ゲーマーパーティ転移―ゲーム中に異世界へ飛ばされましたが、レベルアップやステータスがあるので俺達は余裕で生き残ります―

椿紅颯

文字の大きさ
4 / 50
第一章

第4話『やっぱり俺達はこうでなきゃ』

しおりを挟む
 川辺っていうのは、いつでもどこでも落ち着くもんだな。

「さて、じゃあ二人だけだが考察でもするか」

 俺達はあの戦闘後、あの三人の提案で少し進んだところにある川辺で休憩することになった。
 といっても、本当にどっかりと休憩できるはずがなく、三人・三人・二人という感じで三角形の包囲網で展開している。

 そして俺は、アケミと。

「カ・ナ・ト。それより先に、私、言ったよね? 無理はしないでって」

 しかし、穏やかに話が始まるもなく。
 この人数割り振りはアケミが推薦してきた。
 理由はなんとなくわかるが、せっかくの美人さんが鬼の形相になっている。
 おー、怖い怖い。

「あれはだな。ほら、な? ゲーマーならやっぱ興味を持っちまったら試したくなるもんだろ?」
「ははーん。反省の色なし、なのね?」
「ま、まあ落ちつけよ」

 右拳にこれでもかと力を込め始めるアケミに両手を上げ、反抗する意志がないことを示す。

「気を取り直して、戦闘の感触はどうだった?」
「んー、本当に自分の体じゃないみたい。動けるは見えるはで、これはあれなのかな。ステータスとかが関係しているのかな」
「たぶん、そうだろうな。少なくとも、現実の俺はヒョロヒョロであんなモンスターと戦闘したら真っ先に死ぬ自信はある」

 三度の飯よりゲーム、を掲げて必至に動かしていたのはマウスを握る右手とキーボードを叩く指ぐらいだ。
 当たり前といえばそれまでなんだが。

「たぶんだが、レベルアップを繰り返せばこの感覚がずっと続くんだと思う。だから、低レベル時はずっとこの調子なんだろうな」
「うーん、強くなるのは嬉しいんだけど、それはそれで困りものだね」
「そういえば、タイミングが良いしステータスの確認でもするか」
「そうだね」

 俺は目を閉じ、少し遠くを覗くように意識を集中させる。

――――――――――
 カナト
 レベル:3
 耐力:3
 攻力:3
 防力:3
 減力:3
 敏力:3
 速力:3
 魔力:3
 理力:3
 アクディブスキル:【】
 パッシブスキル:【】
 ユニークスキル:【】
――――――――――

 なるほど。
 レベルアップにつれて、各ステータスも1ずつ上昇するんだな。
 そんでもって、アクディブスキルは今後獲得する戦闘時に使えるスキルで間違いない。
 ここら辺はゲームと一緒か。
 てことは、パッシブスキルっていうのは取得条件はわからないが、常時発動するスキルってことだな。

 しかし、最後のユニークスキルっていうのはなんなんだ?
 こんなの、ゲームにはなかった項目だから、要検討か。

「俺はレベル3になってた。アケミはどうだ?」
「私はレベル2になってたよ。この感じだと、あのウルフは経験値が多めだったみたいだね」
「そういうことになるな。しっかし、ゲームと違って経験値取得量と経験値蓄積量が確認できないってところだな」
「そういえば、アンナが言ってたけどスキルってどこにあるのかな。言われた通りにスキルスロットを思い浮かべてみたんだけど、何も無かったよ」
「そこはあれだろうな。俺達前衛には斬ったり殴ったり刺したりできる武器があるけど、魔法職にはそれがない。杖で殴れっていうには酷な話だし、最初から初期魔法だけ使えたんだろう。たぶん」

 アケミは「なるほどなるほど」と納得している。

「だとすると、だ。正真正銘のゲームならまだしも、この世界に前衛が使えるスキルがないのかもしれない」
「それは由々しき事態な気もするけれど、あの護衛の人達を見る分にはスキルの類だと思われるものは使っていなかったわ」
「ん、それってまさか」
「確定じゃないけれど、私達以外にステータスもしくはスキルを所有している人が居ないかもしれない……んじゃないかな」
「……なるほどな」

 だとしたら、だ。
 もしも本当に俺達以外にこういった恩恵みたいなのがないとしたら、公の場でおおっぴらにスキルとかを疲労するわけにはいかない。
 称え祀られるならまだしも、研究対象になったり指名手配犯になりたくはないからな。

「スキルかぁ。ゲームみたいにスキルボードとかボーナスステータスとかってないんかな。ステータスが上昇するからといって、スキルがないんじゃいまいち燃えないよな」
「そうだよね、このままじゃレベル上げても全部が均等に上がるだけで、正直強くなってる気がしないもんね」

 俺とアケミは「んー……」と喉を鳴らす。
 そんなこんな考えていると、偶然にも目を閉じていたからか、ステータスのページが捲れるように新たな項目が現れた。

――――――――――

 近接+
 技能+
 心頭+
 魔理+
 特異+

 ポイント3

――――――――――

「アケミ、あったぞスキルボード」
「え、本当?」
「なんか、こう、ページをめくる感じに」
「ほうほう――お、本当に出てきた。おー、これこれ、やっぱりスキルボードがないとだよねっ」

 割り振りポイントはレベル依存って感じか。
 そして、ここにある五個の項目。
 この下にある+を押す? と、さらにスキルツリーが出てくる。
 地道に割り振っていって、一定値に達するとスキルを取得でき、その数値には熟達値があって、それもいろいろと関係してくる……というのが俺達のやっていたゲームシステムだ。

「試し甲斐があるな」
「だね」

 スキルボードの存在を知ったアケミは、これから取得するであろうスキル編成について頭をフル回転させているんだろう、その今にも体を動かしたそうにソワソワし始められたらすぐにわかる。
 俺も心が躍り始め、人のことを言えた立場ではないが。

「そういえば、この世界には冒険者とかギルドとかクランとかパーティってあるんかな」
「確かに。あの人達は仲間同士っぽいし、そこら辺はあるんじゃないかな。んー、でも、流石にゲームの時みたいにシステム上でパーティを組むとかっていうのは……どうなんだろう?」
「じゃあ、やってみるか」

 どうしたらいいかわからないが、まずはアケミの目をじっと見つめる。

「えっ? えっ、えっ?」

 なんだかアケミは困惑しているようだが続行。
 こう、なんていうか、アケミを仲間に加えたいって考えて……。

「ちょっ、ちょっと」

 頬を染めてやめてやめてと腕をブンブン振っているが、構わない。
 あれか、距離感が大事なのか? だったらもう少し近づいて。

「カナト? カナト、近い、やっ、や」

 嫌なら立ち上がったりすればいいのに、まあ構わないが。

「んー、ダメか」

 と、俺は体を引く。

「ぜぇはぁ……」

 アケミは息を荒げているが、どうしたものか。

「アケミ、手を握らせてくれないか」
「手、手ぇ!?」
「ああ。頼む」
「――わ、わかったわひょ。ど、どうぞ」

 俺はアケミの手をにぎにぎと触り撫でる、仲間になってくれーと念じながら。
 ……ダメか。
 なら、握手。

「も、もういいかな?!」
「ああ、これで最後だ。アケミ、俺の仲間になってくれ」
「え? うん。よろしく」

 すると、視界左端にアケミという名前と赤いバーと黄色いバーが出現した。

「おっ、できたぞ。左上」
「ほ、ほんとだ。――カナト、そろそろいいかな」
「ああ、協力してくれてありがとな」

 こんなの、楽しくならないはずがない。
 わからないものを少しずつ試行錯誤して理解していく感じ、やっぱり俺達はこうでなくっちゃな。

 声を出して笑い出しそうになるが、近づいてくる足音にグッと堪える。

「お話し中のところごめんなさい。お話したいことがありまして」

 振り返ると、そこには旅団の主であるアルマ・ダン・アーガットが立っていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...