【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

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第2部・第一章

第2話『ダンジョンで活躍するなら、やはり盾』

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「――一旦、休憩っ」

 集合を果たした一行は、ウォーミングアップを終える。

 第1階層の安全地帯で腰を下ろしているわけだが、集合時に決めていた小会議を行うことになっていた。

「それで、何を話し合うの?」

 と、芹那せりな

「まあなんというか。情けないことを言っちゃうんだけど、俺の装備についてなんだよね」

 その強すぎる装備に、何を話し合うことがあるのかと思っている真綾まあや天乃そらの芹那せりなは首を傾げる。

「剣についてなんだ。この剣、状況によっては凄い能力を発揮するんだけど……普段からあれぐらいの力は出せないっぽいんだよね」
「あの光が溜まって、ドガーッて感じのやつ?」
「まだ確定したわけじゃないんだけど、なんかそうっぽい」

 和昌かずあきは、みんなが「えー」と落胆の声を漏らすと思っていたのだが、予想通りになることはなかった。

「それはそれで仕方がないんじゃないかな」
「うんうんっ、全部和昌くんに頼りっぱなしじゃよくないもん」
「それもそうなんだけど、あんなヤバいのをバンバンぶっ放されたらこっちも気が気じゃなくなるわよ」
「あー、それはあるかも。暴発して――とかも可能性としてはあるかもだし」
「えー? 私は大丈夫だったけど」
「可能性の話ね」

 真綾は自身が経験したからこそ言えるが、天乃と芹那からしたらまだ怖いところがある。
 ましてや、真綾のようにどうしようもなく覚悟を決めなければならない状況ではなく、狩りをしている時に流れ弾のようにくらってしまったら生きた心地がしないからだ。

「本当にその通りで、いくら剣の能力が望んだかたちで攻撃できるからといって、完全にそれを制御できるわけじゃない。今までが偶然で、これからはどうなるかわからないんだ」
「たしかにね。ゲームでもそうだけど、装備を手に入れたからって完全に所有者の意図通りに使えるとは限らないし」
「あるよねー、そういうの。なんていうんだっけそういうの……『飼い犬に手を噛まれる』みたいなそんな感じ」
「だな。俺が懸念しているのはまさにそれ」

 誘導したわけではないが、偶然にも和昌・天乃・芹那でゲーム話に花が咲いてしまう。
 ともなれば、

「あーもー! ゲームの話はダメーっ。私だけ仲間外れにしないで」

 と、真綾は腕を左右にブンブンと振って話を必死に遮ろうとする。

「ごめんごめん、つい身に覚えがあり過ぎて」
「なんだかなぁ~」

 頬を膨らませて不服を抱く真綾。
 それを見て、芹那が提案する。

「じゃあさ、タイミングを見計らって真綾もゲームやってみたらいいんじゃない? カズの家で」
「おい芹那、何を言っ――」
「え! それかなり興味ある!」

 さて、その食らい付きようはゲームに対してなのか、はたまた和昌の家にいけることに対してなのか。

「なんでいきなりそんなことになるんだよ!」
「なんだかんだ言って、パーティの親睦会的なことをやっていなかったから?」
「そ、それはおいておいてさ。話を戻してもいい?」

 和昌は、話題から逃れたい意味もあったが強引に話を戻す。

「剣の方はそんな感じだから、盾を有効活用できればいいなってね」
「ほほぉ~。そろそろ使い勝手がわかってきた、的な?」
「そうなんだよね。何回か使っている感じ、基本的には代償的なものが無さそうなんだよね」
「うわっ、本物のチート防具じゃん」
「しかも形状だけじゃなく、大きさも変化できるんでしょ?」
「まあそうだね」

 会話の最中ではあるが、天乃と芹那の言葉へ応えるように盾を腕位の大きさに展開する。

「あ、真綾がまた拗ねちゃうから、前もって謝っておくね?」
「へ?」
「ゲームの話なんだけど、ずっと疑問に思ってたことがここに来て腑に落ちたって話」
「ほほうほう。大丈夫、私は怒らないよ~」

 和昌・天乃・芹那は、真綾がニコニコしている顔へ視線を集め「断りを入れたらいいの?」と心の中で同時に呟く。

「正直な話、装備の名前っていうのは意味があると思う。だけど、レア装備とかっていうのはその意味を理解するのは難しい。だけど、なんとかソードとかなんとかシールドってところは共通だと思うの」
「たしかにそれはそうだね。言われてみたら、私も気になってきた。ガントレットシールドっていうのは、ゲームとか映像系でも少ないけど出てくるはするよね」
「そう。それで、そのどれもが共通して腕周りを防御する防具なんだよね。そして、大体が両手」
「あー、たしかにそうだな。しかもそれを装備している人達って、ガントレットで殴りに行ってたりするもんな」
「そうそう、まさにそれ」
「その盾で突っ込んでこられたら、モンスターもたまったもんじゃないわね」

 和昌は、それら物語で登場する盾を想像する。

「たしか……こんな感じだったか?」

 指先から肘までを完全に覆う、ひし形のシールド状を想像してみる。

「わお」
「うわー、それそれ。てか、想像した感じに形状変化できるって凄すぎない?」
「だよな。俺が一番驚いているよ。個人的にはもう少し大きい方がありがたいんだけど――これはこれで、動かしやすいし……ああ、そういうことか」
「お、カズも気がついたね。そういうこと」
「この盾も攻撃手段として扱っても良いんじゃないかってことか」
「どこかのヒーローとかは、1枚の盾を投げたりしたりもしてたけど。さすがにそれはできなさそうでしょ?」
「なんだか俺も観た覚えがあるな。とりあえず、俺は手袋が起点になってるからできないな」
「だよねー」

 ふと、天乃は呟く。

「じゃあさ、2枚の盾を自由にできるってことは2本の剣でも戦えるんじゃないかな」
「うわ~っ! それ、かっこいいじゃんっ」

 と、真綾は両手を地面について、かなり前のめりで話に食い付く。

「たしかにそれができたらカッコいいけど……普通に無理でしょ。俺はまだまだ初心者なんだし、絶対に戦闘中は頭が追いつかなくなるって」
「そうかな? やってみたら、案外できるかも!」
「やって慣れていくってのは、確かにその通りなんだけどさ。物語の登場人物みたいにはできないって」
「まあ、そこは気分で良いんじゃない?」
「いやまあでも、やってみたいって気持ちはあるけども……」

 和昌は、天乃と芹那から注がれる痛々しい人間を見るような目線――『中二病だ』という耳に届いてこない言葉が聞こえてきてしまう。

「いいだろ別に。それより、休憩はここら辺で終わりにしよう」
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