幼馴染な魔剣ちゃんと契約した聖剣ちゃんたちと行く追放ライフ~聖剣と契約できたのに、魔剣と関りが発覚して追放されたが、冒険者人生を謳歌する~

椿紅颯

文字の大きさ
5 / 35
第一章

第5話『聖剣と魔剣の契約者は追放!』

しおりを挟む
 ――さて、これからどうしたものか。

 王都から出た俺たちは、今朝駆けていた広野を歩いている。

「ねえねえアレン、どこに行く?」

 幼少期を思い出す、セリナの眩しい笑顔が俺に向けられる。
 無邪気で、まだまだ幼気な少女というのは依然変わりないものの、女性としての魅力が開花しており控えめに言ってかわいい。

「その前に、できる限りの自己紹介をしてもらいたい」
「お任せください主様」

 俺のことを主様と呼ぶ、純白と言ったらいいのか白銀と表現した方がいいのか――キラキラと輝きを放っているのかと錯覚してしまう長髪の彼女。
 今日が初めましてに変わりないが、出会ったそのときから俺のことを【主様】と呼称している。

「あの人が言っていた通り、わたくしは【聖剣】エクスカリバーです!」
「そうれはそうなんだろうけど……」

 陛下から言い渡された処罰は、王都からの追放――だけだで、どう考えても軽い対応だ。
 でも疑問だった内容に解消され、今の自己紹介通り【聖剣】と【魔剣】に言い寄られたら拒否権はなかったということ。

 あんなにかわいらしい交渉をしてはいたが、もはや笑顔で脅迫していたということになる。

「セリナも、ちゃんと教えてほしい」
「うん……今まで黙っていてごめんね。私は【魔剣】デュランダル」
「はぁ……」

 今日だけでいろいろありすぎて、驚き疲れてしまって反射的にため息を吐き出してしまった。

 なんとも複雑なのは、不敬でしかない彼女たちのおかげで俺は追放だけで済んだ。
 でも門まで連行という名の散歩をしていた最中、ガレルさんが教えてくれてた。
 自分でもわかっていなかったけど、聖剣との契約は生涯を通してのもののようで、どの道を辿ったとしても死刑を決行できなかったらしい。
 ひたむきに努力し続けいたとはいえ、知識不足は否めなかったし、過去の契約者に尊敬の念を抱いた。

「で、俺はこれから2人をなんて呼んだらいいんだ」
「主様が望むままに!」
「セリナも偽名だったから、アレンが好きなように決めていいよ」

 さすがに、そのまま剣の名前で呼んでいたら大変なことになりそうな未来を容易に想像できる。
 であればセリナはそのままに、白銀の彼女をどう呼ぶか考えた方がいいと思う。

「セリナはそのままで。んー、名前の意図を悟られない方がいいだろうから、【聖剣】としての名前に全く関係ない名前になるけどいいか?」
「大丈夫です! どんなものでも!」

 元気いっぱいで何より。

「メノウ、でどうだろうか」
「メノウ――わかりました、主様!」
「初見の人は混乱するだろうが、セリナは黒いけど綺麗な響きの名前だし、逆にメノウは白いけど元気溌剌はつらつという真逆の感じにしてみた」
「ふふっ、たしかに、私たちは見た目と中身が逆と言われたら否定はできなさそうね」

 俺も当分は混乱しそうだけど、な。

「さて、これからどうするかだが――2人は、どうして目線を一度も合わせないんだ?」
「それはもう、どちらが主様にとっての1番か、が重要だからです」
「私は小さい頃からアレンと一緒に居るの。だから、私に決まっているわ」
「それで言ったら、わたくしは王都に来たときから主様を見てきた。そして、心から惹かれたから契約者として選ばせてもらったのだ」
「え、そうなの?」

 もう驚かないと思っていたけど、新しい事実に反応してしまった。

「じゃあメノウは、7年間も見守り続けてくれていたってこと?」
「もちろんです主様。キッカケは偶然でも、自信を持って宣言できます」
「それはそれで恥ずかしいけどね」

 俺が村を飛び出したのは、10歳の誕生日だった。
 夢や目標をセリナ以外の全員から、否定され嘲笑われ、冷静さを欠いて駆け出し気が付いたときには村の外だった。

「だったら言わせてもらうけど、私だって7年間はアレンと毎日一緒に居たのよ」

 言われてみたら、セリナとも長い付き合いだったな。
 初めて顔を合わせた記憶があるのは、3歳の誕生日だったか。
 正しくは両親から聞かされた内容で、幼少期の記憶を正確に把握しているわけじゃない。
 でも、間違いないのは10歳の誕生日まで毎日一緒だったのは事実だ。

「落ち着きなよ2人共。だったら、同じ7年ってことで穏便に済ませようよ。【聖剣】と【魔剣】が力比べしたら、少なくともここら辺一帯は消し飛ぶでしょ?」
「主様がそうおっしゃられるのでしたら」
「アレンの名誉を守るためにも、飲み込むことにする」
「そうしてもらえると助かるよ」

 名誉といっても、俺は聖騎士という役職を公言しないように言われてしまった。
 結果的にそうなって、俺が聖騎士という事実を知っている人間は護衛兵と騎士団、後は身分的に把握している人たちぐらい。
 だから王都の外で生活していたら、まず知られることはないだろうけど……結局は時間の問題でしかないよなぁ。

 いくら少女の姿で生活できるとはいえ、戦闘するときに【聖剣】と【魔剣】が実態を成したら説明できない。
 それに剣が人に成れる、という非常識な事実も隠し通せないだろうし困ったものだ。

「主様、まずは冒険者として活動するのはいかがでしょうか」
「なるほど、その手はありだな」
「お金は大事だもんね」
「だが、冒険者登録が可能な王都には入れない。そして、一番近くても夜までに到着することはできない」
「主様、今朝のようにびゅーんと移動しても無理なのでしょうか」
「そうか。メノウは記憶があったんだ」
「はい。ですので、一連の件で責任を感じています」

 聖剣が持つ基本能力の話をしているのだろう。
 今朝、物凄く役に立っていた悪意や敵意を察知する能力で、発端となった【魔剣】であるセリナと報告した人を止められなかったから、と。

 でもその発言で、いろいろと納得ができた。

 セリナに関しては俺にも責任がある。
 自分が名誉ある聖騎士という身分にありながら、幼馴染であるということを理由に、【魔剣】であるという事実を知りながら王都へと運び入れてしまった。
 そして報告されてしまったわけだけど、そのどれもに悪意や敵意はなかったということになる。

「メノウが気に病む必要はないよ」
「ありがとうございます主様!」

 一瞬だけ落ち込んだ素振りを見せていたけど、一瞬でぱあっと表情が明るくなったね?

「それにしても、2人はずっとその恰好なの?」

 メノウもセリナも、今はそれぞれの髪色と同様のドレスを身にまとっている。
 捕虜みたいな扱いを受けていたであろう、と予測することしかできないけど、どうあってもドレスアップするような流れがあるとは思えない。
 セリナに関しては、再会したときは私服だったのに【魔剣】から人間になったらあの姿だった。

「ご要望とあらば、いろんな姿に変わることもでき、装うものも変えることができます! 剣も、こんな感じに」

 メノウは、俺が左腰に携えている剣と同じものを、少し白く光った後に自身の左腰へ実体化させた。

「私もできるよ」

 セリナも同じく、右腰に携える剣と同じものを、少し黒く光った後に右腰へ実体化させた。

「2人共待ってくれ」
「はい」
「ん?」
「服装に関しては、できたら人目があるところでは控えてくれ」
「主様の前でなら問題ないのでは?」
「私も、アレンの前だったら大丈夫だよ?」
「そういう問題じゃない。一応確認するけど、着替え? をするときは光を放ち続けてくれるんだよな?」

 即答を望んでいるが、なぜか「うーん」と考え始める2人。

「大丈夫です主様。いつでも体を預ける心の準備はできています!」
「私も、アレンにだったらいいよ……?」
「2人はなんの話をしているんだ」
「夜のお話ですよね、初めてなので優しくしてもらえると幸いです」
「もう結婚できる年齢だもんね、わかってるよ」
「違う違う! そんな話をしているわけじゃない!」
「主様、お待ちください!」
「あー! 逃げたー!」

 俺は、込み上がってきた羞恥心を誤魔化すように広野を駆け出した。

 数日前に誕生日を迎えて、17歳になったから、世間的にはセリナが言う通り結婚できる年齢になった。
 でも聖騎士に成るため訓練し続けた俺は、女性との恋愛経験は皆無だし、いろいろと恥ずかしいって!

 ああもう!
 これからの追放生活はどうなってしまうんだよぉおおおおおおおおおおっ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...