幼馴染な魔剣ちゃんと契約した聖剣ちゃんたちと行く追放ライフ~聖剣と契約できたのに、魔剣と関りが発覚して追放されたが、冒険者人生を謳歌する~

椿紅颯

文字の大きさ
28 / 35
第四章

第28話『聖剣ちゃんと魔剣ちゃんの勘』

しおりを挟む
「ごちそう様でした」

 食事を終えた俺たちは、移動をせず休憩に入る。

「骨もバッキバキに食べられるの凄すぎ」
「わたし的には、驚きを通り越して豪快な感じが見ていて気持ちいいわ」

 本当に、胃袋もどうなっているのかわからないが、味覚もどうなっているのかわからない。
 生の状態でも食べられるようだし、間違いなく俺たちとは――え、もしかして流れ的に俺も生で食べられちゃったりするの?

「さて、それはさておき。どうするの?」
「主様のご命令とあらば、いつでも対応できます!」
「まあ放置しておいていいんじゃないか」
「ん? なんの話をしているの?」
「さっきの問いに対する答えみたいなもんだな」

 まあ、セリナの目配りとメノウがそわそわし始めてから気が付いた俺は、完全に遅れていたわけだけど。

が近くに居て、こちらの様子を窺っている」
「えっ!?」
「しかも彼だけではなく、小型モンスターも」
「そんなまさか……」
「数が多い。このまま普通に話をしている感じを保とう。動くときはこっちからだ」
「わ、わかったわ」

 察知できるのは少なくとも30体。
 小型モンスターと言えど、ここまで多いと並大抵の冒険者では対応が厳しいものになるだろう。
 しかも不意の奇襲というカタチになれば、命を落とす可能性も十分にありえる。

 まあ、俺たちには該当しない話ではあるが。

「逆に不意打ちをしよう。たぶんあいつは、俺を標的として定めている可能性が高い」
「お任せください主様。顔の形がわかる程度であれば問題ありませんか?」
「メノウ、それはさすがにやりすぎよ。腕一本切り落とすぐらいがちょうどいいの」
「やっぱり俺が行った方がいいかな」
「いいえ主様お任せください」
「今のアレンが行ったら、頭だけになってしまうわよ」
「俺をなんだと思っているんだ。街中でやった程度には力加減はできるぞ。た、たぶん」

 いや、怖くなってきた。
 あのときは奇跡的に成功しただけで、「動き出そうとした瞬間に勝利は確定した」的なことを言われていたし、本当に運がよかっただけなのかもしれない……。

「剣があったら、わたしも何かできたのに。ごめんなさい」
「気にすることはない。やることも決まったことだし、さっさと終わらせるか」
「いざっ」

 メノウが動き出したかと思えば、セリナもほぼ同じく動き出し――いつものかわいらしい掛け声はなく、響き渡ったのは断末魔のみ。
 すぐに終わることはわかっているから、俺たちも立ち上がる。

「う、うわぁああああああああああ!? な、なんだお前たち!? ぐはっ――」

 と、モンスターの声は1つも聞こえてこなかった。
 そしてぶっ飛ばされて体が地面を擦りながら俺たちの前に来た例の男。

「へっ?」
「俺、しつこい男は嫌われるぞって忠告したよな」
「は、はい――って素直に従うわけがないだろぉ!」
「想像以上に元気だな」
「いてぇええええええええええっ」

 状況が状況だというのに、強情な態度を示したまま立ち上がろうとした男は殴られたであろう患部を抑えている。
 悲痛な叫びと歪んだ顔から痛みを予想するが、たぶん折れてるだろうな。

「ねえ、本当にもう終わりにしましょう。もうパーティですらないのよ、わたしたち」
「たかがパーティだろ。それで関係が断たれるなんて理不尽すぎる」
「そっちのパーティだってもう解散したのでしょ? それに、ちゃんと言葉にして断ったじゃない」
「い、1回だけで諦めるはずがない。諦められるはずがない。なあフローラ、俺はキミのことが好きなんだ」
「だから、その気持ちには応えられない」
「や、やっぱり、その男が悪いんだ! そうだろフローラ!? そそのかされているだけなんだ!」

 あまりにも聞き分けが悪い男だ。
 軽い助言のつもりだったが、ここまで明確な言葉にされても引き下がるどころか他人のせいとは。

「俺が守ってやっていたんだから、これからも俺の傍に居てくれたらいいんだ。それに、あのときは俺を守ろうとして庇ってくれたんだろ?」

 もはや恋心を通り越して、フローラに対して抱く気持ちは所有欲だな。
 フローラがどんな志を抱き、自分が信じる正義を貫く強さを持っているのかも理解しようとしていない様子だ。

 だからこそ、今の苦しんでいる表情を見たらわかる。

 フローラはこの男を含み、パーティの仲間と過ごす時間が心の底から楽しかったんだろう。
 大型個体との戦闘時に何が起きたかはわからないが、そんな大切な仲間だったからこそ、自分と盾にして逃がしただろうに。
 それすらも考えようとせず、自分の良い様に変換し、考えを押し付けるなんて……本当に救いようがない。

「あなたがやっていることは、もう全てわかっているの」
「はぁ……?」
「魔法を扱えるんでしょ?」
「な、なんでそれを!? い、いや違う! お、俺がそんな大罪を犯すはずがないだろ! 変な考えをこじつけるのはやめろ!」

 男が身振り手振りに胡散臭い演技をしている最中、俺はふと左腕に見えた模様みたいなものを発見した。

「なあ、じゃあ左腕を見せてくれないか」
「はぁ? なんでお前なんかの指示に従わないといけないんだよ」
「……あのときも左腕を庇っていた。もしかして」
「うるさいうるさいうるさい!」
『セリナ、左腕の布だけを切り落とすことはできるか』
『お任せください主様!』

 完全な不意打ちになるが、そもそも仕掛けようとしていた人間にとやかく言われる筋合いはない。

「へっ?」
「……言い逃れはできないな」
「い、いつの間に!?」

 はらりと切れた布の後から姿を現したのは、歪に描かれた黒色の模様。
 何が書いてあるのか、何を意味しているのかはわからないが、異様で異質な雰囲気だけは感じ取れる。

「魔の者に施された呪いみたいなものね。代償を何にしたのかは疑問だけど」
「ど、どうしてそれを……」
「まあ、知っているから知っているのよ」
「大罪どころか禁忌とされているものじゃない……」
「そ、そんなわけがないだろう。口から出まかせに決まってる」
「そう? だったら、騎士団に突き出したら答えがわかるというものね」
「や、やめてくれ! 死刑になっちまう!」

 口は禍の元とはよく言ったものだ。

「ああ、もうやってられるか! 全部めちゃくちゃにしてやる! 来い!」

 男は右腕を突き上げたかと思えば、遠くから鳴き声のような遠吠えのようなものが響き渡ってきた。

「もうおしまいだ。全部、全部! お前が悪いんだ!」

 そういう男は俺を指さす。

「はいはい、全部俺のせいね」
『シィーッ!』
『ワオーン!』
「ふはは、ははははははははははっ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

《レベル∞》の万物創造スキルで追放された俺、辺境を開拓してたら気づけば神々の箱庭になっていた

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティーの雑用係だったカイは、魔王討伐後「無能」の烙印を押され追放される。全てを失い、死を覚悟して流れ着いた「忘れられた辺境」。そこで彼のハズレスキルは真の姿《万物創造》へと覚醒した。 無から有を生み、世界の理すら書き換える神の如き力。カイはまず、生きるために快適な家を、豊かな畑を、そして清らかな川を創造する。荒れ果てた土地は、みるみるうちに楽園へと姿を変えていった。 やがて、彼の元には行き場を失った獣人の少女やエルフの賢者、ドワーフの鍛冶師など、心優しき仲間たちが集い始める。これは、追放された一人の青年が、大切な仲間たちと共に理想郷を築き、やがてその地が「神々の箱庭」と呼ばれるまでの物語。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

処理中です...