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第31夜 双子美少女踊り子姉妹
しおりを挟む「双子を活かした撹乱(かくらん)作戦。いいわね、やってやろうじゃないの」
美少女双子踊り子姉妹の気の強い方……朱那(しゅな)が踊り子衣装から魔導用軽装備に着替えて二階から降りてきた。
「じゃあ私も着替えてくるね」
と大人しい妹の方が二階に上がる。
準備が終わり2人が並ぶと見分けがつかないほどそっくりだ。
双子はロングヘアを赤いリボンでハーフアップに結び、お揃いの赤い石のアクセサリーを身につけている。
踊り子衣装を少しアレンジしたという魔導師用軽装備は暖色系のマントが差し色になっているもののブラウンカラーの胸当てにミニスカートで意外とシックだ。
そんな2人が同じ髪型、同じ服装、同じポーズでオレの前に並び
「千夜君、どっちがどっちだか分かる?」
と聞いてきた。
そんなまったく同じ姿の人間を見分けるなんて……と思ったが性格は隠せないのかオレから見て左にいる方がやや好戦的な表情に見える。
「オレから見て左がお姉さんの朱那(しゅな)さんで、右が妹さんの白亜(はくあ)さんかな?」
わ~凄い! よく分かったね!と妹の白亜(はくあ)がパチパチ拍手するが、お姉さんの方はどうせマグレよとツンモードだ。
お姉さんの態度が気が強そうでツンツンしてるから見分けがついただけなんだけどな。
「いやあ、双子はいいよね。僕にも双子の片割れの姉がいるんだけどなんだかんだ言っていつも助けてもらっているよ」
「ああ、メイラン先生の事ですね」
そういえばリー店長はオレの体術の先生であるメイラン先生と双子の姉弟だったな。姉であるメイラン先生の方がクールでしっかりしている……性格は案外似ないものだ。
「双子の魔導師はとても強い魔法が使えるそうです。伝承では双子特有の波長を使い、テレパシーで会話することも可能だとか」
魔導師アティファが双子魔導師にまつわる伝承を語るが……。
「テレパシーっていうかお姉ちゃんの考えは顔を見るとなんとなく分かっちゃうの」
妹の白亜の方がくすくす笑って説明する。
そういうものなのか。
テレパシーってわけじゃないんだな。
「っで、どのチームの誰のランプを狙う? 私は魔導師貴族のご令嬢シャルロットが狙い目だと思うわ!」
「やめてくれよ! なんでよりによってシャルロットを狙うんだ!」
オレは思わず叫んでいた。
みんなの視線がオレに集まる。
朱那(しゅな)がフッと笑って上から目線で語り始めた。
「甘いわね、千夜君。あなたそれでこれからの試練を越えられるのかしら? 容姿端麗な美少女への恋心……それにつけこまれたらあなた魔導師としてやっていけなくなるわよ!」
「恋心……ってわけじゃないけど、少し親しくしたから情が移っているというか……」
オレはしどろもどろしながら弁解をした。
「いいわ。変に親しい人に対して攻撃して動きが鈍くなられるとこちらも迷惑だし、それにどうやら仕掛ける前に仕掛けられてるみたいだしね!」
そう言って朱那(しゅな)は呪文を窓に貼られていた呪符に向かって放った。いつの間にか黒い蛇の使い魔が部屋の中に進入してきている。
オレのランプを奪おうとスルスル登ってくるが水系の浄化呪文で追い払う。
「へえ、意外とちゃんとした魔法使えるんじゃない? もっと素人だと思っていたわ」
最近まで本当に素人だったんだけどな。
「この蛇たちどんどん湧いてくるよ? なんで?」
セラやアティファも武術や呪文で応戦するが数が多くてキリがない。
呪文で浄化しても次々と湧いてくる蛇の群れ。
どうやら先手を取られてしまったらしい。
大量の黒蛇がオレに巻き付いてきてついに身動きが取れなくなった。
「おいおい、響木千夜(ひびきせんや)は魔法使えないからランプ奪うの簡単なんてどんな情報だよ。普通に魔法使えてるじゃん?」
「あっれ~? ボクの情報が古いのかなあ」
大人の男の声と少年の声……。
それは最年少のユミル少年とバンドマンのデュアルさんだった。
「悪いけど千夜さんの境界ランプはボクたちがいただくよ」
そう言ってネット魔導師ユミル少年は笑顔でオレのランプに手を伸ばした。
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