ガーベラ

一条 瑠樹

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幸せな2人

Gerbera14話 絆と希望と試練

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ガーベラ14話      絆と希望と試練

                     一条 瑠樹


朝からカーテンを開けて病院の個室から射し込む太陽が眩しくて…



一輪の黄色いガーベラを彼は見つめて彼女は水をかえようと花瓶に手を向け…
母は前日に買って置いた食パンを病室の外の炊事場にトースターと皿を運んで看護師の見習いさんが運んでくれる彼の朝食を素早く彼女にバトンタッチをしている…



動き難い手を駆使して彼は何とか朝食に手をやるがボロボロとこぼしてまるで幼稚園児の如く不器用な有り様だ…



朝食が済んだら相変わらず血液検査と痛み止めの点滴の始まりだ…言語障害も少しずつではあるが治る兆しが見え隠れしている様にも思える…



女医が朝から彼の様子を根掘り葉堀り聴いている…リハビリを休んだらこうなるとか…障害が治らないとか…少し脅かされながら…



彼女の両親から差し入れが届いた…サプライズで彼の腕と頭の体操に良かれと一昔前に流行ったルービックキューブと知恵の輪と、それに電卓付きのデジタルウォッチだった…


彼は微笑みながら彼女からはギャルソンの病室の中で着る為のギャルソンのプレイのポロシャツ…彼はCDウォークマンでシンディローパーを聴きながら今日はまたまたご機嫌が麗しい…



早く大学に戻りたいなどと呟きながら…障害を糧に頑張るよなどと調子乗って何処吹く風だ!!



最近病院の中をくまなく探索したいとか…病院内にある喫茶店に行きたいとか…バイト先の姉妹の姉が作ってくれたおにぎりが忘れられないなどと発する言葉が良い意味での我儘の様にも取れたりする…バイト先の話しのなかで事務員さんは良い人ばかりで中にはタヌキの様に働く人達の気遣いも無く表向きは良い人を装って冷酷な自分の成績ばかりを考えているタヌキみたいなひとの話題にも花咲かせて自分の心中を話したりもする…



世の中の動きは毎日早くまるで映画のコマ送りの様だ…
彼と彼女は何の躊躇いや戸惑いなく歩いているのに…
毎朝の様に小鳥は囀りながら…
繁っている樹木さえ彼女の声も聞こえているはずなのに…
事はなかなかうまくいかない…



全ては何の前触れもなく…ただ突然やってきたり出交したり…


病室の花瓶に息を吹きかける…俯いたままの一輪のガーベラが微笑む様な気もする…
ただ毎日が過ぎ行く…



天使が微笑む様な…
そんな瞬間が来ないものかなぁ!!


2人が今何とか元に戻れる日…
そんな日が来ないものか!!


日に日にリハビリの成果が出てきたのか…彼は最初に較べればかなりの進歩を観せてくれていると彼女も母親も心で感じている限りだ。



彼が彼女に問い掛ける…



「ねぇ…愛してるよ…毎日…僕のために…ありがとう…」



彼女は涙目になりながら…鼻水を啜りながら…


「うん…愛してるよ…あたしの方があなたを愛してるよ…ずっとずっとあたしが着いてるから…」

彼は頷きながら…それを病室のドアごしに聴いていた母親はもらい泣きをしながら…数分待ってノックした……

「あなた彼女に我が儘ばかり言ってたらバチが当たるわよ…何でまた無理いったんでしょ!! 母さんが外に出てる間に…何で彼女が泣いてるの?…」

母親はわざとらしい芝居をうった…彼女は微笑む…彼はにこやかになった…

「母さん…僕はなんて幸せものだろう…僕は母さんも彼女も何時も何時も傍らに居てくれてるし…感無量だよ…たまらないくらい幸せものだよ…」

「彼女には感謝して当たり前よ!!  私は親として当たり前の事してるまでよ…それと主治医の先生には特別感謝しなさい…本当にあなたは特別に診て頂いてるんだからね…解った!!」

彼は頷きながら下を向いたり上を向いたりしてはぐらかしていた…


彼女には感謝して止まない彼は突然筆記用具に手をかけて何かを書き始めた…手紙だ!!
お世話になっているリハビリの医師や看護師さんやヘルパーさん達にだ…
良い心掛けである…

それから幾日かが過ぎて彼は毎日彼女と2人で勉強をし始めた…キャンバスに戻るつもり満々で…

毎日勉強に励んで病室のベッドの上は教科書とメモと彼女の声とで忙しくなってきた…

昨日の夜花屋で買ったガーベラに水さえ帰る暇もなく…
勉強の様子を観に来る女医も口を挟んで3人で問題が解らないとか解ったとか言いながら…笑いながら…今日も朝から晩まで勉強…勉強…と…2人で急かしあい切削琢磨して笑っている…
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