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第三章
第19話『冒険者登録するための試験』
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「本日は試験を行ってもらいます」
「……わかりました」
薄々思っていたが、本当にそうなるとは思わなかった。
日にちを跨ぎ、みんなで食堂にてご飯を食べた後、俺とケイヤの部屋で今日の予定を話し合っていた。
その中で、冒険者登録をすぐに終え、その足で昼食を済ませ、経験値とお金を稼ぐために狩りへ行く予定を立てていたんだが……。
「ちなみに、その試験ってどれぐらいかかったりするんですか?」
「そうですね……昼食時を跨ぐか跨がないだと思います。と言っても、試験の進行状況によりますが」
「……え、それって終わらなければ夕方にまでかかってしまうということですか?」
「そういうことになりますね」
リラーミカさん、それって本当に冒険者を登録するだけの試験で合っていますよね?
もしかして新人いびりってやつですか?
という愚痴をぶつけたいところだが、薄縁の眼鏡をクイッと持ち上げながら肩まで伸びる黒髪を耳にかけている感じ、たぶんアケミと同じタイプで怒らせたりすると怖いタイプの人だ。
昨日と今日で少ししか言葉を交わしていないが、その少し細めている釣り目で睨まれたら体が固まってしまう自信がある。
「試験が終了して登録作業に移る際、金銭の支払い等のことは発生するのですか?」
「はい。一応、1000Gをいただく決まりとなっております。もしかして持ち合わせがなかったりしますか?」
「あーえー、た、たぶん大丈夫です」
危ないって。
特別給付に感謝しなければならないがそれだけではない。
昨日のあれだ、あの流れに任せてスイーツを食べに行っていたら、と考えると肝が冷える。
しかし、今回の冒険者登録で所持金がパーになってしまう。
下手したら昼食を我慢しなければならないかもしれないが、まあ試験っていってもどうせそこまで難しくないだろうからパッパと終わらせるか。
「それで、まずは何をするんですか?」
「そうですね、こうして話をしていたら何も進みませんから。項目は全部で二つあります。まず一つ目はお遣いです」
「わかりました。それで、何をすれば?」
「こちらの荷物を、ある人にお届けください」
「任せてください。そのある人というのはどういう方なのですか?」
「それはお伝えできません」
「え、それはどういうことですか?」
何かの手違いかもしれないしな。
リラーミカさんも人が悪い。
そんな、「今発した言葉は何一つ間違っていませんよ」、みたいな澄ました顔をされるとこっちはビックリしてしまいますよ。
「一言一句、先ほどお伝えしたことは事実になります」
「え……」
「まず一つ目というのは、そちらの荷物を、この街のどこかに居るある人に届けてもらいます」
「こ、この街に居る誰かにって……ヒントはないのですか?」
「ありません」
「マジっすか……」
「その、昨日も口にしていた『マジ』とはどういう意味なのですか?」
純粋に気になる、みたいに興味津々な顔をしないでください。
好奇心旺盛で非情に関心できるのですが、なんで試験内容がそんな理不尽かつアバウトなんですか。
この世界だからこそとっておきの言葉を口にしたい。
こんなの無理ゲーだろ。
俺は街に繰り出した。
ギルド会館を出た後、みんなと顔を合わせて試験内容を伝え合ったのだが、見事に全員が同じ内容だった。
なら全員で協力して取りかかれば、砂漠から一粒の米を探さなければならないところを野球ボールを探すぐらいにはなるかもしれない……と思ったが、俺は先ほどリラーミカさんが腕を組んで忠告してきたことを思い出す。
リラーミカさんは言った、「この試験はいくら仲間がいるからといって協力することは許可されません。もしもその事実が確認された場合、登録料を罰金として徴収した後即失格にします」、という鬼の文言を。
思い出したのは俺だけではなかったようだ。
それは全員の顔を見れば一目瞭然。
「ため息しか出ないが、各々、頑張ってくれ。んじゃ」
一分でも時間が惜しいため、俺はそれだけを言い残してあてもなく駆け出した。
走り出したのは良いものの、当然あてはなく、時間帯が最悪だ。
現実世界で言うところの10時ぐらいのはずだから、人の通りが多い。
肩がぶつかるほどではないからなんとか走れてはいるが……これはどうやってたった一人の人物を見つけ出すのだろうか。
試験ということから、この荷物という名目で渡された一本の木の棒を渡す相手は試験官なのだろうが、せめて格好とか年齢とか教えてくれても不正にはならないと思うんだが。
ちなみに補足説明として言われたのが、試験を合格した速さによって冒険者の等級が決まるらしい。
いや無理だろ。
「……」
一旦、上がった呼吸を止めるために、急ぐのをやめて歩き出す。
こういう時、焦っているだけじゃ何も解決しない。
探し物をしていて焦りや苛立ちを感じている時っていうのは、探し物が見つからずに諦めてしまうことが多い――だが、落ち着いてなんとなく歩いているとすぐに見つかったりする。
それとこれとは規模感が違いすぎるが、実際のところ焦っていたら良い案なんて考えられない。
歩いていると冷静になり始め、こんな時だからこそのことを思う。
卑怯なのかもしれないが、もしかしたらチャット機能とかってないのか? ボイスチャットとか、個人チャットとか。
パーティ……というか、俺達は外部アプリにてグループを作ってそこでボイスチャットをしていたから、パーティ間でチャットを随分としていなかったが、外部の人とやりとりをする時はよく使っていた。
ちょっと狭い路地に入って休憩がてら試してみるか。
(んー……)
顔をしかめる他ない。
ステータス、インベントリ、スキル、メンバー欄を目線で操作しようともチャット欄は出てこず。
テレパシーみたいなことを試みたが、ボイスチャットのようなことはできない。
この世界に、スマホや携帯電話……なんてあるわけがないか。
体感でしかないが、既に20分程度は経過しているだろう。
自分の体力的にまた走り始めたとしても、また休憩を挟まないといけない。
しかし、こうして休憩していたところで試験は合格できるはずもなく。
(とりあえず、歩くか)
再び表通りに繰り出し、雑踏の中に紛れる。
「……わかりました」
薄々思っていたが、本当にそうなるとは思わなかった。
日にちを跨ぎ、みんなで食堂にてご飯を食べた後、俺とケイヤの部屋で今日の予定を話し合っていた。
その中で、冒険者登録をすぐに終え、その足で昼食を済ませ、経験値とお金を稼ぐために狩りへ行く予定を立てていたんだが……。
「ちなみに、その試験ってどれぐらいかかったりするんですか?」
「そうですね……昼食時を跨ぐか跨がないだと思います。と言っても、試験の進行状況によりますが」
「……え、それって終わらなければ夕方にまでかかってしまうということですか?」
「そういうことになりますね」
リラーミカさん、それって本当に冒険者を登録するだけの試験で合っていますよね?
もしかして新人いびりってやつですか?
という愚痴をぶつけたいところだが、薄縁の眼鏡をクイッと持ち上げながら肩まで伸びる黒髪を耳にかけている感じ、たぶんアケミと同じタイプで怒らせたりすると怖いタイプの人だ。
昨日と今日で少ししか言葉を交わしていないが、その少し細めている釣り目で睨まれたら体が固まってしまう自信がある。
「試験が終了して登録作業に移る際、金銭の支払い等のことは発生するのですか?」
「はい。一応、1000Gをいただく決まりとなっております。もしかして持ち合わせがなかったりしますか?」
「あーえー、た、たぶん大丈夫です」
危ないって。
特別給付に感謝しなければならないがそれだけではない。
昨日のあれだ、あの流れに任せてスイーツを食べに行っていたら、と考えると肝が冷える。
しかし、今回の冒険者登録で所持金がパーになってしまう。
下手したら昼食を我慢しなければならないかもしれないが、まあ試験っていってもどうせそこまで難しくないだろうからパッパと終わらせるか。
「それで、まずは何をするんですか?」
「そうですね、こうして話をしていたら何も進みませんから。項目は全部で二つあります。まず一つ目はお遣いです」
「わかりました。それで、何をすれば?」
「こちらの荷物を、ある人にお届けください」
「任せてください。そのある人というのはどういう方なのですか?」
「それはお伝えできません」
「え、それはどういうことですか?」
何かの手違いかもしれないしな。
リラーミカさんも人が悪い。
そんな、「今発した言葉は何一つ間違っていませんよ」、みたいな澄ました顔をされるとこっちはビックリしてしまいますよ。
「一言一句、先ほどお伝えしたことは事実になります」
「え……」
「まず一つ目というのは、そちらの荷物を、この街のどこかに居るある人に届けてもらいます」
「こ、この街に居る誰かにって……ヒントはないのですか?」
「ありません」
「マジっすか……」
「その、昨日も口にしていた『マジ』とはどういう意味なのですか?」
純粋に気になる、みたいに興味津々な顔をしないでください。
好奇心旺盛で非情に関心できるのですが、なんで試験内容がそんな理不尽かつアバウトなんですか。
この世界だからこそとっておきの言葉を口にしたい。
こんなの無理ゲーだろ。
俺は街に繰り出した。
ギルド会館を出た後、みんなと顔を合わせて試験内容を伝え合ったのだが、見事に全員が同じ内容だった。
なら全員で協力して取りかかれば、砂漠から一粒の米を探さなければならないところを野球ボールを探すぐらいにはなるかもしれない……と思ったが、俺は先ほどリラーミカさんが腕を組んで忠告してきたことを思い出す。
リラーミカさんは言った、「この試験はいくら仲間がいるからといって協力することは許可されません。もしもその事実が確認された場合、登録料を罰金として徴収した後即失格にします」、という鬼の文言を。
思い出したのは俺だけではなかったようだ。
それは全員の顔を見れば一目瞭然。
「ため息しか出ないが、各々、頑張ってくれ。んじゃ」
一分でも時間が惜しいため、俺はそれだけを言い残してあてもなく駆け出した。
走り出したのは良いものの、当然あてはなく、時間帯が最悪だ。
現実世界で言うところの10時ぐらいのはずだから、人の通りが多い。
肩がぶつかるほどではないからなんとか走れてはいるが……これはどうやってたった一人の人物を見つけ出すのだろうか。
試験ということから、この荷物という名目で渡された一本の木の棒を渡す相手は試験官なのだろうが、せめて格好とか年齢とか教えてくれても不正にはならないと思うんだが。
ちなみに補足説明として言われたのが、試験を合格した速さによって冒険者の等級が決まるらしい。
いや無理だろ。
「……」
一旦、上がった呼吸を止めるために、急ぐのをやめて歩き出す。
こういう時、焦っているだけじゃ何も解決しない。
探し物をしていて焦りや苛立ちを感じている時っていうのは、探し物が見つからずに諦めてしまうことが多い――だが、落ち着いてなんとなく歩いているとすぐに見つかったりする。
それとこれとは規模感が違いすぎるが、実際のところ焦っていたら良い案なんて考えられない。
歩いていると冷静になり始め、こんな時だからこそのことを思う。
卑怯なのかもしれないが、もしかしたらチャット機能とかってないのか? ボイスチャットとか、個人チャットとか。
パーティ……というか、俺達は外部アプリにてグループを作ってそこでボイスチャットをしていたから、パーティ間でチャットを随分としていなかったが、外部の人とやりとりをする時はよく使っていた。
ちょっと狭い路地に入って休憩がてら試してみるか。
(んー……)
顔をしかめる他ない。
ステータス、インベントリ、スキル、メンバー欄を目線で操作しようともチャット欄は出てこず。
テレパシーみたいなことを試みたが、ボイスチャットのようなことはできない。
この世界に、スマホや携帯電話……なんてあるわけがないか。
体感でしかないが、既に20分程度は経過しているだろう。
自分の体力的にまた走り始めたとしても、また休憩を挟まないといけない。
しかし、こうして休憩していたところで試験は合格できるはずもなく。
(とりあえず、歩くか)
再び表通りに繰り出し、雑踏の中に紛れる。
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