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第2部・第一章
第3話『本命連絡』
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「それでは一旦、配信を終わります。皆さん、ありがとうございました」
[おつおつー]
[お疲れ様でした!]
[次の配信も楽しみにしてますね!]
さっそく盾の新しい使用方法で戦闘を試み、それを配信した。
たった今、配信が終わったばかりなのだが……和昌だけが、両膝に手をついて「ぜーはー」と息を切らしている。
「やっばいこれ……このままだと長く戦えない」
余裕をもって全員で戦い、モンスターも比較的弱い部類を選んだ。
しかし剣から盾での戦い方へ変えた途端、距離が一気に縮まったように感じでしまった。
そうともなれば、そもそも戦闘に慣れていないのだから緊張感が増してしまう。
結果、和昌はいつもより余計に体力を消耗して息が上がってしまっていたのだ。
「見るからに大変そうだったね~」
「でも、視聴者は随分と楽しそうに観てたよ」
「やっぱりさぁ~、視聴者層的にはやっぱり憧れるんだろうね。カズもそうだったみたいに」
「い、いいだろ別に」
「でも私もやってみたい」
「わかる」
憧れの装備が目の前に、という気持ちが湧き上がってくるも『気軽に借りたら力が暴走した』という恐ろしい出来事を想像してしまい、天乃と芹那は気軽にお願いできないでいる。
「だけど、さすがに盾でモンスターを切断とかはできなかったな」
「とは言っても、そこまで力を入れないでモンスターをぶっ飛ばしてたじゃん」
「壁までドーンッて、しかも衝撃だけで倒せちゃったしね」
「普通に強すぎるよね。レア装備で手に入れたのが剣じゃなく飛び道具だったら、本当にチートすぎだったよ」
盾の隙間から銃で敵を狙い撃ちなんて、なんてカッコいいんだ。と、和昌は1人で鼻息を荒くする。
「でもその装備、まだまだ検証していかないとだよね。モンスターはぶっ飛ばせるし、剣とは違って物体には干渉できるし。盾から剣を出して攻撃とかっていうのもまだ試してないよね?」
「言われてみればそうだった」
しかし思う。
盾は手袋を中心に展開される。両手を合わせて結界のように展開し、そのまま剣で攻撃しようとすればシールドの位置がぐわんぐわん動いてしまうのでは、と。
「どうせこの後は戦わないんだし、やってみるか」
和昌は立ち上がり、3人から距離を取る。
「こうやって、こう」
両手それぞれでシールドを展開し、合わせる。
すると、すぐに半球面状のシールドに変形。
「動いてみると……付随してくる。ってのは把握済みとして、万歳っ――ほほう」
大きく両手を広げてみると、少しも位置が動くことはなかった。
「じゃあ、中で飛んだり跳ねたりしても大丈夫ってことだ。じゃあ次は剣で攻撃できるか、か」
配布剣を抜刀し、とりあえず構える。
「さ、さすがに折れたりはしないよな?」
と、一応だけでも保険をかけて突いてみると――。
「おぉ、できるのか」
剣先だけがシールドの外へ飛び出した。
「こりゃあ凄い――って、えぇ!?」
剣を引き戻したところ、なんとなんと、シールドが居に飛び出ていた剣身がパキンッと折れ落ちてしまったのだ。
悲しくも先端がなくなってしまった剣へ視線を向け、シールドを消滅させる。
「う、嘘だろぉ……」
たった数日ではあるが、相棒として戦ってくれた剣が無残な姿になってしまい泣きそうになる。
とりあえず折れてしまった部位を拾い上げ、肩を落しながら3人のところへ戻った。
「うわぁ、綺麗にいっちゃってるわね」
「ポキっとなって」
「ま、まあ良い収獲になったんじゃないかな……」
「慰めるのか、おちょくるのかどっちかにしてくれ」
折れた剣先を鞘へポトッと落とし、折って剣も納刀する。
「剣を修理か購入しなきゃだね」
「ちなみに、誰か値段とか知ってたりする?」
「知ってるわよ。配布剣は、使用不可になった場合連盟支部へ返却することになってるわよ。弁償代とかは0円」
「おぉ、それは良心的だ」
「だけど、それからは自分で剣を買わなきゃいけないのよ。同等の剣を購入する場合は、ざっと3万円ぐらいはするけど」
「さ、3万!? マジかよ……冗談抜きで、連盟って良心的だったのか……」
「そうね。だから、普通は3万円分以上は配布武器で稼げる計算になってるのよ」
「うぐっ」
今回の報酬があったから良かったものの、通常の狩りだけでは1万円程度しか稼げていない。
レア装備を手に入れていたから更に良かったものの、それがなければ路頭に迷っていたかもしれなかった。
「もう、いろいろと疲れたし地上へ戻ろ」
和昌は帰路の途中、終始お金の事ばかり考えていた。
しかし、ふと感じる。
「あれ。今、揺れた?」
「んー、どうだろ。歩いていたからわからない」
「同じーく」
「私も」
「そっか」
「それじゃあご飯に行きましょ~っ!」
拳を空に突き、意気揚々と歩き出す真綾。
更にお金の事が脳裏に過ってしまう中、指輪が振動する。
「あ、みんなごめん。電話が来たから離れて歩くね」
「はいはーい」
受付嬢からの提案を活かす時が来た。
内ポケットからスマホを取り出し、応答する仕草を終えて耳に近づける。
「はい、どうかしました?」
『お疲れ様です。今、お時間はよろしかったですか?』
「大丈夫です。ちょうど狩りが終わって、ご飯に行くところなので。何か、報酬の件とかですか?」
『いえ、そうではありません。今回は重要な件で連絡させていただきました』
いつもより真剣さを帯びる声に、和昌は息を呑む。
『これより連絡する内容は、いつも通り口外はしないようお願い致します』
「わかりました」
『日付などの明確なものは観測できていませんが、そう遠くない日に【ダンジョン災害】が起きます』
「……なんですかそれ」
『地上では、ほとんど観測されることはありません。ですが、簡単に言ってしまえばダンジョンが"騒がしくなります"』
「地震とかっていうことですか?」
『簡単に言えばそうです。通常の探索者はその認識しかありません。ですが、この連絡を受ける人達は例外です』
「……」
『ダンジョンは、定期的とは言わずとも浄化作業のようなものが存在しております』
「スケールが大きすぎて理解できなさそうな話ですね」
『ええまあ。今の今まで、なぜそのような事が起きるのかを判明できていませんので、連盟としても未知数な事しかありません。ですが、予想はできるのです』
「ダンジョン内での揺れ、でですか」
ついさっき感じた事が、気のせいではなかったと結論付けることができた。
『そういうことです。そして、自浄作業というのはモンスターの大発生となっております』
「……それを討伐しろ、ということですか」
『そうでもありますが、それだけではありません』
「他に何が?」
『その大発生は、複数体のボスを討伐しなければ収まらないのです』
「えぇ……」
『安心してください。今回は、別の方もいらっしゃいますし、そのおかげでダンジョンの奥地まで行かなくて済みます。ですが――』
「地上に近いやつを倒せ、ということですね」
『そういうことになります』
「わかりました」
『最初にもお伝えいたしましたが、ダンジョンでの揺れは今後も小規模ながらに続きます。そして、ある日【ダンジョン災害】が発生します。ですので、その来る日まで準備をなさっておいてください。対峙するモンスターはかなり強力ですので』
「あまり現実味のない話ですけど、準備するしかないんですよね。わかりました」
『作戦が決行されるタイミングは突然になってしまいますが、必ず通達は致しますので』
「よろしくお願いします」
『それでは、失礼致します』
通話は終了し、3人の元へ小走りで向かう。
「お待たせ。それで、どこに行くか決まった?」
「回転寿司!」
「お、おう」
漠然とした話を考えようと思ったが、やはり金銭面の事で頭はいっぱいになってしまった。
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たった今、配信が終わったばかりなのだが……和昌だけが、両膝に手をついて「ぜーはー」と息を切らしている。
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そうともなれば、そもそも戦闘に慣れていないのだから緊張感が増してしまう。
結果、和昌はいつもより余計に体力を消耗して息が上がってしまっていたのだ。
「見るからに大変そうだったね~」
「でも、視聴者は随分と楽しそうに観てたよ」
「やっぱりさぁ~、視聴者層的にはやっぱり憧れるんだろうね。カズもそうだったみたいに」
「い、いいだろ別に」
「でも私もやってみたい」
「わかる」
憧れの装備が目の前に、という気持ちが湧き上がってくるも『気軽に借りたら力が暴走した』という恐ろしい出来事を想像してしまい、天乃と芹那は気軽にお願いできないでいる。
「だけど、さすがに盾でモンスターを切断とかはできなかったな」
「とは言っても、そこまで力を入れないでモンスターをぶっ飛ばしてたじゃん」
「壁までドーンッて、しかも衝撃だけで倒せちゃったしね」
「普通に強すぎるよね。レア装備で手に入れたのが剣じゃなく飛び道具だったら、本当にチートすぎだったよ」
盾の隙間から銃で敵を狙い撃ちなんて、なんてカッコいいんだ。と、和昌は1人で鼻息を荒くする。
「でもその装備、まだまだ検証していかないとだよね。モンスターはぶっ飛ばせるし、剣とは違って物体には干渉できるし。盾から剣を出して攻撃とかっていうのもまだ試してないよね?」
「言われてみればそうだった」
しかし思う。
盾は手袋を中心に展開される。両手を合わせて結界のように展開し、そのまま剣で攻撃しようとすればシールドの位置がぐわんぐわん動いてしまうのでは、と。
「どうせこの後は戦わないんだし、やってみるか」
和昌は立ち上がり、3人から距離を取る。
「こうやって、こう」
両手それぞれでシールドを展開し、合わせる。
すると、すぐに半球面状のシールドに変形。
「動いてみると……付随してくる。ってのは把握済みとして、万歳っ――ほほう」
大きく両手を広げてみると、少しも位置が動くことはなかった。
「じゃあ、中で飛んだり跳ねたりしても大丈夫ってことだ。じゃあ次は剣で攻撃できるか、か」
配布剣を抜刀し、とりあえず構える。
「さ、さすがに折れたりはしないよな?」
と、一応だけでも保険をかけて突いてみると――。
「おぉ、できるのか」
剣先だけがシールドの外へ飛び出した。
「こりゃあ凄い――って、えぇ!?」
剣を引き戻したところ、なんとなんと、シールドが居に飛び出ていた剣身がパキンッと折れ落ちてしまったのだ。
悲しくも先端がなくなってしまった剣へ視線を向け、シールドを消滅させる。
「う、嘘だろぉ……」
たった数日ではあるが、相棒として戦ってくれた剣が無残な姿になってしまい泣きそうになる。
とりあえず折れてしまった部位を拾い上げ、肩を落しながら3人のところへ戻った。
「うわぁ、綺麗にいっちゃってるわね」
「ポキっとなって」
「ま、まあ良い収獲になったんじゃないかな……」
「慰めるのか、おちょくるのかどっちかにしてくれ」
折れた剣先を鞘へポトッと落とし、折って剣も納刀する。
「剣を修理か購入しなきゃだね」
「ちなみに、誰か値段とか知ってたりする?」
「知ってるわよ。配布剣は、使用不可になった場合連盟支部へ返却することになってるわよ。弁償代とかは0円」
「おぉ、それは良心的だ」
「だけど、それからは自分で剣を買わなきゃいけないのよ。同等の剣を購入する場合は、ざっと3万円ぐらいはするけど」
「さ、3万!? マジかよ……冗談抜きで、連盟って良心的だったのか……」
「そうね。だから、普通は3万円分以上は配布武器で稼げる計算になってるのよ」
「うぐっ」
今回の報酬があったから良かったものの、通常の狩りだけでは1万円程度しか稼げていない。
レア装備を手に入れていたから更に良かったものの、それがなければ路頭に迷っていたかもしれなかった。
「もう、いろいろと疲れたし地上へ戻ろ」
和昌は帰路の途中、終始お金の事ばかり考えていた。
しかし、ふと感じる。
「あれ。今、揺れた?」
「んー、どうだろ。歩いていたからわからない」
「同じーく」
「私も」
「そっか」
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拳を空に突き、意気揚々と歩き出す真綾。
更にお金の事が脳裏に過ってしまう中、指輪が振動する。
「あ、みんなごめん。電話が来たから離れて歩くね」
「はいはーい」
受付嬢からの提案を活かす時が来た。
内ポケットからスマホを取り出し、応答する仕草を終えて耳に近づける。
「はい、どうかしました?」
『お疲れ様です。今、お時間はよろしかったですか?』
「大丈夫です。ちょうど狩りが終わって、ご飯に行くところなので。何か、報酬の件とかですか?」
『いえ、そうではありません。今回は重要な件で連絡させていただきました』
いつもより真剣さを帯びる声に、和昌は息を呑む。
『これより連絡する内容は、いつも通り口外はしないようお願い致します』
「わかりました」
『日付などの明確なものは観測できていませんが、そう遠くない日に【ダンジョン災害】が起きます』
「……なんですかそれ」
『地上では、ほとんど観測されることはありません。ですが、簡単に言ってしまえばダンジョンが"騒がしくなります"』
「地震とかっていうことですか?」
『簡単に言えばそうです。通常の探索者はその認識しかありません。ですが、この連絡を受ける人達は例外です』
「……」
『ダンジョンは、定期的とは言わずとも浄化作業のようなものが存在しております』
「スケールが大きすぎて理解できなさそうな話ですね」
『ええまあ。今の今まで、なぜそのような事が起きるのかを判明できていませんので、連盟としても未知数な事しかありません。ですが、予想はできるのです』
「ダンジョン内での揺れ、でですか」
ついさっき感じた事が、気のせいではなかったと結論付けることができた。
『そういうことです。そして、自浄作業というのはモンスターの大発生となっております』
「……それを討伐しろ、ということですか」
『そうでもありますが、それだけではありません』
「他に何が?」
『その大発生は、複数体のボスを討伐しなければ収まらないのです』
「えぇ……」
『安心してください。今回は、別の方もいらっしゃいますし、そのおかげでダンジョンの奥地まで行かなくて済みます。ですが――』
「地上に近いやつを倒せ、ということですね」
『そういうことになります』
「わかりました」
『最初にもお伝えいたしましたが、ダンジョンでの揺れは今後も小規模ながらに続きます。そして、ある日【ダンジョン災害】が発生します。ですので、その来る日まで準備をなさっておいてください。対峙するモンスターはかなり強力ですので』
「あまり現実味のない話ですけど、準備するしかないんですよね。わかりました」
『作戦が決行されるタイミングは突然になってしまいますが、必ず通達は致しますので』
「よろしくお願いします」
『それでは、失礼致します』
通話は終了し、3人の元へ小走りで向かう。
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