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二章 イアサントとアデラールとオーブ
15.後半戦とジュスラン
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次は鳥族の王様たちだね。
「ランベール王国国王ベルンハルト様、魔法省エトヴィン様、宰相ヒ…あのお待ちを!」
衛兵が名前を読み上げている内に光るような緑の髪にスラッと艶めかしい感じの王?だと思うけど僕に駆け寄って飛びついて来た!
「ルチアーノ様!お会いしたかった!」
「あ、あの!?」
「離れろ!ベルンハルト!」
「ヤダ!ホントかわいい!」
宰相のヒルベルト様に羽交い締めされてバタバタ……なんなのこの王は?
「申し訳ございません。うちのバカ王が……」
「酷いなあヒルベルト。僕優秀よ?」
「そういう事ではありません。言動がですよ……はあ」
僕は目が点になり立ち尽くし、ジュスランたち二人はまたかとため息。
「あ~ルチアーノ、あの王はな……なんだその人との距離感がおかしいんだ。式典とかでも関係ねぇとばかりに好き勝手するんだ……」
「へ、へぇ……」
とりあえず座れとアンセルムが席を勧めやっと落ち着いた。よく見ると本当に美しい方だね。……あれ?鳥族なのに羽が背中にない。王族はないのか?
「うふっか~わいい!ルチアーノ様。んでね。ありがとうございました!」
「はあ……何か私がしましたか?」
ヤダもうと楽しそう。
「天変地異のことですよ!うちも海沿いだけ嵐が多くて大変だったんですよ。魚捕れなくてね!それとほら!背中見て!」
「はあ、普通の背中ですが……?」
違うんだルチアーノとアンセルムが耳打ち。彼ら鳥族は羽を小さくは出来るけど仕舞うことは出来ず常に出っぱなし……えっと仕舞えてますよね?
「分かった?すごく便利なんだよ!ゴロゴロ寝転べるんだ!」
「ああ……ようございました」
「僕の感動が伝わってないね?ルチアーノ様!」
魔術師のエトヴィンが説明してくれた。半年前からなんだか魔力量が増えているような感覚はあったそうだ。何だろうと思っていた頃家臣から羽が仕舞える者が出て来ていると報告が来てその家臣を呼んでやらせて見たら本当に仕舞えている!となり、ならみんなでしてみるかとやって見たら出来たそうだ。
それでそれぞれの部署で試したらまあ……貴族だけだけど出来るように。庶民は出来たり出来なかったりなんだそう。そして羽がないと人族そっくりになる者も多くなったそうだ。だけど鳥族は異常なくらい髪に艶がある種族だからすぐに違うと分かるそうなんだけどね。
「はあ……」
「羽が背中にずっとあると生活に不便なんだよ。寝る時もいたす時もねんふふっ。体位が決まっちゃうからね!」
「ですね……」
彼らの羽は膝裏辺りまである者が多いからだそう。縮めても手から肘くらいの物が残っていたそう。
「んふふっルチアーノ様何したの?」
先程の怪しい説明をアンセルムがして聞かせた。何度聞いても怪しいわ。
「ふ~ん。何にせよありがとう!僕ら鳥族はほんの少し魔力があるんだ。飛ぶための魔力なんだけどね。魔力が増えれば遠くまで行けるね!ねぇエトヴィン!」
「ええ。途中で力尽きる事が減りますね」
「あら?ジュスランおめでた?」
突然話変わったよ……
「ああ。ルチアーノとの子だ。後二ヶ月くらいかな」
「ん~?何だか雰囲気変わった?」
「かもな。なんだろう……気持ちが穏やかなんだよ」
「お腹の子の影響か妊娠によるものか?面白いね!んふふっ」
僕もねとベルンハルト王は話し出して、
「番の……ボニファス!」
「はいベルンハルト様」
「かわいい子を……二人目産んでもらったんだ。僕に似てかわいいんだよ?今度見に来てね!三人とも!」
「ああ、今度な」
彼は愛妾で今回は妻代わりに連れて来たんだそう……ベルンハルト王はまともな挨拶もなく好きなだけ捲し立てて話しの時間は終わった。
「お時間ですのでベルンハルト様」
「ええ!まだ話足りないのに!」
「後のダンスの時にでも……」
「仕方ない、ルチアーノ様後で踊りましょうね!」
「ええ。楽しみにしております」
「うん!またね」
何故かスキップしてホールに戻って行った……何だったのあれ。
「ねえ……ジュスラ……」
「悪い説明不足だった。昔から変わらねぇなあいつは。皇太子の頃から何一つ変わらん」
「確かにな。そう言えばジュスラン彼と寝た事あったよあ?」
ステファヌが思い出したように……ん~って。ジュスランを見るとビクッとして変な汗をダラダラ。
「あはは……若気の至りでね……彼の方が年上で……その……断れなくて?……ごめんなさい!!」
「あはは、ジュスラン前にも言ったよね。以前の事は気にしなくていいって」
「うん……でも俺お前と番になってから以前の自分何やってたんだろうってたまに思うんだ。なんでそんなに盛ってたんだろって」
かわいい……ジュスランマジでかわいい。項垂れてごめんねって気持ちが表情からも分かるくらいだ。そっとジュスランに腕を回し、
「きっとね寂しかったんだよ。お父さんもお母さんもいなくなってステファヌと二人きり。叔父様は心の助けにならなくてね」
「なのかな……」
「未練はないんでしょ?」
「ないない。あいつ見た目の華やかさとは違ってすっげぇ腹黒くて頭いいんだよ。怖いヤツだ」
ふ~んあの態度は自信の裏打ちがあるんだね。僕の一回り上くらいかな。はあ……賢い人は態度も違うって事か。
「ジュスランいるなら気持ちを立て直してほら!まだあるんだからね!」
「うん」
よろしいですかと催促がまた。ごめんなさいどうぞと衛兵に伝えるとエルフ、ドワーフの王が宰相のみを連れて入って来た。彼らのところには魔法省はない。エルフは精霊使いだからね。
「お初に……」
定型文で挨拶が終わりドワーフ王がのベルサール王の話しを聞くとやはりだった。こちらの国も土地が安定し魔物からの魔石の質が良くなり鉱山からの鉱石も質が上がって来ているそうだ。
「アッハッハッルチアーノ様には感謝しかございませんな!武器、装具、甲冑と今まで以上の品が出来ております。冒険者は夕に及ばず自国は元より他国の近衛師団や貴族の私兵の者にも評判がすこぶるいい。職人たちが嬉しそうに製作しております!」
「ようございました。これからはもう少し良くなるはずです。穴は塞ぎましたのでそのうち昔の様に土地に力が漲りますよ!」
「そうだと有り難いですな!うはは」
ドワーフは背は小さいがムキムキ毛深くひげが立派だ。ベルサール王は既に四百歳は生きているそうだ。ドワーフもエルフも五百歳くらいが寿命らしいからそろそろ代替わりの時期が来ているそうだ。始祖の頃はあまり覚えてはいないが自分が跡を継いだ三代辺りからは覚えているらしい。すごい……
「ジュスラン様たちは代々似ておりますな。性格はまあ……ですが外見はね」
「ほほう。皆こんな感じだったのですか?肖像画ではあんまり似てない感じがしますが」
「のう?オズヴァルド様」
ふふっと微笑むエルフのオズヴァルド王。うわ~微笑むと更に美しい、さすがエルフの王だ。鳥族の王はエロい美しさだったけどこちらは品のある美しさだ。濃い紫の瞳に白金の髪、手の動きすら優雅だね。薄衣の衣装がとても良く似合う。
「はい、絵ではわからぬ雰囲気と申しましょうか。よく似ておりますよ」
「だって二人とも」
「そう言えばこんな話をした事はありませんでしたね」
ステファヌは自分の先祖の話しを二人の王から興味深く聞きいていた。
「ジュスラン様はおめでとうございます」
「ありがとう」
ドワーフ王は商魂逞しく、
「先日産まれたルチアーノ様のお子様と今お腹の子、さらなるお子様の成人の祝はお任せあれ。我が国一番の甲冑をお納め致しますぞ!」
「その時はよろしく頼みます。ベルサール様」
そうなんだよ。王族は成人の祝に甲冑を用意するんだ。大体全ての甲冑武具はドワーフ産だしね。修理とかのために城の工房にドワーフがいる。
「ルチアーノ様。我らからも感謝を申し上げます。我らの森の木々が青々と茂り、元気のなかった精霊はここ最近湖などで飛んだり、水浴びしたり昔の姿を取り戻しつつあります」
精霊たちも土地からの力が増えて身体が楽で楽しいと申しておりましたと嬉しそうにしている。僕たちとは違うけど魔法と同じ様な事が出来るエルフ族。精霊ありきだから元気になれば嬉しいよね。
ドワーフは魔力が籠もった武具を作る事が出来る。魔石とかを使用して魔剣とか防御力を強化している。これを使用すると冒険者でもかなり強力な魔物も倒せるんだ。まあ、扱えるのはある程度の熟練の者だけらしいけどね。力が強すぎて振り回されたりするからね。
「ではまた後ほどルチアーノ様」
「ええ」
エヴァリス王国の方たちもホールに戻った。
「あ゙あ゙~や゙っどおわっだぁ~疲れたよぉ~」
「ああ挨拶はな。後はダンス。そして明日からは会議ラッシュだ!」
「言わないでよステファヌ……明日からの会議は僕良くわからないから不安しかないんだから」
アンセルムが私がおりますし大臣たちもおります。ご安心をと微笑んだ。
「本当にお願いね!ジュスラン出ないからさ」
「はい、心得ています」
なんだかジュスランは疲れてる感じがするからこの後お医者さんに見てもらう事になっている。今日のこの二時間弱ですら後半ほぼ微笑んでるだけになっていたんだ。明らかに僕の妊婦の時とは様子が違うんだよ。
「ジュスラン側仕え呼んだからお部屋でお医者様に診て貰って休んでね」
「ああ悪いな。うんしょっと」
ジュスランはふらふらとマケールに手を引かれホールとは反対のドアから下がって行った。
「あんまりにも僕の時とは違って弱ってるんだけどアンセルムなんか分かる?」
「う~ん……」
顎を擦りながら仮説ですがと、
「この数代王族の懐妊はどちらも大して魔力差がなかったんですよ。前回はルチアーノ様の方が魔力が多かったので問題にならなかった。だけど今回のジュスランは魔力があまり増えていないうちに妊娠したから……」
「したから?」
「あなたの魔力に負けて同化していてその反動で弱っている?と私は考えています」
ステファヌもう~ん……と、
「そうかもね。ルチアーノに似て来て言動もおかしいし弱ってるし?お前みたいな表情でかわいいしな」
確かにかわいくて堪んないもの。心配だなあ……う~んと考えていると、
「まあそれはお医者様に任せましょう。魔力でおかしいなら私に報告来ますから」
「うん……」
心配し過ぎもよくないですよアンセルム。ではダンスです!仕事をしろ二人共とアンセルムに背中を押されてホールに出て行った。
「ランベール王国国王ベルンハルト様、魔法省エトヴィン様、宰相ヒ…あのお待ちを!」
衛兵が名前を読み上げている内に光るような緑の髪にスラッと艶めかしい感じの王?だと思うけど僕に駆け寄って飛びついて来た!
「ルチアーノ様!お会いしたかった!」
「あ、あの!?」
「離れろ!ベルンハルト!」
「ヤダ!ホントかわいい!」
宰相のヒルベルト様に羽交い締めされてバタバタ……なんなのこの王は?
「申し訳ございません。うちのバカ王が……」
「酷いなあヒルベルト。僕優秀よ?」
「そういう事ではありません。言動がですよ……はあ」
僕は目が点になり立ち尽くし、ジュスランたち二人はまたかとため息。
「あ~ルチアーノ、あの王はな……なんだその人との距離感がおかしいんだ。式典とかでも関係ねぇとばかりに好き勝手するんだ……」
「へ、へぇ……」
とりあえず座れとアンセルムが席を勧めやっと落ち着いた。よく見ると本当に美しい方だね。……あれ?鳥族なのに羽が背中にない。王族はないのか?
「うふっか~わいい!ルチアーノ様。んでね。ありがとうございました!」
「はあ……何か私がしましたか?」
ヤダもうと楽しそう。
「天変地異のことですよ!うちも海沿いだけ嵐が多くて大変だったんですよ。魚捕れなくてね!それとほら!背中見て!」
「はあ、普通の背中ですが……?」
違うんだルチアーノとアンセルムが耳打ち。彼ら鳥族は羽を小さくは出来るけど仕舞うことは出来ず常に出っぱなし……えっと仕舞えてますよね?
「分かった?すごく便利なんだよ!ゴロゴロ寝転べるんだ!」
「ああ……ようございました」
「僕の感動が伝わってないね?ルチアーノ様!」
魔術師のエトヴィンが説明してくれた。半年前からなんだか魔力量が増えているような感覚はあったそうだ。何だろうと思っていた頃家臣から羽が仕舞える者が出て来ていると報告が来てその家臣を呼んでやらせて見たら本当に仕舞えている!となり、ならみんなでしてみるかとやって見たら出来たそうだ。
それでそれぞれの部署で試したらまあ……貴族だけだけど出来るように。庶民は出来たり出来なかったりなんだそう。そして羽がないと人族そっくりになる者も多くなったそうだ。だけど鳥族は異常なくらい髪に艶がある種族だからすぐに違うと分かるそうなんだけどね。
「はあ……」
「羽が背中にずっとあると生活に不便なんだよ。寝る時もいたす時もねんふふっ。体位が決まっちゃうからね!」
「ですね……」
彼らの羽は膝裏辺りまである者が多いからだそう。縮めても手から肘くらいの物が残っていたそう。
「んふふっルチアーノ様何したの?」
先程の怪しい説明をアンセルムがして聞かせた。何度聞いても怪しいわ。
「ふ~ん。何にせよありがとう!僕ら鳥族はほんの少し魔力があるんだ。飛ぶための魔力なんだけどね。魔力が増えれば遠くまで行けるね!ねぇエトヴィン!」
「ええ。途中で力尽きる事が減りますね」
「あら?ジュスランおめでた?」
突然話変わったよ……
「ああ。ルチアーノとの子だ。後二ヶ月くらいかな」
「ん~?何だか雰囲気変わった?」
「かもな。なんだろう……気持ちが穏やかなんだよ」
「お腹の子の影響か妊娠によるものか?面白いね!んふふっ」
僕もねとベルンハルト王は話し出して、
「番の……ボニファス!」
「はいベルンハルト様」
「かわいい子を……二人目産んでもらったんだ。僕に似てかわいいんだよ?今度見に来てね!三人とも!」
「ああ、今度な」
彼は愛妾で今回は妻代わりに連れて来たんだそう……ベルンハルト王はまともな挨拶もなく好きなだけ捲し立てて話しの時間は終わった。
「お時間ですのでベルンハルト様」
「ええ!まだ話足りないのに!」
「後のダンスの時にでも……」
「仕方ない、ルチアーノ様後で踊りましょうね!」
「ええ。楽しみにしております」
「うん!またね」
何故かスキップしてホールに戻って行った……何だったのあれ。
「ねえ……ジュスラ……」
「悪い説明不足だった。昔から変わらねぇなあいつは。皇太子の頃から何一つ変わらん」
「確かにな。そう言えばジュスラン彼と寝た事あったよあ?」
ステファヌが思い出したように……ん~って。ジュスランを見るとビクッとして変な汗をダラダラ。
「あはは……若気の至りでね……彼の方が年上で……その……断れなくて?……ごめんなさい!!」
「あはは、ジュスラン前にも言ったよね。以前の事は気にしなくていいって」
「うん……でも俺お前と番になってから以前の自分何やってたんだろうってたまに思うんだ。なんでそんなに盛ってたんだろって」
かわいい……ジュスランマジでかわいい。項垂れてごめんねって気持ちが表情からも分かるくらいだ。そっとジュスランに腕を回し、
「きっとね寂しかったんだよ。お父さんもお母さんもいなくなってステファヌと二人きり。叔父様は心の助けにならなくてね」
「なのかな……」
「未練はないんでしょ?」
「ないない。あいつ見た目の華やかさとは違ってすっげぇ腹黒くて頭いいんだよ。怖いヤツだ」
ふ~んあの態度は自信の裏打ちがあるんだね。僕の一回り上くらいかな。はあ……賢い人は態度も違うって事か。
「ジュスランいるなら気持ちを立て直してほら!まだあるんだからね!」
「うん」
よろしいですかと催促がまた。ごめんなさいどうぞと衛兵に伝えるとエルフ、ドワーフの王が宰相のみを連れて入って来た。彼らのところには魔法省はない。エルフは精霊使いだからね。
「お初に……」
定型文で挨拶が終わりドワーフ王がのベルサール王の話しを聞くとやはりだった。こちらの国も土地が安定し魔物からの魔石の質が良くなり鉱山からの鉱石も質が上がって来ているそうだ。
「アッハッハッルチアーノ様には感謝しかございませんな!武器、装具、甲冑と今まで以上の品が出来ております。冒険者は夕に及ばず自国は元より他国の近衛師団や貴族の私兵の者にも評判がすこぶるいい。職人たちが嬉しそうに製作しております!」
「ようございました。これからはもう少し良くなるはずです。穴は塞ぎましたのでそのうち昔の様に土地に力が漲りますよ!」
「そうだと有り難いですな!うはは」
ドワーフは背は小さいがムキムキ毛深くひげが立派だ。ベルサール王は既に四百歳は生きているそうだ。ドワーフもエルフも五百歳くらいが寿命らしいからそろそろ代替わりの時期が来ているそうだ。始祖の頃はあまり覚えてはいないが自分が跡を継いだ三代辺りからは覚えているらしい。すごい……
「ジュスラン様たちは代々似ておりますな。性格はまあ……ですが外見はね」
「ほほう。皆こんな感じだったのですか?肖像画ではあんまり似てない感じがしますが」
「のう?オズヴァルド様」
ふふっと微笑むエルフのオズヴァルド王。うわ~微笑むと更に美しい、さすがエルフの王だ。鳥族の王はエロい美しさだったけどこちらは品のある美しさだ。濃い紫の瞳に白金の髪、手の動きすら優雅だね。薄衣の衣装がとても良く似合う。
「はい、絵ではわからぬ雰囲気と申しましょうか。よく似ておりますよ」
「だって二人とも」
「そう言えばこんな話をした事はありませんでしたね」
ステファヌは自分の先祖の話しを二人の王から興味深く聞きいていた。
「ジュスラン様はおめでとうございます」
「ありがとう」
ドワーフ王は商魂逞しく、
「先日産まれたルチアーノ様のお子様と今お腹の子、さらなるお子様の成人の祝はお任せあれ。我が国一番の甲冑をお納め致しますぞ!」
「その時はよろしく頼みます。ベルサール様」
そうなんだよ。王族は成人の祝に甲冑を用意するんだ。大体全ての甲冑武具はドワーフ産だしね。修理とかのために城の工房にドワーフがいる。
「ルチアーノ様。我らからも感謝を申し上げます。我らの森の木々が青々と茂り、元気のなかった精霊はここ最近湖などで飛んだり、水浴びしたり昔の姿を取り戻しつつあります」
精霊たちも土地からの力が増えて身体が楽で楽しいと申しておりましたと嬉しそうにしている。僕たちとは違うけど魔法と同じ様な事が出来るエルフ族。精霊ありきだから元気になれば嬉しいよね。
ドワーフは魔力が籠もった武具を作る事が出来る。魔石とかを使用して魔剣とか防御力を強化している。これを使用すると冒険者でもかなり強力な魔物も倒せるんだ。まあ、扱えるのはある程度の熟練の者だけらしいけどね。力が強すぎて振り回されたりするからね。
「ではまた後ほどルチアーノ様」
「ええ」
エヴァリス王国の方たちもホールに戻った。
「あ゙あ゙~や゙っどおわっだぁ~疲れたよぉ~」
「ああ挨拶はな。後はダンス。そして明日からは会議ラッシュだ!」
「言わないでよステファヌ……明日からの会議は僕良くわからないから不安しかないんだから」
アンセルムが私がおりますし大臣たちもおります。ご安心をと微笑んだ。
「本当にお願いね!ジュスラン出ないからさ」
「はい、心得ています」
なんだかジュスランは疲れてる感じがするからこの後お医者さんに見てもらう事になっている。今日のこの二時間弱ですら後半ほぼ微笑んでるだけになっていたんだ。明らかに僕の妊婦の時とは様子が違うんだよ。
「ジュスラン側仕え呼んだからお部屋でお医者様に診て貰って休んでね」
「ああ悪いな。うんしょっと」
ジュスランはふらふらとマケールに手を引かれホールとは反対のドアから下がって行った。
「あんまりにも僕の時とは違って弱ってるんだけどアンセルムなんか分かる?」
「う~ん……」
顎を擦りながら仮説ですがと、
「この数代王族の懐妊はどちらも大して魔力差がなかったんですよ。前回はルチアーノ様の方が魔力が多かったので問題にならなかった。だけど今回のジュスランは魔力があまり増えていないうちに妊娠したから……」
「したから?」
「あなたの魔力に負けて同化していてその反動で弱っている?と私は考えています」
ステファヌもう~ん……と、
「そうかもね。ルチアーノに似て来て言動もおかしいし弱ってるし?お前みたいな表情でかわいいしな」
確かにかわいくて堪んないもの。心配だなあ……う~んと考えていると、
「まあそれはお医者様に任せましょう。魔力でおかしいなら私に報告来ますから」
「うん……」
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