49 / 63
三章 東の城
11 街にお出かけ
しおりを挟む
王が帰ってからもロベールは少しおかしいまま。僕はきちんと落ち着くまでは城から出ないようにしていた。
心配はトリムたち。でもトリムは人の世界は面白いから別に森に行かなくてもいいよって。ミュイは転移の力があるから適当にいなくなる。特に問題はないが、トリムがいつもなにかしらのお菓子を持ってるのは気になる。
「トリムそれどうしたの?」
「うん。メイドの人がくれた」
「前にドールハウスのお皿みたいになのにチョコレートケーキもらってたよね?」
「うん。料理長がくれた」
つーかさ、精霊ってなに食べるの?と聞けば、
「そうね、森の木の実や果物かな。後は食べられる葉っぱとか」
「冬はなにを?」
「備蓄の木の実かな。まあ魔素があれば本来食べなくていいんだけどさ」
「ふーん……お腹出てきたね」
「えっ」
読書の本の横でバリバリ食べてるから気になったんだ。ここに来て二ヶ月、確実に丸くなって来ている。
「人の食べ物は栄養豊富だからねぇ。食事以外におやつ食べ過ぎじゃないの?お茶の時間に僕と食べて、それ以外にキッチンで何か食べてる?」
「う、うん?そんなには……のはず」
焦りながら、まあ俺くらいなら太った方がかわいいよ?そうそうって、リシャールこれ見てってかわいい服を見せてくれた。僕ら人と同じようなシャツとズボン。どうしたその服!
「メイドの修繕の人かな?遊びに行ってたらくれた」
「マジか。お礼言わなくちゃ」
僕の知らない間にみんなと仲良くしてるようで、おやつは手に入れるわ服も。精霊は人たらしで怖い。
「んふふっ俺のかわいさの、お、か、げ」
「そうですか。トリムかわいいよね」
「だろう?アンの人は俺にメロメロよ」
なんだその言葉、まあ分かるけどさ。人懐っこくおねだりも上手いのだろう。そのうちたまごみたいにまん丸になるのでは……それは嫌だな。
「ならねえよ。ちょーっと今服がきついけど、こんなの精霊の力で、フンっほら見ろ」
ふわっと光ると適正サイズになった。トリムはもらった服に着替えて、みてみてって嬉しそう。
「まあ……君がいいなら。それとても似合っててかわいいよ」
「だろ?」
おう、おやつ足りねえな。キッチンに行くかとクッキーを食べ終えて消えた。まだ食べるのか。その様子にミレーユはクスクスと笑う。
「本当にドールハウスの住人のようですね」
「うん。精霊ってあんななのかと驚いてる」
「まあ、リシャール様も似たようなもんですから」
「ええ?」
王が言ってた通り、問題を自分から起こしたのは結婚式のみですが、それ以外は周りが起こして巻き込まれる。困ったもんですねえって。はい?
「そっくりです」
「うっ……」
本当にリシャール様は精霊っぽいんだなあって、私は改めて思いましたよってニッコリ。
「そう?」
「そうですよ」
あんなか?もう少し人らしいでしょうよと思いなから読み進める。この間の続きだ。
発情してしまった姫と駆け落ちしたお話しで、彼らは身分を隠し、たまたま農地の拡張をしていて人を集めていた領地に潜り込み、庶民として精を出した。始めは上手くいってたんだけど、姫は思ったよりも体が強くなく、農家の作業が過酷で病に倒れ亡くなり、騎士は失意に自ら……つかさ、なんてこんなに悲劇の物語が多いんだよ!
「前王妃の趣味でしょうか」
「いや、これは僕が買ってきたからタイトルで失敗しただけ。今度街に行ってハッピーエンドを探すよ」
次にと読んでるのはここにもとからあったもの。これもなんか不穏。平民上がりの騎士学校からの人が街でウエイトレスさんに一目惚れ。彼は身分を隠していた子爵家の姫で、家出中だった。当然彼は子爵家とは身分違いもいいところ。結婚となったら親は反対するはずと、騎士は姫に平民になって逃げようと言い出す。姫も二つ返事で大きな西の国に行く。だけど、田舎の国から出て来たふたりには、都会は過酷だった。住む部屋も高いくせに粗末で、それを支払うと食べるのもやっと。結局、姫の妊娠で収入激減になり子爵家に帰還。
「この……クソ騎士。考えなしかい!」
父親はもう目も当てられないほどの剣幕で、騎士をなじった。姫が庇えばさらにで、騎士は言い訳虚しく叩き出された。騎士は国に帰っても騎士に戻ることも叶わず、仕方なく元の西の国に帰って働き出した。でもふたりだと厳しかった生活も、ひとりならギリギリ飲みに行くお金も出来た。楽に生きていけるようになったんだ。姫のことは気になるが、この騎士はドライでもあったのか、生活を楽しんでいた。
「おお……なんだこのお話」
「前王妃の趣味が見えますね」
「うん」
僕の説明に読んだことがないもので、マニアックな物語で作家も見たことない作家。王妃はどこから買ってたやらとミレーユ。
「他国のかもですね」
「うん……こちら風の名前でもないし」
「バルザックとかチャイコフとか……そんな苗字はこちらでは聞きませんね」
「うん。まあいいか」
少しミレーユと話してからまた文字を追う。
その騎士は生活を楽しみ、同僚のおすすめの居酒屋に入り浸るようになる。そこで美しい人を見つけ結婚。妻はこの居酒屋の子どもで、騎士は婿として転職。子爵家の姫のことなど忘れて仕事に精を出し、子を儲け幸せに暮らしていた。
その数年後、子爵家から使いが来て婿にしてやるって。ても時も経ち新たな妻も子もいる。騎士にはもうその気はなくなっていた。貴族は面倒臭いし、今の妻が愛しい。だから使いに帰れって。経済的にも落ち着いていたから余計に面倒くさくなっていた。
使いの者はそのまま帰還し姫に顛末を話すと、姫は大いに落胆して部屋から出て来なくなり、出てくれば父親をなじった。あの時彼を認めてくれればこんなことにはと、暴れ放題。そしてある日、やみ気味の姫は父親の執務室で暴れていた。物を投げたり怒鳴ったりで手が付けられない。その時投げた本が壁の装飾の剣に当たり、姫の頭に向かって落ちて来た。よく手入れされていたその剣は切れ味はバツグン。姫の首を剣がスッと撫でると血を吹き上げ絶命……親は後悔に泣き暮らした、終わり。おわり?
「おいおい。誰も幸せになってねえ……いや騎士はなってるか。後味の悪い話だなあ」
「なんか……ですね。タイトルで選ぶからかも。よく探せば楽しいのもありますよ」
よし!と意気込み本棚へ。定番の作家はだいたいこの辺でうんうん、読んだことあるものばかり。この辺は指南書や辞書的なものか……うーんと、やはりこの棚が怪しい。ならばこちらで探そう。窓際のこの棚からの本は癖があって、主人公の性格に難アリが多い。タイトルは楽しそうな「アリエスの幸せの時間」とかついてんのに中身は悲惨。それ以外は直球のタイトルで「逃避行の末に」とか「麗しの姫の後悔」とか。
「ねえ、ミレーユ。駆け落ちとか逃避行とかを思わせるタイトルばかりなんだけど。叔母様は東の城がお嫌だったのかな?城から逃げたかった?」
「そんなはずは……前王妃は東の出身ですし」
「そっか」
そう言えば……叔父上退位してから連絡来ないね?そっちはどう?わからないことない?など聞いても来ないとロベールは言っていた。大体西の城の催しでもほぼ見かけない。
「叔父様たち今なにしてんだろ」
「さあ、なにも情報が入りませんね。アーダルベルト様の相談役のはずですが、城に参内もしてないみたいです」
「まあいいか。ねえミレーユこれならハッピーエンドかな?」
ん?ミレーユの返事がないから振り向こうとしたら、リシャールと後ろから抱き締める誰か。もうこの人は。
「ロベールお仕事は?」
「もうお昼だよ。それと叔母上は叔父上大好きだったよ。東も当然好きだ。その本は趣味だろ?」
「そっか。あんまりにも逃げる話ばかりで、それも辛い終わり方が多くてさ」
ふーんとロベールも僕の肩に頭を乗せてタイトルを眺めた。ああ、この本の出版はリーリュシュのだ。リーリュシュの新人作家ばっかの商会だと、教えてくれた。ほらここ、店の印章があるだろって。へえ、羽根ペンと新芽の印章、これそうなんだ。
「あそこはジャンルもまちまちで、それこそ人気出るの?って内容も多かった気がする」
子供の頃ロベールは、叔母上につきあわされた経験があるそうだ。叔母上本屋さん大好きで、行った先の本屋には必ず入る人。長年集めたんだろうって。お前にって置いてったんだ。それでもかなり持っていったんだよ?ほらこの棚隙間多いだろ?って指をさした。それは思ってた。
「一時期悲劇にはまってたからね」
「ふーん」
自分で空いた棚に詰めろってチュッて頬にキス。
「お昼食べたらまた読めばいい。いや、本を買いに行くか、俺とさ」
「え?そんな暇あるの?」
「ああ、少しならな」
お前が普段なにしてるか見られるだろ?って嬉しそうだ。なら行くかな。
「ミレーユ、お金たくさん用意して。お願いします!」
「はーい」
そして昼食後本屋さんへ馬車で向かった。いつもは飛んで行くけど、本日は馬車!たくさん買えると僕はウキウキしていた。
「リシャールあれなに?前はなかったけど」
「うん?果物の砂糖がけかな?」
「俺食いたい!」
「後でね」
通り過ぎる屋台やお店のパンとか、むっちゃ反応するトリム。飯は城が一番美味いからいらないけど、お菓子は欲しい。あれなんだ!と叫ぶ。
「油か?なに揚げてるの?」
「ドーナツって食べ物だね。砂糖がまぶしてあるよ」
「へえ……」
よだれ出てるよ!本屋さんが先だからねと言うと、うるさいなあ分かってるよとヨダレを手で拭う。
「本当に?」
「静かにしてまーす。だから買ってくれよ」
「はーい」
街の一番大きな本屋さんに到着。まあ、いつも来てるけどね。新刊コーナーで物色してたら見かけないタイトルの本があった。
「さすがリシャール様、お目が高い。こちらはリーリュシュで今大人気の恋愛小説なんですよ。完結してますからいかがです?」
「ほほう。ならいただきます。他も見るから待ってね」
「ええ。ごゆっくり」
ロベールは僕らのやり取りを怪訝そうに見つめた。お前ここにどんだけ来てるの?ってね。
「森の散歩の帰りは必ず寄るから、週に一度は来てるよ」
「結構来てるな。その割に図書室の、叔母上が空けたスペースは埋まってないが、物語ばかりか?」
「甘い!僕は気に入ったのをゆっくり読んでるから、そんなに早くは埋まりません。それに恋愛小説以外も読みます」
「ふーん。それしか読んでないのかと思ってた」
ほぼそうだけど、たまに冒険物や魔物退治とか、後ろ暗い人々の話とか読むもん。てことで、本棚をぐるっと回る。ロベールは専門書の場所で立ち止まりなにか確認。よし!
「おお、砂漠の国の姫の話か。これと……」
魔族暗躍の話……これはいいや、現実に遭遇したから。ならば……継母にいじめられたけど、領主の跡取りに見初められてか。ふむふむ、これならきっと楽しいはず。ずっと気になってたタイトルの本を漁る。森に行く時、騎士たちはカバンにお菓子とかお茶セット入れてるから、大して本が入らないんだよね。僕は小さなリュック一つだからなあ。今日は馬車だからたくさん買えるんだ。
「あらすじで買うとハズレもあるけど、まあ、叔母様の本よりハズレはなかろう」
たくさん本を抱えてロベールの元へ。なにか真剣に読んでるね。
「なに読んでるの?」
「ひゃう!びっくりしたあ。ああ、精霊の本だ。今分かっている生態とかな」
「ふーん」
キョロキョロしてチュッとしてくる。お前をどこにもやらなくて済むように、俺が側室を殺さないためになって。なんだその物騒な話しは。
「だって我慢出来る自信ないんだよ。でも顔見たら腰の剣を抜く自信はある」
「ばか!」
「俺の心の弱さを甘く見んな」
「それ自慢じゃない」
小声でヒソヒソ話したけど、この人はもう。でもちょっと嬉しくて頬にチュッ
「ありがと」
「いいや」
あー和む。この夫婦好きってミレーユ。こんなのをずっと見ていたいわあって。
「だろ?だから対策だ」
「ええ。頑張って下さいませ」
リーリュシュの新刊三冊と他諸々で十冊買った。やっほーい。当分楽しめるね。カウンターでお会計してると店主が、
「リシャール様、来週たくさん新刊が出るんですよ。以前お買い求めの下巻とか中巻とかね、他も獣人の国のや魔族の国のも少しですが入ります。ぜひお越し下さいませ」
「うん。来る!」
え?これだけ買ってまだ来るの?とロベール。チッチッチッ。本好きには本屋さんは天国。いつまでいても飽きないんだ。次はあっちねと別の本屋を物色。こちらは少しマニアックで、リーリュシュではなく、他の共和国の人気の本が多い。北から南までそちらの文化も色濃く、船での海賊の話や山脈超えの話とか、魔獣が改心して人に懐くとか、とてもファンタジー色が強い。ここでも十冊買った。
「ロベールまだだよ!この先に超マニアックのお店、そう!叔母様の御用達の新人作家の本屋さん!」
「はい……」
「リシャールドーナツまだあ?」
「ここで最後だから待って」
そろそろみんな不満げになってきたな。趣味になると人が狂うのは仕方ない。楽しくてしょうがないんだもん。いそいそと本を馬車に積み込み、目的の本屋さんへ。
「いらっしゃいませリシャール様」
「うん。今日はどんなのが入ってる?」
「そうですなあ」
お前ここも顔なじみかとげんなりのロベール。当然でしょう。この都にある本屋さん、二十軒全部だよ。森のついでや街歩きで毎回寄るからねって言うと、目がスーッと冷たくなった。
「お前、本棚がすぐ埋まるぞこんな買い方してたら」
「おほほほ。雨季の暇つぶしには持ってこいだよ本はね。埋まったら本棚増設を……うふふっ」
「いいけどさ」
この東の城の地域は毎年夏の入口に、二ヶ月弱雨ばかりになるんだ。農地は少ないから困らないけど、まあ迷惑。そんな時は剣や体術の訓練したり、本読んだりしている。本当は子どもと遊びたいんだけど、ジョナサンが怖い。決まった時間以外に近づくと魔物と化すから。もうね、僕を敵と思ってるくさい。酷くね?とクリスに言ったけど、改善はされず、夜にこっそりは続いている。
「これなんかいががでしょう?前評判はいいですよ」
店主の選んだ本は表面の皮も青に染めてありタイトルは金字、とてもお金かかっている丁装だ。新人なのに凄いね。
「こちらはある貴族の方の作品と伺っております。名前はペンネームですから誰かは分かりませんが、いいところの姫とか」
「ほほう。なら買います。これだけ読めばいつか僕も書けるかな?」
あははと笑われた。でも、作家は読書が趣味の人が多いのも確かですから、できるかもねって。
「貴族の方はお手紙などよく書かれるのでしょう?ならばいけるかもですね。もし書き上げたら私が作家ギルドに持ち込んで差し上げましょう」
「ほんと?」
「ええ。内容がよければ出版になります。まあ、最初は私どものような書店に並び、人気が出ればあなた御用達の大きな書店に並びますよ」
おおっ夢が膨らむな。嬉しくてふるふるしてたらポンと肩に手が。
「お前は止めとけ。良からぬことを書きそうだ」
「ええ?」
「書くなら俺が検閲する」
「はい?」
「お前ハイネに聞くとかするだろ」
「おお!それいいね」
ああと俺の失言だ。アレの体験談は口外してはならない。するなら森の中のことだけだ。わかったか?と。トリムもなって。
「なんでダメなの?」
「それはな。まあ、ダメなものはダメなんだよ。察してくれ」
「はーい。それよりロベールドーナツは?」
ほらだいぶトリムを待たせてるし、俺もそろそろ時間がなくなる。急げって。僕は急ぎながら店主のおすすめは?といくつか選んでもらって買って、途中でドーナツとフルーツ串、待たせたお詫びにマドレーヌやクッキーの缶を買い求めた。
「リシャールメロンも!トマトはいいか。桃とそれと……」
「果物やさんね」
「おう!」
城にもあるはずだけど、まあいいかと買った。トリムはドーナツ美味い!揚げたては小麦の香りとバターが美味しいって。せっかくだから僕らも温かいうちに食べた。
「美味しいーッ城のは冷たくなってるからなんて美味しいの!」
「ああ美味いな」
ミレーユも美味しいって。ミュイもいつの間にか頭にいて、俺にもってついばむ。はあ、なんか楽しかった。ロベールとお出かけが楽しかったんだ。いつもマットやラインハルトと三人だからね。旦那様とこうしてるとデートみたいで、昔を思い出した。あの頃は楽しかったけど不安もあったなあって。振られないように振る舞ってる部分もあったんだ。それがないってなんて、なんて楽しいんだろう。
「楽しかったみたいだな」
「うん。ロベールと視察以外で一緒とか嬉しかった」
「そうか。これからもっと増やそうな」
「うん」
俺ね、剣をもう一本欲しいんだ。今のがちょっとでな。だから付き合えって。……はい。剣の新調か。完全な武器のだよね?
「そうだが?」
「はい。かしこまりました」
これ時間かかるんだよなあ。興味のない者には暇な時間なんだ。どうしよ。でもロベールに今日はついて来てもらったし、仕方なしか。
心配はトリムたち。でもトリムは人の世界は面白いから別に森に行かなくてもいいよって。ミュイは転移の力があるから適当にいなくなる。特に問題はないが、トリムがいつもなにかしらのお菓子を持ってるのは気になる。
「トリムそれどうしたの?」
「うん。メイドの人がくれた」
「前にドールハウスのお皿みたいになのにチョコレートケーキもらってたよね?」
「うん。料理長がくれた」
つーかさ、精霊ってなに食べるの?と聞けば、
「そうね、森の木の実や果物かな。後は食べられる葉っぱとか」
「冬はなにを?」
「備蓄の木の実かな。まあ魔素があれば本来食べなくていいんだけどさ」
「ふーん……お腹出てきたね」
「えっ」
読書の本の横でバリバリ食べてるから気になったんだ。ここに来て二ヶ月、確実に丸くなって来ている。
「人の食べ物は栄養豊富だからねぇ。食事以外におやつ食べ過ぎじゃないの?お茶の時間に僕と食べて、それ以外にキッチンで何か食べてる?」
「う、うん?そんなには……のはず」
焦りながら、まあ俺くらいなら太った方がかわいいよ?そうそうって、リシャールこれ見てってかわいい服を見せてくれた。僕ら人と同じようなシャツとズボン。どうしたその服!
「メイドの修繕の人かな?遊びに行ってたらくれた」
「マジか。お礼言わなくちゃ」
僕の知らない間にみんなと仲良くしてるようで、おやつは手に入れるわ服も。精霊は人たらしで怖い。
「んふふっ俺のかわいさの、お、か、げ」
「そうですか。トリムかわいいよね」
「だろう?アンの人は俺にメロメロよ」
なんだその言葉、まあ分かるけどさ。人懐っこくおねだりも上手いのだろう。そのうちたまごみたいにまん丸になるのでは……それは嫌だな。
「ならねえよ。ちょーっと今服がきついけど、こんなの精霊の力で、フンっほら見ろ」
ふわっと光ると適正サイズになった。トリムはもらった服に着替えて、みてみてって嬉しそう。
「まあ……君がいいなら。それとても似合っててかわいいよ」
「だろ?」
おう、おやつ足りねえな。キッチンに行くかとクッキーを食べ終えて消えた。まだ食べるのか。その様子にミレーユはクスクスと笑う。
「本当にドールハウスの住人のようですね」
「うん。精霊ってあんななのかと驚いてる」
「まあ、リシャール様も似たようなもんですから」
「ええ?」
王が言ってた通り、問題を自分から起こしたのは結婚式のみですが、それ以外は周りが起こして巻き込まれる。困ったもんですねえって。はい?
「そっくりです」
「うっ……」
本当にリシャール様は精霊っぽいんだなあって、私は改めて思いましたよってニッコリ。
「そう?」
「そうですよ」
あんなか?もう少し人らしいでしょうよと思いなから読み進める。この間の続きだ。
発情してしまった姫と駆け落ちしたお話しで、彼らは身分を隠し、たまたま農地の拡張をしていて人を集めていた領地に潜り込み、庶民として精を出した。始めは上手くいってたんだけど、姫は思ったよりも体が強くなく、農家の作業が過酷で病に倒れ亡くなり、騎士は失意に自ら……つかさ、なんてこんなに悲劇の物語が多いんだよ!
「前王妃の趣味でしょうか」
「いや、これは僕が買ってきたからタイトルで失敗しただけ。今度街に行ってハッピーエンドを探すよ」
次にと読んでるのはここにもとからあったもの。これもなんか不穏。平民上がりの騎士学校からの人が街でウエイトレスさんに一目惚れ。彼は身分を隠していた子爵家の姫で、家出中だった。当然彼は子爵家とは身分違いもいいところ。結婚となったら親は反対するはずと、騎士は姫に平民になって逃げようと言い出す。姫も二つ返事で大きな西の国に行く。だけど、田舎の国から出て来たふたりには、都会は過酷だった。住む部屋も高いくせに粗末で、それを支払うと食べるのもやっと。結局、姫の妊娠で収入激減になり子爵家に帰還。
「この……クソ騎士。考えなしかい!」
父親はもう目も当てられないほどの剣幕で、騎士をなじった。姫が庇えばさらにで、騎士は言い訳虚しく叩き出された。騎士は国に帰っても騎士に戻ることも叶わず、仕方なく元の西の国に帰って働き出した。でもふたりだと厳しかった生活も、ひとりならギリギリ飲みに行くお金も出来た。楽に生きていけるようになったんだ。姫のことは気になるが、この騎士はドライでもあったのか、生活を楽しんでいた。
「おお……なんだこのお話」
「前王妃の趣味が見えますね」
「うん」
僕の説明に読んだことがないもので、マニアックな物語で作家も見たことない作家。王妃はどこから買ってたやらとミレーユ。
「他国のかもですね」
「うん……こちら風の名前でもないし」
「バルザックとかチャイコフとか……そんな苗字はこちらでは聞きませんね」
「うん。まあいいか」
少しミレーユと話してからまた文字を追う。
その騎士は生活を楽しみ、同僚のおすすめの居酒屋に入り浸るようになる。そこで美しい人を見つけ結婚。妻はこの居酒屋の子どもで、騎士は婿として転職。子爵家の姫のことなど忘れて仕事に精を出し、子を儲け幸せに暮らしていた。
その数年後、子爵家から使いが来て婿にしてやるって。ても時も経ち新たな妻も子もいる。騎士にはもうその気はなくなっていた。貴族は面倒臭いし、今の妻が愛しい。だから使いに帰れって。経済的にも落ち着いていたから余計に面倒くさくなっていた。
使いの者はそのまま帰還し姫に顛末を話すと、姫は大いに落胆して部屋から出て来なくなり、出てくれば父親をなじった。あの時彼を認めてくれればこんなことにはと、暴れ放題。そしてある日、やみ気味の姫は父親の執務室で暴れていた。物を投げたり怒鳴ったりで手が付けられない。その時投げた本が壁の装飾の剣に当たり、姫の頭に向かって落ちて来た。よく手入れされていたその剣は切れ味はバツグン。姫の首を剣がスッと撫でると血を吹き上げ絶命……親は後悔に泣き暮らした、終わり。おわり?
「おいおい。誰も幸せになってねえ……いや騎士はなってるか。後味の悪い話だなあ」
「なんか……ですね。タイトルで選ぶからかも。よく探せば楽しいのもありますよ」
よし!と意気込み本棚へ。定番の作家はだいたいこの辺でうんうん、読んだことあるものばかり。この辺は指南書や辞書的なものか……うーんと、やはりこの棚が怪しい。ならばこちらで探そう。窓際のこの棚からの本は癖があって、主人公の性格に難アリが多い。タイトルは楽しそうな「アリエスの幸せの時間」とかついてんのに中身は悲惨。それ以外は直球のタイトルで「逃避行の末に」とか「麗しの姫の後悔」とか。
「ねえ、ミレーユ。駆け落ちとか逃避行とかを思わせるタイトルばかりなんだけど。叔母様は東の城がお嫌だったのかな?城から逃げたかった?」
「そんなはずは……前王妃は東の出身ですし」
「そっか」
そう言えば……叔父上退位してから連絡来ないね?そっちはどう?わからないことない?など聞いても来ないとロベールは言っていた。大体西の城の催しでもほぼ見かけない。
「叔父様たち今なにしてんだろ」
「さあ、なにも情報が入りませんね。アーダルベルト様の相談役のはずですが、城に参内もしてないみたいです」
「まあいいか。ねえミレーユこれならハッピーエンドかな?」
ん?ミレーユの返事がないから振り向こうとしたら、リシャールと後ろから抱き締める誰か。もうこの人は。
「ロベールお仕事は?」
「もうお昼だよ。それと叔母上は叔父上大好きだったよ。東も当然好きだ。その本は趣味だろ?」
「そっか。あんまりにも逃げる話ばかりで、それも辛い終わり方が多くてさ」
ふーんとロベールも僕の肩に頭を乗せてタイトルを眺めた。ああ、この本の出版はリーリュシュのだ。リーリュシュの新人作家ばっかの商会だと、教えてくれた。ほらここ、店の印章があるだろって。へえ、羽根ペンと新芽の印章、これそうなんだ。
「あそこはジャンルもまちまちで、それこそ人気出るの?って内容も多かった気がする」
子供の頃ロベールは、叔母上につきあわされた経験があるそうだ。叔母上本屋さん大好きで、行った先の本屋には必ず入る人。長年集めたんだろうって。お前にって置いてったんだ。それでもかなり持っていったんだよ?ほらこの棚隙間多いだろ?って指をさした。それは思ってた。
「一時期悲劇にはまってたからね」
「ふーん」
自分で空いた棚に詰めろってチュッて頬にキス。
「お昼食べたらまた読めばいい。いや、本を買いに行くか、俺とさ」
「え?そんな暇あるの?」
「ああ、少しならな」
お前が普段なにしてるか見られるだろ?って嬉しそうだ。なら行くかな。
「ミレーユ、お金たくさん用意して。お願いします!」
「はーい」
そして昼食後本屋さんへ馬車で向かった。いつもは飛んで行くけど、本日は馬車!たくさん買えると僕はウキウキしていた。
「リシャールあれなに?前はなかったけど」
「うん?果物の砂糖がけかな?」
「俺食いたい!」
「後でね」
通り過ぎる屋台やお店のパンとか、むっちゃ反応するトリム。飯は城が一番美味いからいらないけど、お菓子は欲しい。あれなんだ!と叫ぶ。
「油か?なに揚げてるの?」
「ドーナツって食べ物だね。砂糖がまぶしてあるよ」
「へえ……」
よだれ出てるよ!本屋さんが先だからねと言うと、うるさいなあ分かってるよとヨダレを手で拭う。
「本当に?」
「静かにしてまーす。だから買ってくれよ」
「はーい」
街の一番大きな本屋さんに到着。まあ、いつも来てるけどね。新刊コーナーで物色してたら見かけないタイトルの本があった。
「さすがリシャール様、お目が高い。こちらはリーリュシュで今大人気の恋愛小説なんですよ。完結してますからいかがです?」
「ほほう。ならいただきます。他も見るから待ってね」
「ええ。ごゆっくり」
ロベールは僕らのやり取りを怪訝そうに見つめた。お前ここにどんだけ来てるの?ってね。
「森の散歩の帰りは必ず寄るから、週に一度は来てるよ」
「結構来てるな。その割に図書室の、叔母上が空けたスペースは埋まってないが、物語ばかりか?」
「甘い!僕は気に入ったのをゆっくり読んでるから、そんなに早くは埋まりません。それに恋愛小説以外も読みます」
「ふーん。それしか読んでないのかと思ってた」
ほぼそうだけど、たまに冒険物や魔物退治とか、後ろ暗い人々の話とか読むもん。てことで、本棚をぐるっと回る。ロベールは専門書の場所で立ち止まりなにか確認。よし!
「おお、砂漠の国の姫の話か。これと……」
魔族暗躍の話……これはいいや、現実に遭遇したから。ならば……継母にいじめられたけど、領主の跡取りに見初められてか。ふむふむ、これならきっと楽しいはず。ずっと気になってたタイトルの本を漁る。森に行く時、騎士たちはカバンにお菓子とかお茶セット入れてるから、大して本が入らないんだよね。僕は小さなリュック一つだからなあ。今日は馬車だからたくさん買えるんだ。
「あらすじで買うとハズレもあるけど、まあ、叔母様の本よりハズレはなかろう」
たくさん本を抱えてロベールの元へ。なにか真剣に読んでるね。
「なに読んでるの?」
「ひゃう!びっくりしたあ。ああ、精霊の本だ。今分かっている生態とかな」
「ふーん」
キョロキョロしてチュッとしてくる。お前をどこにもやらなくて済むように、俺が側室を殺さないためになって。なんだその物騒な話しは。
「だって我慢出来る自信ないんだよ。でも顔見たら腰の剣を抜く自信はある」
「ばか!」
「俺の心の弱さを甘く見んな」
「それ自慢じゃない」
小声でヒソヒソ話したけど、この人はもう。でもちょっと嬉しくて頬にチュッ
「ありがと」
「いいや」
あー和む。この夫婦好きってミレーユ。こんなのをずっと見ていたいわあって。
「だろ?だから対策だ」
「ええ。頑張って下さいませ」
リーリュシュの新刊三冊と他諸々で十冊買った。やっほーい。当分楽しめるね。カウンターでお会計してると店主が、
「リシャール様、来週たくさん新刊が出るんですよ。以前お買い求めの下巻とか中巻とかね、他も獣人の国のや魔族の国のも少しですが入ります。ぜひお越し下さいませ」
「うん。来る!」
え?これだけ買ってまだ来るの?とロベール。チッチッチッ。本好きには本屋さんは天国。いつまでいても飽きないんだ。次はあっちねと別の本屋を物色。こちらは少しマニアックで、リーリュシュではなく、他の共和国の人気の本が多い。北から南までそちらの文化も色濃く、船での海賊の話や山脈超えの話とか、魔獣が改心して人に懐くとか、とてもファンタジー色が強い。ここでも十冊買った。
「ロベールまだだよ!この先に超マニアックのお店、そう!叔母様の御用達の新人作家の本屋さん!」
「はい……」
「リシャールドーナツまだあ?」
「ここで最後だから待って」
そろそろみんな不満げになってきたな。趣味になると人が狂うのは仕方ない。楽しくてしょうがないんだもん。いそいそと本を馬車に積み込み、目的の本屋さんへ。
「いらっしゃいませリシャール様」
「うん。今日はどんなのが入ってる?」
「そうですなあ」
お前ここも顔なじみかとげんなりのロベール。当然でしょう。この都にある本屋さん、二十軒全部だよ。森のついでや街歩きで毎回寄るからねって言うと、目がスーッと冷たくなった。
「お前、本棚がすぐ埋まるぞこんな買い方してたら」
「おほほほ。雨季の暇つぶしには持ってこいだよ本はね。埋まったら本棚増設を……うふふっ」
「いいけどさ」
この東の城の地域は毎年夏の入口に、二ヶ月弱雨ばかりになるんだ。農地は少ないから困らないけど、まあ迷惑。そんな時は剣や体術の訓練したり、本読んだりしている。本当は子どもと遊びたいんだけど、ジョナサンが怖い。決まった時間以外に近づくと魔物と化すから。もうね、僕を敵と思ってるくさい。酷くね?とクリスに言ったけど、改善はされず、夜にこっそりは続いている。
「これなんかいががでしょう?前評判はいいですよ」
店主の選んだ本は表面の皮も青に染めてありタイトルは金字、とてもお金かかっている丁装だ。新人なのに凄いね。
「こちらはある貴族の方の作品と伺っております。名前はペンネームですから誰かは分かりませんが、いいところの姫とか」
「ほほう。なら買います。これだけ読めばいつか僕も書けるかな?」
あははと笑われた。でも、作家は読書が趣味の人が多いのも確かですから、できるかもねって。
「貴族の方はお手紙などよく書かれるのでしょう?ならばいけるかもですね。もし書き上げたら私が作家ギルドに持ち込んで差し上げましょう」
「ほんと?」
「ええ。内容がよければ出版になります。まあ、最初は私どものような書店に並び、人気が出ればあなた御用達の大きな書店に並びますよ」
おおっ夢が膨らむな。嬉しくてふるふるしてたらポンと肩に手が。
「お前は止めとけ。良からぬことを書きそうだ」
「ええ?」
「書くなら俺が検閲する」
「はい?」
「お前ハイネに聞くとかするだろ」
「おお!それいいね」
ああと俺の失言だ。アレの体験談は口外してはならない。するなら森の中のことだけだ。わかったか?と。トリムもなって。
「なんでダメなの?」
「それはな。まあ、ダメなものはダメなんだよ。察してくれ」
「はーい。それよりロベールドーナツは?」
ほらだいぶトリムを待たせてるし、俺もそろそろ時間がなくなる。急げって。僕は急ぎながら店主のおすすめは?といくつか選んでもらって買って、途中でドーナツとフルーツ串、待たせたお詫びにマドレーヌやクッキーの缶を買い求めた。
「リシャールメロンも!トマトはいいか。桃とそれと……」
「果物やさんね」
「おう!」
城にもあるはずだけど、まあいいかと買った。トリムはドーナツ美味い!揚げたては小麦の香りとバターが美味しいって。せっかくだから僕らも温かいうちに食べた。
「美味しいーッ城のは冷たくなってるからなんて美味しいの!」
「ああ美味いな」
ミレーユも美味しいって。ミュイもいつの間にか頭にいて、俺にもってついばむ。はあ、なんか楽しかった。ロベールとお出かけが楽しかったんだ。いつもマットやラインハルトと三人だからね。旦那様とこうしてるとデートみたいで、昔を思い出した。あの頃は楽しかったけど不安もあったなあって。振られないように振る舞ってる部分もあったんだ。それがないってなんて、なんて楽しいんだろう。
「楽しかったみたいだな」
「うん。ロベールと視察以外で一緒とか嬉しかった」
「そうか。これからもっと増やそうな」
「うん」
俺ね、剣をもう一本欲しいんだ。今のがちょっとでな。だから付き合えって。……はい。剣の新調か。完全な武器のだよね?
「そうだが?」
「はい。かしこまりました」
これ時間かかるんだよなあ。興味のない者には暇な時間なんだ。どうしよ。でもロベールに今日はついて来てもらったし、仕方なしか。
11
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話に、真紀ちゃん(攻)視点を追加して、倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結、恋愛ルート、トマといっしょに里帰り編、完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【土壌改良】スキルで追放された俺、辺境で奇跡の野菜を作ってたら、聖剣の呪いに苦しむ伝説の英雄がやってきて胃袋と心を掴んでしまった
水凪しおん
BL
戦闘にも魔法にも役立たない【土壌改良】スキルを授かった伯爵家三男のフィンは、実家から追放され、痩せ果てた辺境の地へと送られる。しかし、彼は全くめげていなかった。「美味しい野菜が育てばそれでいいや」と、のんびり畑を耕し始める。
そんな彼の作る野菜は、文献にしか存在しない幻の品種だったり、食べた者の体調を回復させたりと、とんでもない奇跡の作物だった。
ある嵐の夜、フィンは一人の男と出会う。彼の名はアッシュ。魔王を倒した伝説の英雄だが、聖剣の呪いに蝕まれ、死を待つ身だった。
フィンの作る野菜スープを口にし、初めて呪いの痛みから解放されたアッシュは、フィンに宣言する。「君の作る野菜が毎日食べたい。……夫もできる」と。
ハズレスキルだと思っていた力は、実は世界を浄化する『創生の力』だった!?
無自覚な追放貴族と、彼に胃袋と心を掴まれた最強の元英雄。二人の甘くて美味しい辺境開拓スローライフが、今、始まる。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
* ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
透夜×ロロァのお話です。
本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけを更新するかもです。
『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑)
大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑)
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる