【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯

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第四章

第21話『報告の時間を活かして』

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「――という感じになってます」
『わかりました。思っていた以上ですね』

 昼食後の自由時間を活かし、和昌かずあきは受付嬢を連絡を取っていた。

「それにしても、そろそろ連絡開始までの時間を短くできませんか? 基本的には連絡待ち、俺からは先にメールで送るってめんどくさくて」
『ああ、言い忘れてましたけど緊急連絡方法はありますよ』
「え」
『私も普段は通常の業務をしているので、このような形式をとっています。ですが、今通話している番号に直接かけてくだされば対応できます』
「それを早く言ってくださいよ」
『ですが、それは緊急時だけです。緊急性はそちらの判断によりますが、忘れていけないのは限られている、ということです』
「……なるほど。それはたしかにそうですね」

 和昌は不満の1つでも言ってやろうかと身構えたものの、その言葉で冷静になる。

「それで、今もダンジョンに居るわけなんですけど」
『他に何かありましたか?』
「初めて12階層の待ちに辿り着いたんです」
『なるほど、随分と進みましたね』
「剣の件で相談させてもらったじゃないですか。それで、彩華さいか紅務こうむ店の方に素材採取を依頼されまして」
『随分と難易度が高そうな予感がしますね』
「ええ、まさにその通りで。窟蒼透石カタスマイト鑛石こうせきを沢山集めて来いって感じになりました」
『あー、あの希少とまではいかなくとも入手困難な鑛石こうせきですか。しかも沢山』
「15階層を目標にしているんですけど、かなり苦戦してしまって」
『本来はこのようなアドバイスは、この回線でしないのですが。特例の特例ですからね、特別に。難しく考えず、慣れていくのが一番の近道です』
「……なるほど、ありがとうございます」

 和昌かずあきは、ゲームの醍醐味だいごみを思い出す。
 低レベルであっても、ある程度なら試行錯誤すればモンスターを討伐することはできる。
 しかしセルフハードモードをせずとも、その前で経験値を積んでレベルアップをしたり、モンスターの行動パターンを把握すれば難なく突破できるということを。

 そして、よくゲームをしているときの言葉を思い出す。

「急がば回れということですね」
『そういうことです。葭谷よしたに様は4人で活動されていますので、連携力の慣れも必要になってきます。熟練度によっては、今後の動きも楽になってくるでしょう』
「本当、ゲームみたいな感覚になってきますよ」
『はて、なんのことでしょう』
「ごめんなさい、独り言です。あ」

 和昌は思い出す。

「ダンジョン災害って、どの程度まで……そう、レベル的なのってあるんですか?」
『ええ、あることにはありますが共有されているのは限られた人たちだけですので、そこまで気にしなくていいと思います。というより、判断基準も勉強してもらうことになりますので、いろいろと大変ですよ』
「あー、なるほど……それは大変そうなので、今度時間ができたときにしておきます」
(ゲームの知識を取り入れるみたいで、そこまで嫌いじゃなさそうでばあるけど、時間を作ってやる必要があるからな。やるだけならまだしも、みんなから隠れながらっていうのはかなり大変そう)

 和昌かずあきは、軽く想像するだけでも億劫な状況に肩を落す。

『そういえば、ダンジョンの中で活性化しているモンスターの中には階層を移動する存在も居ますのでご注意ください。そして、階層を守護しているボスにも影響が出始めますので、もしものときはご注意を』
「今の話、あんまり想像できないんですけど」
『そうですね、簡単に言いますと街にモンスターが侵入してくる恐れもあれば、そこを通過すれば地上にも進出してきます』
「え、ヤバいじゃないですか」
『そういうことです』
「ちょ、ちょっと待ってください。階層などを移動するモンスターの中に、階層ボスなんかも含まれるってことですか?」
『はいその通りです』
「え、じゃあダンジョン災害ってとんでもなくヤバいじゃないですか。俺がしならない、もっと下のボスも活発に動き始めるということですね」
『ええ、まあ。ですが、大きさとかもありますからね。大きくてそもそも階層を移動できないモンスターも居ますし、確定ではないですが一定の下層からは影響がないようです』
「あまりにも曖昧なんですね」
『そうですね。ですが、それは地上でも同じこと。ああ、それに中には階層入り口を破壊して進行してくるモンスターも居たりするので、そのときはたぶん出番になります』
「……考えたくない状況ですね。ですが、そのときは俺が動かないといけないぐらい危険な状況ということですよね」

 和昌の脳裏に過る、多額の報酬金。
 説明にもあった、金薬が上がれば上がるほどそれに比例して危険度も増していくという話は、想像できなくても心拍数を上げる材料としては十分であった。

『ええ、そうですね。最悪の想定という話ですと、街にモンスターの波が押し寄せ、それらを統率する様にボスも進行してくる。という感じですね』
「……その話を聴くと、本当に災害という言葉が相応しくなってきますね」
『その間、対処に当たる探索者や避難する民間人は揺れに襲われ続けたりもしますから』
「本当に、最悪の状況ですね。まさに地獄だ」
『とりあえず、今回の報告会はここまでにしましょう。素材集め、頑張ってください』
「珍しく応援してくださるんですね。ありがとうございます」
『それでは失礼します』

 返答を受け取ることなく通信を切られ、和昌かずあきはやれやれと息を吐き出す。

「じゃあ、戻るか」
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