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第三章
第20話『パーティ結成のパーティー!』
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「乾杯っ」
街散策を終えた夜、俺たちは昼間に行った店とはまた別の店に訪れている。
広々とした店内で周りの客もわきあいあいとグラスをぶつけあったり、明るい表情に声色の宴会、誰かの愚痴が飛び交ったり――といった雰囲気に、俺たちも溶け込んでいた。
「なるほど、そういうことだったのか」
「ええ。当然の報酬だから、アレンは受け取らずにはいられないわよね」
少しの間だけフローラと別行動をしていて、その時間でパーティ脱退申請を済ませモンスター討伐報酬を受け取っていたようだ。
「だが、どうやってあのモンスターを討伐したと証明したんだ?」
「あいつの体毛が剣に絡まっていて、提示したら納得してくれたの」
「それに、討伐依頼を受けていたはずのパーティメンバーが帰還したのに報告がなく、わたしが同行していなかった点も材料として含まれていたみたい」
「いろいろと強引な気もするが、だが討伐したという事実はある。少し捜索すれば、あいつが居なくなっていることぐらいすぐにわかるか」
「――でも、もっと強くなる必要が出てきちゃったけど」
「フローラなら大丈夫」
それもそうか。
要は、フローラが仲間を逃がすまで時間を稼いだ挙句、単身で大型モンスターを討伐したことになる。
事実そうではなくても、俺という存在を出すわけにもいかないと判断した配慮の結果が、報酬金の全てを渡してきたのだろう。
謝礼金という名目だったら受け取らなかったが、正当な理由だから断ることもできない。
「とりあえずパーティ結成パーティーを楽しもう」
既に料理が並べられており、メノウに関してはジョッキをぶつけてからジュースを一気飲みしてしまうも、俺が料理に手を付けないから目を輝かせて口を開けっぱなしにしていても待機している。
食いしん坊ではないのだろうが、全てが新鮮で楽しいのだろう――と考えている場合じゃないな。
「じゃあ――」
俺が食べ始めるのをぱあっと明るい笑顔で見届け、メノウも食事開始。
律儀なのはいいが、誰が先とか気にしないで食べてほしいものだ。
セリナに関しても俺が食べるまで待機していたし、こうも気を遣われるといろいろとやりにくく感じてしまう。
「そういえばセリナは小さい頃、よくバレずに生活できていたな」
「さすがに最初はいろいろと頭を悩ませたわよ。強引かもしれないけど、両親が居ない設定にしちゃえばいいかなって思ったりもした」
「俺と出会った時期的に難しかったか」
「そうね。さすがに3歳で1人暮らしは、いろいろと言い訳が苦しいから。でもね、意外と簡単だったわよ」
「へぇ?」
「ここではやめておくけど、人間っぽい存在を魔法によって形成したの」
「何それ」
「意思疎通を図るぐらいなら難しくない程度で、小難しい話は無理。体を動かすような村行事荷参加することもできない感じだけどね」
「ああ、だから病弱――という設定だったのか」
セリナはこくりと首を縦に動かした。
目覚めたのは俺に触れられてから、と言っていたのにもかかわらず、そんなことよく考えたものだ。
少なくとも、3歳は年上……と言っていいのかわからないが、当時の俺は木の棒を振り回してるだけで楽しかった子供だったぞ。
辛うじて右と左がわかるぐらい、と言いたいが孤立して森で迷子になっていたというのに。
そう考えると3歳なのだから当たり前、と片づけられる部分と、好奇心旺盛すぎるし突き動かされすぎだろ、と軽く説教したくなってしまう。
だってさ、セリナと出会うことがなかったら最悪の事態になっていたのは明白なわけだし。
「村を襲おうとしていたモンスターは食べ放題だし、獰猛な獣も人知れず討伐していただいていたわよ」
「村を守ってくださり、ありがとうございます」
「だから、最初は不安だったけど思っていた以上に生活が苦労することはなかったの」
「なるほどなぁ」
「随分と凄い話が展開されているわね」
「まあ懐かしい昔話みたいなもんだ」
若干顔が引きつっているフローラの心境は理解できる。
当時は何も疑問に思うことなく生活していたし、今となっても状況が状況だから、とんでもない話でも抵抗なく受け入れることができてしまう。
そんな自分が怖くもあるが、全部事実だしすんなりと納得できる。
「でも面白いかも。アレンが小さい頃の話なんて聞いたことがなかったから」
「私は逆に、アレンが成長していく姿を見ていないからフローラの話も聞かせて」
「その辺からなら、わたくしも参戦できる」
「楽しそうにしてくれるのはいいけど、この会はパーティ結成祝いと未来への希望とかを話す場所だと思うけどね?」
「それはそれ、これはこれよ」
「そうね」
「美味しいご飯を食べられるだけでお祝いです!」
メノウの意見に関しては、それだったら毎食がお祝いになるだろう。
しかし、その心の底から幸せを感じている満面の笑みを見ると虚言ではないとわかる。
「俺が気恥ずかしくなるような話を続けるのは否定しないが、せめて宿の話と明日の話だけ決めておかないか」
「ふっふっふ、宿は既に手配済みよ。1人1部屋だから、そこまで値が張る場所にはしていないけど」
「行動が早くて助かる」
「ここからは少し離れているけど、冒険者ギルド付近だから行動もしやすいわよ」
「さすがは冒険者として活動していただけはあるな」
「お褒めに預かり光栄です」
まあ、フローラが手際よく物事を運べるのは今に始まったことではない。
騎士団に所属していたときも、食事の用意をする手際の悪い男たちを見兼ね、率先して食材を切ったりしていた。
その他諸々もあるが、総じて言えることは広く視野を持って周りへの気遣いができる、それがフローラだったな。
「主様、もっといろんなものを食べたいですっ」
「自分の胃袋と相談しながら食べるんだぞ。残すのはダメだからな」
「ほどほどにしろと言うことですね、わかりましたっ」
「セリナ、見張りを頼む」
「任せてちょうだい」
本当、こういうときに落ち着きのあるセリナが居てくれると助かる。
メノウは無邪気でかわいい女の子って感じで――犬でもあるその姿は、見ていて癒されるからいいんだけど。
「主様。少しだけわたくしの名誉を回復するために発言してもよろしいでしょうか」
「ん?」
食事の手を止めて背筋を伸ばすメノウ。
名誉を回復する、とはどういう意味だろうか。
「わたくしより、メノウの方が食べますよ」
「え?」
「こんな澄ました顔で、おしとやか風に装ってますがセリナは悪食であり大食いと言ってもいいほどです」
「そんなわけがないだろ。セリナだぞ? こんな華奢で体の線が綺麗な女の子が、まさかそんな」
「……」
どこか嬉しそうに口角が上がっているような気もするけど、なぜか返答がない。
え? まさか本当に?
「セリナ、本当なのか?」
「ええまあ、肯定するのは恥ずかしいけれど」
「うっそ」
ま、待てよ。
冷静に考えたら、モンスター肉を食べていた時点でメノウの発言は必然的に証明されている。
しかもセリナの発言を思い返すと、村を守るために『モンスターや獰猛な獣を食べていた』と言っていたな……。
「主様、わかってくださいましたか?」
「そうだなメノウ。俺が発言を撤回するべきだ」
「信じてくださってありがとうございますっ」
「雰囲気が和んでいるところ申し訳ないのだけれど。今度は私の名誉が傷付いたわよ?」
「事実は事実。自分だけ主様から良い様に見られようとする方が悪い」
「否定はしないけど」
ん――?
「じゃあ俺は、どうなるんだ」
「アレを食べられるから、どうなるのかしらね」
「どんな主様になっても、わたくしは気にしませんよ」
「食べられる物の選択肢が増える程度に収まっていそうだし、気にしなくてもいいんじゃ?」
「フローラの言う通りではある。食事量は人並みだし」
難しく考えても仕方がないか。
「じゃあ明日の予定だけど、討伐依頼を受けるってことでいいか?」
「ええ、大丈夫よ」
「みんなの力を確認しておきたいし、自分の力も把握しておきたい。お金も必要だから」
「じゃあ、そうと決まれば。メノウ、セリナと相談して追加注文していいぞ」
「ありがとうございますっ!」
激動の2日間だったわけだし、今ぐらいは全部忘れて楽しまないと、だよな。
街散策を終えた夜、俺たちは昼間に行った店とはまた別の店に訪れている。
広々とした店内で周りの客もわきあいあいとグラスをぶつけあったり、明るい表情に声色の宴会、誰かの愚痴が飛び交ったり――といった雰囲気に、俺たちも溶け込んでいた。
「なるほど、そういうことだったのか」
「ええ。当然の報酬だから、アレンは受け取らずにはいられないわよね」
少しの間だけフローラと別行動をしていて、その時間でパーティ脱退申請を済ませモンスター討伐報酬を受け取っていたようだ。
「だが、どうやってあのモンスターを討伐したと証明したんだ?」
「あいつの体毛が剣に絡まっていて、提示したら納得してくれたの」
「それに、討伐依頼を受けていたはずのパーティメンバーが帰還したのに報告がなく、わたしが同行していなかった点も材料として含まれていたみたい」
「いろいろと強引な気もするが、だが討伐したという事実はある。少し捜索すれば、あいつが居なくなっていることぐらいすぐにわかるか」
「――でも、もっと強くなる必要が出てきちゃったけど」
「フローラなら大丈夫」
それもそうか。
要は、フローラが仲間を逃がすまで時間を稼いだ挙句、単身で大型モンスターを討伐したことになる。
事実そうではなくても、俺という存在を出すわけにもいかないと判断した配慮の結果が、報酬金の全てを渡してきたのだろう。
謝礼金という名目だったら受け取らなかったが、正当な理由だから断ることもできない。
「とりあえずパーティ結成パーティーを楽しもう」
既に料理が並べられており、メノウに関してはジョッキをぶつけてからジュースを一気飲みしてしまうも、俺が料理に手を付けないから目を輝かせて口を開けっぱなしにしていても待機している。
食いしん坊ではないのだろうが、全てが新鮮で楽しいのだろう――と考えている場合じゃないな。
「じゃあ――」
俺が食べ始めるのをぱあっと明るい笑顔で見届け、メノウも食事開始。
律儀なのはいいが、誰が先とか気にしないで食べてほしいものだ。
セリナに関しても俺が食べるまで待機していたし、こうも気を遣われるといろいろとやりにくく感じてしまう。
「そういえばセリナは小さい頃、よくバレずに生活できていたな」
「さすがに最初はいろいろと頭を悩ませたわよ。強引かもしれないけど、両親が居ない設定にしちゃえばいいかなって思ったりもした」
「俺と出会った時期的に難しかったか」
「そうね。さすがに3歳で1人暮らしは、いろいろと言い訳が苦しいから。でもね、意外と簡単だったわよ」
「へぇ?」
「ここではやめておくけど、人間っぽい存在を魔法によって形成したの」
「何それ」
「意思疎通を図るぐらいなら難しくない程度で、小難しい話は無理。体を動かすような村行事荷参加することもできない感じだけどね」
「ああ、だから病弱――という設定だったのか」
セリナはこくりと首を縦に動かした。
目覚めたのは俺に触れられてから、と言っていたのにもかかわらず、そんなことよく考えたものだ。
少なくとも、3歳は年上……と言っていいのかわからないが、当時の俺は木の棒を振り回してるだけで楽しかった子供だったぞ。
辛うじて右と左がわかるぐらい、と言いたいが孤立して森で迷子になっていたというのに。
そう考えると3歳なのだから当たり前、と片づけられる部分と、好奇心旺盛すぎるし突き動かされすぎだろ、と軽く説教したくなってしまう。
だってさ、セリナと出会うことがなかったら最悪の事態になっていたのは明白なわけだし。
「村を襲おうとしていたモンスターは食べ放題だし、獰猛な獣も人知れず討伐していただいていたわよ」
「村を守ってくださり、ありがとうございます」
「だから、最初は不安だったけど思っていた以上に生活が苦労することはなかったの」
「なるほどなぁ」
「随分と凄い話が展開されているわね」
「まあ懐かしい昔話みたいなもんだ」
若干顔が引きつっているフローラの心境は理解できる。
当時は何も疑問に思うことなく生活していたし、今となっても状況が状況だから、とんでもない話でも抵抗なく受け入れることができてしまう。
そんな自分が怖くもあるが、全部事実だしすんなりと納得できる。
「でも面白いかも。アレンが小さい頃の話なんて聞いたことがなかったから」
「私は逆に、アレンが成長していく姿を見ていないからフローラの話も聞かせて」
「その辺からなら、わたくしも参戦できる」
「楽しそうにしてくれるのはいいけど、この会はパーティ結成祝いと未来への希望とかを話す場所だと思うけどね?」
「それはそれ、これはこれよ」
「そうね」
「美味しいご飯を食べられるだけでお祝いです!」
メノウの意見に関しては、それだったら毎食がお祝いになるだろう。
しかし、その心の底から幸せを感じている満面の笑みを見ると虚言ではないとわかる。
「俺が気恥ずかしくなるような話を続けるのは否定しないが、せめて宿の話と明日の話だけ決めておかないか」
「ふっふっふ、宿は既に手配済みよ。1人1部屋だから、そこまで値が張る場所にはしていないけど」
「行動が早くて助かる」
「ここからは少し離れているけど、冒険者ギルド付近だから行動もしやすいわよ」
「さすがは冒険者として活動していただけはあるな」
「お褒めに預かり光栄です」
まあ、フローラが手際よく物事を運べるのは今に始まったことではない。
騎士団に所属していたときも、食事の用意をする手際の悪い男たちを見兼ね、率先して食材を切ったりしていた。
その他諸々もあるが、総じて言えることは広く視野を持って周りへの気遣いができる、それがフローラだったな。
「主様、もっといろんなものを食べたいですっ」
「自分の胃袋と相談しながら食べるんだぞ。残すのはダメだからな」
「ほどほどにしろと言うことですね、わかりましたっ」
「セリナ、見張りを頼む」
「任せてちょうだい」
本当、こういうときに落ち着きのあるセリナが居てくれると助かる。
メノウは無邪気でかわいい女の子って感じで――犬でもあるその姿は、見ていて癒されるからいいんだけど。
「主様。少しだけわたくしの名誉を回復するために発言してもよろしいでしょうか」
「ん?」
食事の手を止めて背筋を伸ばすメノウ。
名誉を回復する、とはどういう意味だろうか。
「わたくしより、メノウの方が食べますよ」
「え?」
「こんな澄ました顔で、おしとやか風に装ってますがセリナは悪食であり大食いと言ってもいいほどです」
「そんなわけがないだろ。セリナだぞ? こんな華奢で体の線が綺麗な女の子が、まさかそんな」
「……」
どこか嬉しそうに口角が上がっているような気もするけど、なぜか返答がない。
え? まさか本当に?
「セリナ、本当なのか?」
「ええまあ、肯定するのは恥ずかしいけれど」
「うっそ」
ま、待てよ。
冷静に考えたら、モンスター肉を食べていた時点でメノウの発言は必然的に証明されている。
しかもセリナの発言を思い返すと、村を守るために『モンスターや獰猛な獣を食べていた』と言っていたな……。
「主様、わかってくださいましたか?」
「そうだなメノウ。俺が発言を撤回するべきだ」
「信じてくださってありがとうございますっ」
「雰囲気が和んでいるところ申し訳ないのだけれど。今度は私の名誉が傷付いたわよ?」
「事実は事実。自分だけ主様から良い様に見られようとする方が悪い」
「否定はしないけど」
ん――?
「じゃあ俺は、どうなるんだ」
「アレを食べられるから、どうなるのかしらね」
「どんな主様になっても、わたくしは気にしませんよ」
「食べられる物の選択肢が増える程度に収まっていそうだし、気にしなくてもいいんじゃ?」
「フローラの言う通りではある。食事量は人並みだし」
難しく考えても仕方がないか。
「じゃあ明日の予定だけど、討伐依頼を受けるってことでいいか?」
「ええ、大丈夫よ」
「みんなの力を確認しておきたいし、自分の力も把握しておきたい。お金も必要だから」
「じゃあ、そうと決まれば。メノウ、セリナと相談して追加注文していいぞ」
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