ガーベラ

一条 瑠樹

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幸せな2人

Gerbera13話 花咲く部屋の中

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Gerbera  13話   花咲く部屋の中

               一条 瑠樹

彼の身体が自由に動かないまま彼女は何時も彼の話し相手になり皆の心配の中幾日かが過ぎた…


毎日の闘病生活の中彼の夜勤の建築のバイト先から姉妹の事務員さん達が見舞いに訪れた…


最近の会社の仲間達のどじった話や涙もろい妹さんが笑いながら世間話をして彼を和ごましてくれている…会社の皆んなは彼が仮病を使って休んでいるのではないか?とか! 彼女とくすぶっているのではないかなど?…
笑いながら…そして彼は…苦笑いを浮かべながら…


会社の側の駅の前を流れている川の水鳥が彼の病室から見える景色と似ていたり…会社の側のラーメン屋さんが行列をなすほど賑わっている事や彼の微かな脳裏に浮かんでくる記憶と姉妹が話す励ましとが交差するようだ…


相変わらず時は流れ風が少し吹いては照り返す光の中彼の話し相手ですっかり暗くなりかけた外の空気…


姉妹の事務員さんの姉の洋裁の技術に彼は穴の空いたベストをお直ししてもらった事や妹さんからは筋肉痛の高価な塗り薬や汗拭きパットを貰ったり…いずれにしても弟の様に遠くから受けた恩を感じて又こんな苦難な自分を見舞いに来てくれた気持ちに頭が下がる想い出ある…



事務員さん達が帰る時彼女と母親と3人で見送った…APCの布地のバック…newbalanceのsneaker姿…そしてponytailの後ろ姿…


彼女達もstressと闘い彼の見舞いに余りにも忙しくしているのにわざわざ時間を割いて来てくれたのだ…   




感謝…その一言だろう



そして彼の病室は花咲く部屋になっていたのだから…





病室に戻って眠りに就こうとした時に今日が当直の主治医の女医が病室をノックした…



「どう?…明日の朝まで病院に居るから身体の事で気になる事や心配事は無いかしら?頭痛く無い?重く無い?肩の痺れはどう?今日は半分しか夕食を食べてないみたいね。兎に角何かしら気になったらナースコール鳴らして私を呼ぶように看護師さんに言いなさい!解った!!  お母さん彼女さん宜しくお願いしますね、必ず良くなる様に努力致しますので…」 


「あのぉ…先生…あのぉ…」


「何かしら?…どこかきになる事ある?…」


「あのぉ…担当の患者には皆んな気配りしてるんですか?いつも僕の所に来ては長い時間を掛けて話してくれたり世話やいてくれたり…先生はいつも僕を気に掛けてくれてるの解るんですよ!…」


「私もね…今まで患者さんの処置の施しには全力を尽くさなかった事は無いわ…全力を尽くして最善を尽くしても何人も殺したのよ…私の努力と経験の乏しさから…だからね…将来のある貴方にもし助かる見込みが無くてもやれるだけやりたいのよね…私は貧乏家庭で育って国の援助で高校に入学したのよ…大学には行くつもりもなかったわ…でもね……あのねぇ…うーん…歳の少し離れた弟が交通事故に遭ったのよ…一命は取り留めたんだけどね…その時の医師の対応に疑問を感じたの…貴方のお母さんと彼女みたいに交代で私はファーストフード店でアルバイトしながらね…よし!!医者になろう。医者になってたおれた弟を助けよう…大学に行こう…そう決めたのよ…夜中は寝ないで勉強したのよ…」


「凄いね…先生…!!努力は実るんだね…」


「凄くなんて無いわよ…目指せばいいだけよ…無理なら諦めたかもしれないわ…でもね…国立の大学国の援助を借りて出て大学院に入って暫くしたら…弟は亡くなってしまったのよ…だからね…弟が亡くなってしまったぶん患者さんには皆んな気配りも最善の治療法もいまだに研究しているわよ(笑)生きていたら貴方位の歳よ…頑張んなさい…私も頑張るからね…」



女医の白衣の胸ポケットには先が雪の様に白いMont Blancのペンが何本か差さっていた…


「先生…そのペンMont Blancですよね…」


「そうよ…良く知ってるわね(笑)…コレはball pen…コレは極細の万年筆…これも万年筆よ(笑)…全部私が自分への御褒美に買ったのよ…(笑)…字が早く描ける様にリハビリしなさい(笑)…こんな物単なる自己満足よ…コンビニで売ってる1番安いペンだって先が丸くなった鉛筆だって気持ちのこもった字は描けるんだからリハビリ頑張んなさい…」




女医は彼に努力の有難さを告げて病室を後にした…

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