悪魔のような人物だ。こちらも手段を選んではいられない。
ドンドンドン
「ホルニッセ様ー!ご無事ですか!?」
「魔女め、もう逃げ場はないぞ!」
何やら外が騒がしい。まさか…!?
「ちょっとうるさいわね!そもそもなんでここに…」
「…」
「ハヤテ…?」
あの時路地裏で会った浜野さんに連れられて来た場所は森の中のこじんまりとした家だった。確かにここは盲点かもしれない。一緒に来てもらった国軍の方々も怪訝な顔をしている。
「ここに王子がいるのね…」
「しかしなんでこのようなところに…」
「本当にここにホルニッセ様がいるのか?」
「ああ。魔女が誘拐した王子と暮らすにはもってこいの場所だろう。」
「魔女だって!?」
「ホルニッセ様はその魔女のせいで…!」
「みなさん、落ち着いてください。その魔女を逃がさないためにも完全に包囲するまではあまり騒ぐべきではないでしょう。」
私たちは魔女の家を包囲した。三方を兵士の方々に囲ってもらい、正面には拘束魔法を使うことができる私と魔法と戦闘どちらも得意な浜野さん、そして彼が裏切らないか見張る兵士が待機した。
「そんな見張りなんて付けなくても俺はあのクソ生意気なチビ女よりシスターさんの味方をしますよ。」
「でも一応って兵士さんが言うからね?私だって正直に話してくれたあなたのことを信じるわ。」
「ハヤテ…?」
扉から出てきた“ 魔女”を見て私の心臓は張り裂けそうになった。まさかあの人が事件の元凶だったなんて…
「ハヤテ、あんた裏切ったわね!」
「まさかナタリー先輩…ええ、そうよ、あの時のまま…間違えようがないわ!」
「何よ、あんた誰!?あんたがハヤテを唆したの!?」
「覚えていないのですか!?カトリーです!学生時代あなたに魔法を教えて貰った…!」
「学生時代ぃ?あ、思い出した。あんただったのね。」
「何故このようなことを…。一体何があなたを変えてしまったの…!?」
「別に、あたしはあたしのままよ。いや、ホルニがあたしの人生に色をつけてくれたわ。」
「…どういうこと?そもそもナタリー先輩は何の目的でホルニッセ王子を誘拐したのですか?」
「それはホルニが好きだから…。ホルニだけはあたしを魔女と呼ばなかったから…。」
「ナタリー先輩…」
意外なことに彼女はそれ以上抵抗せず大人しく国軍の兵士たちに連れられて行った。私は彼女のおかげで治癒魔法をマスターしたのに彼女の心の傷を癒すことは出来なかったのだ。あの時の私は自分の利益のことしか考えていなかった。
「あっ、あの…!彼女を教会で預からせて頂けないでしょうか…!」
「シスター、それは無理な願いですな。奴はホルニッセ様を誘拐、監禁した重罪人、然るべき手続きによって裁かれるべき者であります。」
「そうですよね…。」
王子は救われ人々の生活は元に戻る。これで一件落着のはずなのに…。
そうだ、浜野さん!今までナタリー先輩のところにいたということは彼は居場所が無くなり困っているはず!
「ねえ、あなた帰るところはあるのかしら?良かったら教会に来ない?」
「俺が…教会に?」
「ええ、勇気を持って自分の罪を告白してくれたあなたならきっとやり直せるわ。兵士さんたち、この子を預かってもよろしいですか?」
「ああ、そういえば魔女の協力者がいたって話だったか。」
「まあ情報提供者も彼だしな…。教会で再教育してくれるならむしろありがたいくらいです。」
「ありがとうございます。」
「えっ、あっ…まあいいか。その、俺別に家出しているだけで実家はあるので…帰りたくなったら帰りますよ?」
「そうなの?ならむしろ早く御家族と仲直りできるよう私も応援するわ。」
「これはどのような魔法なんだ?」
「ああ、その魔導書はエレメントの基礎研究に関することしか書いてないわ。実践的な要素は皆無で理論がつらつらと書いてあるだけだから素人は秒で閉じるやつね。」
「えっと、じゃあこっちは…?」
「液状物質の精製の応用理論についての本ね。これも単体で何かできるわけでもないし素人目で見たら“ 使えない”魔導書ね。」
「はあ…」
目につく魔導書の内容を次々と聞いているのだが彼女が何を言っているのかさっぱりわからない。魔法使いにとっては常識なのか、普段ナタリーが“ ホルニ~♡”などと接してくる姿は全て演技で本当は相当優秀な人物なのか…。
「もう、こんなの見ても全然楽しくないでしょ?それともホルニは何か気になる魔法でもあるの?」
「実は若返りや不死に興味があるんだ。その、あなたのようなレディならそういう系統の魔法について知っているかと…」
「うーん、あたしはそういうの興味ないから専門外なのよね…。でもなんで?ホルニはいくつになってもイケメンだと思うのに♡」
「いや、特に深いわけはないのだが…。ほら、戦いの時に不死だったら戦士として最強だろう?さすがに魔法でもそれは無理だろうけど。」
「できれば傷ついて欲しくないけど戦っているホルニも素敵よね。わかったわ、あたし不死の魔法について調べてみる!」
「本当か!?」
「ええ、ホルニのためだもん♡」
「そうか、ありがとう。」
目当てのものが無かったとはいえ予想外のチャンスを得たと内心喜んだが、いくら相手は俺を誘拐した人物だとしてもその恋心に付け込んでこちらの都合のいいように操るのは悪魔の所業ではなかろうか。いや、俺が戦うべき相手は悪魔のような人物だ。こちらも手段を選んではいられない。
ドンドンドン
「ホルニッセ様ー!ご無事ですか!?」
「魔女め、もう逃げ場はないぞ!」
何やら外が騒がしい。まさか…!?
「ちょっとうるさいわね!そもそもなんでここに…」
「…」
「ハヤテ…?」
あの時路地裏で会った浜野さんに連れられて来た場所は森の中のこじんまりとした家だった。確かにここは盲点かもしれない。一緒に来てもらった国軍の方々も怪訝な顔をしている。
「ここに王子がいるのね…」
「しかしなんでこのようなところに…」
「本当にここにホルニッセ様がいるのか?」
「ああ。魔女が誘拐した王子と暮らすにはもってこいの場所だろう。」
「魔女だって!?」
「ホルニッセ様はその魔女のせいで…!」
「みなさん、落ち着いてください。その魔女を逃がさないためにも完全に包囲するまではあまり騒ぐべきではないでしょう。」
私たちは魔女の家を包囲した。三方を兵士の方々に囲ってもらい、正面には拘束魔法を使うことができる私と魔法と戦闘どちらも得意な浜野さん、そして彼が裏切らないか見張る兵士が待機した。
「そんな見張りなんて付けなくても俺はあのクソ生意気なチビ女よりシスターさんの味方をしますよ。」
「でも一応って兵士さんが言うからね?私だって正直に話してくれたあなたのことを信じるわ。」
「ハヤテ…?」
扉から出てきた“ 魔女”を見て私の心臓は張り裂けそうになった。まさかあの人が事件の元凶だったなんて…
「ハヤテ、あんた裏切ったわね!」
「まさかナタリー先輩…ええ、そうよ、あの時のまま…間違えようがないわ!」
「何よ、あんた誰!?あんたがハヤテを唆したの!?」
「覚えていないのですか!?カトリーです!学生時代あなたに魔法を教えて貰った…!」
「学生時代ぃ?あ、思い出した。あんただったのね。」
「何故このようなことを…。一体何があなたを変えてしまったの…!?」
「別に、あたしはあたしのままよ。いや、ホルニがあたしの人生に色をつけてくれたわ。」
「…どういうこと?そもそもナタリー先輩は何の目的でホルニッセ王子を誘拐したのですか?」
「それはホルニが好きだから…。ホルニだけはあたしを魔女と呼ばなかったから…。」
「ナタリー先輩…」
意外なことに彼女はそれ以上抵抗せず大人しく国軍の兵士たちに連れられて行った。私は彼女のおかげで治癒魔法をマスターしたのに彼女の心の傷を癒すことは出来なかったのだ。あの時の私は自分の利益のことしか考えていなかった。
「あっ、あの…!彼女を教会で預からせて頂けないでしょうか…!」
「シスター、それは無理な願いですな。奴はホルニッセ様を誘拐、監禁した重罪人、然るべき手続きによって裁かれるべき者であります。」
「そうですよね…。」
王子は救われ人々の生活は元に戻る。これで一件落着のはずなのに…。
そうだ、浜野さん!今までナタリー先輩のところにいたということは彼は居場所が無くなり困っているはず!
「ねえ、あなた帰るところはあるのかしら?良かったら教会に来ない?」
「俺が…教会に?」
「ええ、勇気を持って自分の罪を告白してくれたあなたならきっとやり直せるわ。兵士さんたち、この子を預かってもよろしいですか?」
「ああ、そういえば魔女の協力者がいたって話だったか。」
「まあ情報提供者も彼だしな…。教会で再教育してくれるならむしろありがたいくらいです。」
「ありがとうございます。」
「えっ、あっ…まあいいか。その、俺別に家出しているだけで実家はあるので…帰りたくなったら帰りますよ?」
「そうなの?ならむしろ早く御家族と仲直りできるよう私も応援するわ。」
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