ゲーマーパーティ転移―ゲーム中に異世界へ飛ばされましたが、レベルアップやステータスがあるので俺達は余裕で生き残ります―

椿紅颯

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第二章

第10話『野宿ってキャンプみたいだな』

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 昨日同様に、現地の食料を集めたり薪に使えそうな枝を集め終え、二つある火元の片方で俺達は輪になっていた。

「しかし、こういうのなんか言葉にできないけど、なんかいいな」

 昨日は全部が全部唐突に起きて、時間が進むままに物事が流れてしまってあまり感じることがなかったが、こうしてみんなの顔を眺めていると本当に別の世界に来てしまったんだなと実感する。
 勝手にしんみりとしているが、実際に顔を知っているのは同じ学校に通っているアケミだけなんだけどな。

 ケイヤはボイスチャットで話したまんまの普段から落ち着いていて、冷静に物事を判断していた。
 そういえば、どのキャラを作ったとしてもいつも同じ緑色の髪の毛だったな。
 しかし、槍っていうのはなんだか性格と真逆で尖っているのは面白い、ギャップってやつか。

 アケミはなんでもそうだけど、キャラを自分に似せて作りたがる。
 俺はやめておけって忠告し続けたんだが、栗色の髪の色と背丈や容姿はもちろんのこと、アケミというのは本名だ。
 オンラインゲームにおいて、まさか本名で活動している人なんていないと誰しも思っているため、俺以外の誰かからそういう注意を受けたことはないらしいが。

「そういや、俺ってどんな容姿をしているんだ?」

 俺は右隣に居るケイヤにそう質問する。

「最後にダンジョンへ挑戦していたキャラのまんまだよ。黒髪の短髪っていうかツーブロックをかき上げてる髪型。顔は、なんていうのかな――」
「顔は、少し幼げの残る少しだけ丸みを帯びた輪郭で、黒い目にほんのちょっぴり高い鼻。体型は肥満とはかけ離れた痩せ型で、でもスポーツをしているかと聞かれれば答えはいいえって感じ」
「お、おい」

 せっかくケイヤが俺を分析しながら丁寧に情報を伝えてくれていたのに、横からアケミが話に割り込んできた。
 俺の欲しい情報を伝えてくれているのは嬉しいが、とあることを想い出す。
 最後にダンジョン攻略へ繰り出した際、ステータスやスキル構成が一番向いていたから、初期に作成していたキャラだったんだ。
 つまり、初心者あるあるで、モニターを覗きながらキーボードとマウスに手を置いていた現実の自分を模して作っていた。
 アケミに対してヤレヤレと内心語っていたが、俺も人のことは言えないという。

「あ、ありがとうなアケミ」
「いえいえ、どういたしまして」

 くっ、このタイミングで横槍を入れてきたということは、自分だけがお前を知っているんだぞという脅しか、脅しなのか? だとしたら怖すぎんだろ。

 このぎこちないやり取りに何一つ疑問を抱くことなく枝で火元を突いているミサヤ。
 天真爛漫といえば聞こえはいいが、ゲームをやっていた時からそうだが、中々に破天荒かつやんちゃな一面がある。
 黒髪ポニーテールを頭の上部から背中の中央部まで伸ばしているため、見た目だけでいえば落ち着いたもしくは武をわきまえる少女に見えなくもない。
 そんでもって童顔気味に顔を作り込んでいるため、口を開かなければ美少女と言ってもいいだろう。
 いや、動かずに座っているのら、も追加だな。
 体型も少し小柄なため、ミサヤと話をしたことがないプレイヤーは、初見でパーティを組むと滅入ってしまっていた。

「そういや、アンナって最初からずっと同じキャラを使っていたよね」
「そうね」

 アケミがアンナへそんな疑問をぶつける。
 言われてみればそうだ。
 俺、ケイヤ、アケミ、ミサヤはキャラを複数作成していたが、アンナだけは初期キャラのままだった。
 何かしらのこだわりがあるんだろう、少し気になる。

「なんだかね、あたしの分身体って感じで愛着が沸いちゃってね。ゲームなんだから、そんなものを気にするだけ無駄だっていうのはわかるんだけど」
「なんだかその気持ち、私はわかるなぁ」
「そういえば、アケミは複数キャラを作っていた割に全部同じ容姿だったわね」
「そうだね。魔法剣士とか回復剣士とか、パーティの役に立つのは何が良いのかなって模索していたから、変えられるのはそこまでだったんだよね」
「なら、あたしと大体一緒ね」

 アンナといえば、魔法、赤髪のツインテール。
 と、サーバーでは知られるほどには目立った容姿で、一度見たら忘れられる存在ではなかった。
 少しツンなところが起因しているような気もするが、やはりずっと変わらずにいるというのはそれだけで存在を覚えられる。
 しかし、ちょっとした罵声に釣り目だからか、一部の男性プレイヤーからは別の意味で人気があった。

「なんだか、一日が過ぎる速さがゲームをやっていた時と一緒だな」
「わかるっ。ゲーム始めたと思ったら、気づいたら0時になってて、寝なきゃなぁ~ってのと似てるよね!」
「あんたね、なんでそんないつもいつもざっくりしているのよ。……まあ、あたしもそうだったけど」
「あはは、僕も誰かを責めることはできないな」

 少し目線を上げると、満天の星空が広がっている。
 昨日は気づかなかったが、この世界にはこんな素晴らしい光景が広がっているのか。

 現実の世界では、夜空を見ることなんてなくなっちまっていたしな。
 小学生の頃ぐらいだったか、夜は星空に憧れてよく玄関先から目をキラキラと輝かせてたっけか。
 ゲームが悪いなんて言うつもりはないが、いつかの忘れてしまっていた気持ちを思い出した気がする。

「空、綺麗だな」

 俺はついそんなことを呟く。
 みんなを見たわけではないが、「わあ、綺麗」「ひっさびさに見たーっ」「これだと電気要らずだね」「悪くないわね」という声が聞こえてくる。

「私がどのキャラでも同じ容姿にしていたのは、昔にある男の子に褒められたからなんだ」

 アケミがそんなことを急に言い始めるものだから、俺含み全員が一気に視線を戻す。

「え、何よアケミ、急に恋バナでも始める気?」
「えーっ気になるっ」
「そんなことを言い始めるなんて、珍しいね」
「なんだ、急に面白くなってきたな」

 そういうのはプライバシー的に誰からも話題に出さなかったが、まさかこんな世界に来て急にそんな話をし始めるものだから、今、全員が驚いている。

 それに、現実世界で顔見知りの俺でさえそんな話を聴くのは初めてだ。
 というか、顔見知りどころか幼稚園からの幼馴染だし、なんなら同じ中学に通っていたが、アケミにそんな色恋系の話題を耳にしたことがない。
 なんだ、ゲームもできて勉強もできて現実も充実しているってのか。

「今日の夜は恋バナね。当然、男子禁制で」
「やったーっボクも話に混ざれるーっ」
「あんたね、絶対に口外しちゃダメなんだからね。いいわね、絶対よ」
「あいあいさーっ」
「あはは……まあ、ほどほどにお願いします」

 アンナ、その言い方は絶対にダメなやつだぞ。
 まあ何はともあれ楽しそうで何よりだ。

「ケイヤ、久しぶりに男同士で語り合うか」
「お、久しぶりにいいね」
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