ゲーマーパーティ転移―ゲーム中に異世界へ飛ばされましたが、レベルアップやステータスがあるので俺達は余裕で生き残ります―

椿紅颯

文字の大きさ
15 / 50
第二章

第15話『修学旅行みたいでワクワクだ』

しおりを挟む
 本来、効率的に行くのであれば、宿を確保し、そのまま真っ直ぐに冒険者ギルドへ向かうのが真っ当なんだが……こんな時ぐらい、少しだけわがままを言っても許されるよな。

「せっかくなので、宿へ行く前に遠回りになってしまいますが、いろいろと見回っていきますか?」
「お二人が大丈夫なのであれば、是非ともよろしくお願いします」

 噴水から溢れる音を聞きながら、少しの間だけ雑談をしてる流れでこうなってくれた。

 この申し出は本当にありがたい。
 のと同時に、失礼ながらもアルマという人間を少しだけ見くびっていた。
 あくまでも個人的な意見にしかすぎないが、お金持ちのボンボンっていうのは、物語上、良い印象と悪い印象のどちらが強いかと言われると後者になりがち。
 しかし、数回しか会話を重ねていないが、こちらを深く詮索せず、だが会話の趣旨やこちらの意向を見事にくみ取ってくれている。
 見下していたわけではないが、想像以上のやり手の様だ。

「それではまず、生活圏内である装備系の店に消耗系の店、後は二店舗ぐらいの飲食店に行きましょう」
「とてもありがたいです。そこまで知ることができれば、当分は困らないですね」
「好みもあると思いますので、後日探索してみるといいかもしれません」
「それもそれで楽しそうでワクワクしますね」

 二人の先導の元、俺達一行は歩き出した。
 通路自体はそこそこ広く、俺達が五人並んでも問題ないが、道行く人々のことを考えるとできても二列ぐらいだろう。
 俺は懲りずに景色を楽しみたいがために最後尾へ。

 先ほどの広場や、あそこまでの通路を頭の中で整理すると大体の構図がわかってきた。
 大きめな建物の前は噴水広場のようになっていて、そこまでは家々が壁となるように連なって通路の役割を果たしている。
 家々の間が少しだけ空いていたりして、裏道のようなところまで伸びているのを確認しているが、行ったところでたぶん楽しいことにはならないだろう。

 視線を上げるとわかる通り、建物は二階建てがほぼ全てで、空を見るためには遮られているとはいえ青空を拝むことはできる。
 今は陽が高いからだろうが、日が傾き始めたら影の角度が変わって暗くなりそうだが……なるほど。
 街灯がないのか見渡してみたが、なかった。
 だけど、よく見て見ると電気では点かないような街灯みたいなのが壁面に取り付けられている。
 中には、蝋燭のような、何と言えばいいのだろうか……そう、野球のボールが現実世界の街灯と同じガラスに入っているようだ。

 あれがあるなら、暗くなってきても問題はないか。

「あれって、どういう原理で点くんだろうな」
「それ僕も思った」
「そりゃあ暗くなったらパッと明るくなるんでしょっ」
「それはそうだろう」

 一列前を歩くケイヤとミサヤが俺のつぶやきに対して反応してくれたが、考えることは一緒だな。

 この街に入ってからいろいろと観察しているが、それだけでもこの世界についてわかることができた。

 ガラス細工を扱うことができ、この通路から荒々しく家を建てるのではなく、整備しながら全体を見渡すような技術がある。
 それだけではなく、俺達には……いや、少なくとも俺には説明を聴いたところで理解出来なさそうな技術があるといういことだ。
 どこかで説明を受けられるタイミングがありそうではあるが、そういうのは俺ではなくアケミに任せたいところ。

「装備系の店に行くなら、ホルダー的なのは欲しいかもね」
「あー、確かにな。ケイヤとアンナは少し大変そうだ」

 というのも、俺・アケミ・ミサヤの剣を扱う側は剣を出した際に鞘が自動で腰に装着されていた。
 だから、こうして移動している際に剣を鞘に納刀して、俺の盾はそのままでもいいが、ケイヤは自身の身長ぐらいはある槍を持っているため、手に持っている以外の選択肢がない。
 アンナの杖も大体それぐらいで、大変そうだ。
 ゲームの世界とは違って、疲労を感じるこの世界なら尚更。
 どちらも縮小できるとかならいいんだが、あの二人の前で武器が急に消えたら、どんなことになってしまうのかわからない。

 まあでも人目があるならどこでも一緒か。

「そういえば、この世界にはダンジョンとかってあるんだろうか」
「ダンジョンっ!」
「ミサヤは本当に物好きだよな」
「ダンジョンはロマンだもんっ」

 ミヤサのことを言えた立場ではないが、ダンジョンの有無は気になるところではある。
 ワープなどを初期のこの段階から使用できないため、狩りをするためにいちいち外へ足を運ぶというのは少しばかり面倒だ。
 ここら辺は冒険者登録する時に気兼ねなく質問すればいいから、後のお楽しみって感じになるな。

 それにしてもダンジョン、か。
 その名前を聞いただけでも浮足立ってしまいそうになる。

「カナトのアレをまた見たいんだもーん」
「わかる。僕も見たい」
「そんな見世物みたいに言うなよ。俺だって必死にやってるんだから」

 二人が言っているのは、俺が必死にタンクをしている時のことを言っているのだろう。

「でも、僕はあれほど頼もしい背中は他にないと今でも思っているよ」
「わかるーっ。カナトになら任せられるって自然と思っちゃうし、負けていられないってなるんだよね~」

 リーダーという立場柄、戦闘中にも指揮を飛ばすことがある。
 そういう時、今よりも口調が荒くなったり、今まで以上に本気になってしまう。
 外部の人間に自慢できるようなことではないが、少なくともみんなの中では士気向上に繋がるってことなんだろうが……人が変わったみたいになると言われたことはある。
 主にアケミから。

「にしても外を歩くのとは違って、いろんな音やいろんな匂いがあるから、足は疲れているけれどなんだか楽しいね」
「わかるっ、ボクもお腹空いたー」
「ケイヤが言っているのはそう言うことじゃないと思うんだが。まあ確かに、あちらこちらから空腹を誘う臭いが漂ってきて、今すぐにでもそっちに行きたくはなるな」

 そんな話をしていると、その前の列を歩くアケミからの声が。

「そんな余裕はありませんよー」

 という注意が飛んできた。
 いやお母さんかよ――なんていうのは、絶対に言ってはならない。
 そうだ、絶対にだ。

「あははっ、アケミってばお母さんみたい」

 おいミサヤ、お前は命知らずかよ。
 その後すぐ、アケミからミヤサの腹部へ手刀が突き刺さり、「ぐへっ」とお腹を抑えながら歩く羽目になった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...