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第一章
第5話『聖剣と魔剣の契約者は追放!』
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――さて、これからどうしたものか。
王都から出た俺たちは、今朝駆けていた広野を歩いている。
「ねえねえアレン、どこに行く?」
幼少期を思い出す、セリナの眩しい笑顔が俺に向けられる。
無邪気で、まだまだ幼気な少女というのは依然変わりないものの、女性としての魅力が開花しており控えめに言ってかわいい。
「その前に、できる限りの自己紹介をしてもらいたい」
「お任せください主様」
俺のことを主様と呼ぶ、純白と言ったらいいのか白銀と表現した方がいいのか――キラキラと輝きを放っているのかと錯覚してしまう長髪の彼女。
今日が初めましてに変わりないが、出会ったそのときから俺のことを【主様】と呼称している。
「あの人が言っていた通り、わたくしは【聖剣】エクスカリバーです!」
「そうれはそうなんだろうけど……」
陛下から言い渡された処罰は、王都からの追放――だけだで、どう考えても軽い対応だ。
でも疑問だった内容に解消され、今の自己紹介通り【聖剣】と【魔剣】に言い寄られたら拒否権はなかったということ。
あんなにかわいらしい交渉をしてはいたが、もはや笑顔で脅迫していたということになる。
「セリナも、ちゃんと教えてほしい」
「うん……今まで黙っていてごめんね。私は【魔剣】デュランダル」
「はぁ……」
今日だけでいろいろありすぎて、驚き疲れてしまって反射的にため息を吐き出してしまった。
なんとも複雑なのは、不敬でしかない彼女たちのおかげで俺は追放だけで済んだ。
でも門まで連行という名の散歩をしていた最中、ガレルさんが教えてくれてた。
自分でもわかっていなかったけど、聖剣との契約は生涯を通してのもののようで、どの道を辿ったとしても死刑を決行できなかったらしい。
ひたむきに努力し続けいたとはいえ、知識不足は否めなかったし、過去の契約者に尊敬の念を抱いた。
「で、俺はこれから2人をなんて呼んだらいいんだ」
「主様が望むままに!」
「セリナも偽名だったから、アレンが好きなように決めていいよ」
さすがに、そのまま剣の名前で呼んでいたら大変なことになりそうな未来を容易に想像できる。
であればセリナはそのままに、白銀の彼女をどう呼ぶか考えた方がいいと思う。
「セリナはそのままで。んー、名前の意図を悟られない方がいいだろうから、【聖剣】としての名前に全く関係ない名前になるけどいいか?」
「大丈夫です! どんなものでも!」
元気いっぱいで何より。
「メノウ、でどうだろうか」
「メノウ――わかりました、主様!」
「初見の人は混乱するだろうが、セリナは黒いけど綺麗な響きの名前だし、逆にメノウは白いけど元気溌剌という真逆の感じにしてみた」
「ふふっ、たしかに、私たちは見た目と中身が逆と言われたら否定はできなさそうね」
俺も当分は混乱しそうだけど、な。
「さて、これからどうするかだが――2人は、どうして目線を一度も合わせないんだ?」
「それはもう、どちらが主様にとっての1番か、が重要だからです」
「私は小さい頃からアレンと一緒に居るの。だから、私に決まっているわ」
「それで言ったら、わたくしは王都に来たときから主様を見てきた。そして、心から惹かれたから契約者として選ばせてもらったのだ」
「え、そうなの?」
もう驚かないと思っていたけど、新しい事実に反応してしまった。
「じゃあメノウは、7年間も見守り続けてくれていたってこと?」
「もちろんです主様。キッカケは偶然でも、自信を持って宣言できます」
「それはそれで恥ずかしいけどね」
俺が村を飛び出したのは、10歳の誕生日だった。
夢や目標をセリナ以外の全員から、否定され嘲笑われ、冷静さを欠いて駆け出し気が付いたときには村の外だった。
「だったら言わせてもらうけど、私だって7年間はアレンと毎日一緒に居たのよ」
言われてみたら、セリナとも長い付き合いだったな。
初めて顔を合わせた記憶があるのは、3歳の誕生日だったか。
正しくは両親から聞かされた内容で、幼少期の記憶を正確に把握しているわけじゃない。
でも、間違いないのは10歳の誕生日まで毎日一緒だったのは事実だ。
「落ち着きなよ2人共。だったら、同じ7年ってことで穏便に済ませようよ。【聖剣】と【魔剣】が力比べしたら、少なくともここら辺一帯は消し飛ぶでしょ?」
「主様がそうおっしゃられるのでしたら」
「アレンの名誉を守るためにも、飲み込むことにする」
「そうしてもらえると助かるよ」
名誉といっても、俺は聖騎士という役職を公言しないように言われてしまった。
結果的にそうなって、俺が聖騎士という事実を知っている人間は護衛兵と騎士団、後は身分的に把握している人たちぐらい。
だから王都の外で生活していたら、まず知られることはないだろうけど……結局は時間の問題でしかないよなぁ。
いくら少女の姿で生活できるとはいえ、戦闘するときに【聖剣】と【魔剣】が実態を成したら説明できない。
それに剣が人に成れる、という非常識な事実も隠し通せないだろうし困ったものだ。
「主様、まずは冒険者として活動するのはいかがでしょうか」
「なるほど、その手はありだな」
「お金は大事だもんね」
「だが、冒険者登録が可能な王都には入れない。そして、一番近くても夜までに到着することはできない」
「主様、今朝のようにびゅーんと移動しても無理なのでしょうか」
「そうか。メノウは記憶があったんだ」
「はい。ですので、一連の件で責任を感じています」
聖剣が持つ基本能力の話をしているのだろう。
今朝、物凄く役に立っていた悪意や敵意を察知する能力で、発端となった【魔剣】であるセリナと報告した人を止められなかったから、と。
でもその発言で、いろいろと納得ができた。
セリナに関しては俺にも責任がある。
自分が名誉ある聖騎士という身分にありながら、幼馴染であるということを理由に、【魔剣】であるという事実を知りながら王都へと運び入れてしまった。
そして報告されてしまったわけだけど、そのどれもに悪意や敵意はなかったということになる。
「メノウが気に病む必要はないよ」
「ありがとうございます主様!」
一瞬だけ落ち込んだ素振りを見せていたけど、一瞬でぱあっと表情が明るくなったね?
「それにしても、2人はずっとその恰好なの?」
メノウもセリナも、今はそれぞれの髪色と同様のドレスを身にまとっている。
捕虜みたいな扱いを受けていたであろう、と予測することしかできないけど、どうあってもドレスアップするような流れがあるとは思えない。
セリナに関しては、再会したときは私服だったのに【魔剣】から人間になったらあの姿だった。
「ご要望とあらば、いろんな姿に変わることもでき、装うものも変えることができます! 剣も、こんな感じに」
メノウは、俺が左腰に携えている剣と同じものを、少し白く光った後に自身の左腰へ実体化させた。
「私もできるよ」
セリナも同じく、右腰に携える剣と同じものを、少し黒く光った後に右腰へ実体化させた。
「2人共待ってくれ」
「はい」
「ん?」
「服装に関しては、できたら人目があるところでは控えてくれ」
「主様の前でなら問題ないのでは?」
「私も、アレンの前だったら大丈夫だよ?」
「そういう問題じゃない。一応確認するけど、着替え? をするときは光を放ち続けてくれるんだよな?」
即答を望んでいるが、なぜか「うーん」と考え始める2人。
「大丈夫です主様。いつでも体を預ける心の準備はできています!」
「私も、アレンにだったらいいよ……?」
「2人はなんの話をしているんだ」
「夜のお話ですよね、初めてなので優しくしてもらえると幸いです」
「もう結婚できる年齢だもんね、わかってるよ」
「違う違う! そんな話をしているわけじゃない!」
「主様、お待ちください!」
「あー! 逃げたー!」
俺は、込み上がってきた羞恥心を誤魔化すように広野を駆け出した。
数日前に誕生日を迎えて、17歳になったから、世間的にはセリナが言う通り結婚できる年齢になった。
でも聖騎士に成るため訓練し続けた俺は、女性との恋愛経験は皆無だし、いろいろと恥ずかしいって!
ああもう!
これからの追放生活はどうなってしまうんだよぉおおおおおおおおおおっ!
王都から出た俺たちは、今朝駆けていた広野を歩いている。
「ねえねえアレン、どこに行く?」
幼少期を思い出す、セリナの眩しい笑顔が俺に向けられる。
無邪気で、まだまだ幼気な少女というのは依然変わりないものの、女性としての魅力が開花しており控えめに言ってかわいい。
「その前に、できる限りの自己紹介をしてもらいたい」
「お任せください主様」
俺のことを主様と呼ぶ、純白と言ったらいいのか白銀と表現した方がいいのか――キラキラと輝きを放っているのかと錯覚してしまう長髪の彼女。
今日が初めましてに変わりないが、出会ったそのときから俺のことを【主様】と呼称している。
「あの人が言っていた通り、わたくしは【聖剣】エクスカリバーです!」
「そうれはそうなんだろうけど……」
陛下から言い渡された処罰は、王都からの追放――だけだで、どう考えても軽い対応だ。
でも疑問だった内容に解消され、今の自己紹介通り【聖剣】と【魔剣】に言い寄られたら拒否権はなかったということ。
あんなにかわいらしい交渉をしてはいたが、もはや笑顔で脅迫していたということになる。
「セリナも、ちゃんと教えてほしい」
「うん……今まで黙っていてごめんね。私は【魔剣】デュランダル」
「はぁ……」
今日だけでいろいろありすぎて、驚き疲れてしまって反射的にため息を吐き出してしまった。
なんとも複雑なのは、不敬でしかない彼女たちのおかげで俺は追放だけで済んだ。
でも門まで連行という名の散歩をしていた最中、ガレルさんが教えてくれてた。
自分でもわかっていなかったけど、聖剣との契約は生涯を通してのもののようで、どの道を辿ったとしても死刑を決行できなかったらしい。
ひたむきに努力し続けいたとはいえ、知識不足は否めなかったし、過去の契約者に尊敬の念を抱いた。
「で、俺はこれから2人をなんて呼んだらいいんだ」
「主様が望むままに!」
「セリナも偽名だったから、アレンが好きなように決めていいよ」
さすがに、そのまま剣の名前で呼んでいたら大変なことになりそうな未来を容易に想像できる。
であればセリナはそのままに、白銀の彼女をどう呼ぶか考えた方がいいと思う。
「セリナはそのままで。んー、名前の意図を悟られない方がいいだろうから、【聖剣】としての名前に全く関係ない名前になるけどいいか?」
「大丈夫です! どんなものでも!」
元気いっぱいで何より。
「メノウ、でどうだろうか」
「メノウ――わかりました、主様!」
「初見の人は混乱するだろうが、セリナは黒いけど綺麗な響きの名前だし、逆にメノウは白いけど元気溌剌という真逆の感じにしてみた」
「ふふっ、たしかに、私たちは見た目と中身が逆と言われたら否定はできなさそうね」
俺も当分は混乱しそうだけど、な。
「さて、これからどうするかだが――2人は、どうして目線を一度も合わせないんだ?」
「それはもう、どちらが主様にとっての1番か、が重要だからです」
「私は小さい頃からアレンと一緒に居るの。だから、私に決まっているわ」
「それで言ったら、わたくしは王都に来たときから主様を見てきた。そして、心から惹かれたから契約者として選ばせてもらったのだ」
「え、そうなの?」
もう驚かないと思っていたけど、新しい事実に反応してしまった。
「じゃあメノウは、7年間も見守り続けてくれていたってこと?」
「もちろんです主様。キッカケは偶然でも、自信を持って宣言できます」
「それはそれで恥ずかしいけどね」
俺が村を飛び出したのは、10歳の誕生日だった。
夢や目標をセリナ以外の全員から、否定され嘲笑われ、冷静さを欠いて駆け出し気が付いたときには村の外だった。
「だったら言わせてもらうけど、私だって7年間はアレンと毎日一緒に居たのよ」
言われてみたら、セリナとも長い付き合いだったな。
初めて顔を合わせた記憶があるのは、3歳の誕生日だったか。
正しくは両親から聞かされた内容で、幼少期の記憶を正確に把握しているわけじゃない。
でも、間違いないのは10歳の誕生日まで毎日一緒だったのは事実だ。
「落ち着きなよ2人共。だったら、同じ7年ってことで穏便に済ませようよ。【聖剣】と【魔剣】が力比べしたら、少なくともここら辺一帯は消し飛ぶでしょ?」
「主様がそうおっしゃられるのでしたら」
「アレンの名誉を守るためにも、飲み込むことにする」
「そうしてもらえると助かるよ」
名誉といっても、俺は聖騎士という役職を公言しないように言われてしまった。
結果的にそうなって、俺が聖騎士という事実を知っている人間は護衛兵と騎士団、後は身分的に把握している人たちぐらい。
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いくら少女の姿で生活できるとはいえ、戦闘するときに【聖剣】と【魔剣】が実態を成したら説明できない。
それに剣が人に成れる、という非常識な事実も隠し通せないだろうし困ったものだ。
「主様、まずは冒険者として活動するのはいかがでしょうか」
「なるほど、その手はありだな」
「お金は大事だもんね」
「だが、冒険者登録が可能な王都には入れない。そして、一番近くても夜までに到着することはできない」
「主様、今朝のようにびゅーんと移動しても無理なのでしょうか」
「そうか。メノウは記憶があったんだ」
「はい。ですので、一連の件で責任を感じています」
聖剣が持つ基本能力の話をしているのだろう。
今朝、物凄く役に立っていた悪意や敵意を察知する能力で、発端となった【魔剣】であるセリナと報告した人を止められなかったから、と。
でもその発言で、いろいろと納得ができた。
セリナに関しては俺にも責任がある。
自分が名誉ある聖騎士という身分にありながら、幼馴染であるということを理由に、【魔剣】であるという事実を知りながら王都へと運び入れてしまった。
そして報告されてしまったわけだけど、そのどれもに悪意や敵意はなかったということになる。
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「ありがとうございます主様!」
一瞬だけ落ち込んだ素振りを見せていたけど、一瞬でぱあっと表情が明るくなったね?
「それにしても、2人はずっとその恰好なの?」
メノウもセリナも、今はそれぞれの髪色と同様のドレスを身にまとっている。
捕虜みたいな扱いを受けていたであろう、と予測することしかできないけど、どうあってもドレスアップするような流れがあるとは思えない。
セリナに関しては、再会したときは私服だったのに【魔剣】から人間になったらあの姿だった。
「ご要望とあらば、いろんな姿に変わることもでき、装うものも変えることができます! 剣も、こんな感じに」
メノウは、俺が左腰に携えている剣と同じものを、少し白く光った後に自身の左腰へ実体化させた。
「私もできるよ」
セリナも同じく、右腰に携える剣と同じものを、少し黒く光った後に右腰へ実体化させた。
「2人共待ってくれ」
「はい」
「ん?」
「服装に関しては、できたら人目があるところでは控えてくれ」
「主様の前でなら問題ないのでは?」
「私も、アレンの前だったら大丈夫だよ?」
「そういう問題じゃない。一応確認するけど、着替え? をするときは光を放ち続けてくれるんだよな?」
即答を望んでいるが、なぜか「うーん」と考え始める2人。
「大丈夫です主様。いつでも体を預ける心の準備はできています!」
「私も、アレンにだったらいいよ……?」
「2人はなんの話をしているんだ」
「夜のお話ですよね、初めてなので優しくしてもらえると幸いです」
「もう結婚できる年齢だもんね、わかってるよ」
「違う違う! そんな話をしているわけじゃない!」
「主様、お待ちください!」
「あー! 逃げたー!」
俺は、込み上がってきた羞恥心を誤魔化すように広野を駆け出した。
数日前に誕生日を迎えて、17歳になったから、世間的にはセリナが言う通り結婚できる年齢になった。
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