18 / 23
Négociation
3
しおりを挟む
国民の生活を元に戻すらしい。食と芸術の国ヴァッフェルらしく華やかな生活を推奨し、観光客の受け入れも再開するとのことだ。ホルニッセ王子の失踪に伴い不謹慎だからといった理由で禁止されていた娯楽たち…規制からの解放で国民は喜ぶだろうけれど内部の者だから知っている、ホルニッセ王子はまだ発見されていない。ということは国はこの件を諦めたということだろうか。しかし喪に服すわけでもなくむしろ娯楽を解禁する…そもそも王子が失踪したくらいで派手な暮らしが規制されるというのもおかしな話だったのではないか。突如現れたPiece Noireが手掛けたアーティスト…、上手く規制されないような活動を行っていたようだけど…。烏丸は国との繋がりもある…。いや、私の考え過ぎだろうか。
「あーあ、ついに父上もあれを諦めたか。そうだよ、あんな出来損ないのために経済を止める必要はなかったんだ。」
「アルフォンス様…!」
「父上が匙を投げたのなら別にあれをなんと呼ぼうが僕の勝手だろう。」
「…まさか本当に国王陛下がホルニッセ様を見捨てたとお思いなのですか?」
「おいおい、お前はそんな愚か者だったか。父上の行動を見れば明らかだろう。」
「…お言葉ですが陛下はかつて最愛の王妃様を失った身。これ以上家族を失いたくないとお考えになるのが道理では。」
「…僕の前でその話はするなと言ったはずだ。」
「では王子は自身のお父上が家族を見捨てるような非情な人物であると判断されるのですね。」
「…あいつは別にいいんだ…」
「あなたがた兄弟の関係の話をしているのではありません。陛下にとってはどちらも大切な家族でしょう?仮にアルフォンス様の言う通り陛下がホルニッセ様に失望しているのならとっくに王位継承権を剥奪しているはずです。」
「だからそれは慣習が…!」
「“ ツァハリアス家の長男に与えられる”のでしょう?こんなことを言うのは不敬ですが、例えば王家の息子をあなた1人にすることだって出来るはずです。」
「…!」
「陛下はホルニッセ様を見捨てたりしないはずです。アルフォンス様、身近な人間を大切に出来ないような者は良き君主にはなれませんよ。」
「っ!うるさい!さっきから黙って聞いていればこの僕に対して不敬なことばかり言いやがって!今すぐここから出てけ!」
「…わかりました。」
予想通りの反応だ。もしかしたら首が飛ぶかもしれないけれども、ついに言ってやったと思った。それにしてもアルフォンス様は何故頑なにホルニッセ王子のことを嫌うのだろう。王妃様の死が何か関係あるのだろうか。いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。大きな地雷を踏み抜いてしまったゆえきっと傷の修復も困難になるだろう。
「あーあ、ついに父上もあれを諦めたか。そうだよ、あんな出来損ないのために経済を止める必要はなかったんだ。」
「アルフォンス様…!」
「父上が匙を投げたのなら別にあれをなんと呼ぼうが僕の勝手だろう。」
「…まさか本当に国王陛下がホルニッセ様を見捨てたとお思いなのですか?」
「おいおい、お前はそんな愚か者だったか。父上の行動を見れば明らかだろう。」
「…お言葉ですが陛下はかつて最愛の王妃様を失った身。これ以上家族を失いたくないとお考えになるのが道理では。」
「…僕の前でその話はするなと言ったはずだ。」
「では王子は自身のお父上が家族を見捨てるような非情な人物であると判断されるのですね。」
「…あいつは別にいいんだ…」
「あなたがた兄弟の関係の話をしているのではありません。陛下にとってはどちらも大切な家族でしょう?仮にアルフォンス様の言う通り陛下がホルニッセ様に失望しているのならとっくに王位継承権を剥奪しているはずです。」
「だからそれは慣習が…!」
「“ ツァハリアス家の長男に与えられる”のでしょう?こんなことを言うのは不敬ですが、例えば王家の息子をあなた1人にすることだって出来るはずです。」
「…!」
「陛下はホルニッセ様を見捨てたりしないはずです。アルフォンス様、身近な人間を大切に出来ないような者は良き君主にはなれませんよ。」
「っ!うるさい!さっきから黙って聞いていればこの僕に対して不敬なことばかり言いやがって!今すぐここから出てけ!」
「…わかりました。」
予想通りの反応だ。もしかしたら首が飛ぶかもしれないけれども、ついに言ってやったと思った。それにしてもアルフォンス様は何故頑なにホルニッセ王子のことを嫌うのだろう。王妃様の死が何か関係あるのだろうか。いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。大きな地雷を踏み抜いてしまったゆえきっと傷の修復も困難になるだろう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる