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21 月夜の告白 2
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リリアナは満月を見上げながら口を開いた。
「婚約破棄が貴族中に広まった頃からかしら。悪意のある噂が流れ始めたの」
それは彼女が何かしらの悪いことをして病になったとか、実はふしだらな姫だったから性病なんじゃ?とか。性の相手をする男をとっかえひっかえ雇ってるとか、根も葉もない噂が流れ出した。
「兄が言うには。人当たりのよさが嫌われたのかなって言ってたの。先生にかわいがられてたとか、学年で成績優秀だったとか。少なからず私を嫌いだった人たちだろって」
「まあねえ。ソフィアと双璧だったもんな」
「んふふっあなたを奪うには彼女と同等でなければって頑張ったの」
「そんなのいらないのに」
あら、あの頃の私は必死だったのよ?あなたに女として見て欲しくてねって微笑む。あーあの頃はどんなでも女としては見なかっただろうなあ。世界を回るしか考えてなかったもん。嫁は障害になるくらいに思ってたから。そう言うと彼女は苦笑い。
「分かってたけどそれでもね。優秀なら国外にも連れてってもいいかな?とか、思うかもじゃない」
「リリアナ……」
俺は胸が締め付けられる思いがした。俺をあの頃からこんなにも思ってくれてたのか。その頃の純粋な気持ちを思うと、申し訳ない気持ちになってしまった。
「ごめん。今さらだけどごめんね」
「いいの。私の勝手な気持ちだから。思いを伝えた上でなら悲しみも大きかっただろうけどね」
「いや、俺なら聞いても同じことしたかも」
それはそれ。続けるわねって。男前なリリアナに俺は背中がゾクゾクした。格好いい女だなんて感心してニヤリと口元が歪む。リリアナは俺を見つめふふっと笑い続けた。
そのうち妻を亡くしたおじ様たちを食い物にしたからとか言われ始めた。だから商売が上手くいってるとかなんとか。なんとまあよく思いつくもんだな。
「ね。おじ様たちに好かれたのは確かだけど、そんな色仕掛けなんてね。私はそんなこと出来るような玉じゃないわ」
「うん。俺たちが知ってるよ」
「ええ。今はエッチ好きだけどね。んふふっ」
「それは俺だけが俺が知ってればいい」
幸せそうに微笑みありがとうって。そんな噂がみんなの真実になりかけていた頃、病の原因が分かった。そしたら今度は化け物になったと変わった。子は魔物が生まれるとか、逆に不妊だとか感染するかもとか。数年寝込んでたのに一気に治ったのはその証拠。化け物だと噂は真実のように歩き出した。
「親も兄弟も否定して歩いたけど、否定するのは真実だからってね。もうなにも出来ないところまで来ていたの。もう家族はみんなが忘れるまで耐えようって」
「そっか……」
弱った体が復活した頃家を手伝い始めた。国内にいると嫌な噂も聞くからって父親が配慮し、近隣の国にいたのよって。
「楽しかったわよ。配達の人たちと毎日ワイワイね。事務仕事だけだったけど、それでも楽しかったの」
「うん」
そんな時俺の家の不幸を聞いた。葬儀に来てみれば俺はいない。家臣の方に聞けば教えずに働かせてるって。船の積み荷が遅れてて、葬儀で呼び寄せて滞ると信用に関わるからって聞いたそうだ。そのとおりだな。
「なんてことをと思ったわ。でも私も仕事を手伝うようになり、その理由も分かったからなにも言えずにいたの」
「うん」
そしてその不幸のせいで嫁を探していると耳に入った。病や俺のスタンスで諦めていたチャンスが到来したと思ったそうだ。
「人の不幸を喜んだのよ。ごめんなさい」
「いやいいよ」
それからの家族は早かったそうだ。知らぬ存ぜぬって態度で就任式に出席する算段をしてくれた。付き合いはあるが、あくまで商売としてだけ。同級生だったのははるか昔の話だ。見合いの話など聞けば、選ばれる望みは薄い。だが、人生は賭けてみなきゃ分からない。そして、私は今ここにいる。それが結果だとリリアナ。
「私は浅ましい部分があってあなたの隣にいます。ねえイリアス。こんな私の子を欲しいと思いますか?」
覚悟を決めて話したのだろう。清々しい顔だ。ここまで卒業からの話をきちんと聞いたことはない。自分の不幸と家族総出の戦略的な嫁入り計画を話してくれた。親父たちの不幸をチャンスと捉え、俺に嫁入りした。どれほど話したくない気持ちだっただろう。俺は腕を組み目を伏せた。
「俺のなにがよかったの?」
少し考えたように黙り、そうねえって。
「子どもっぽい性善説で生きてるところかな。女性に興味ないだけで、とても思いやりのある人なのは近くにいたから知ってたの。誰かが困ると本気で助けに入る。不利になろうともね。そんなあなただから好きになったの」
「俺にはそんな気持ちはないよ。ただ……困った人とか見過ごせないだけなんだ。商売もそれでしくじったりもあるしね」
お茶農園の主が懇願してくるからと取引したら、クッソ等級が低くて香りもあったもんじゃなくてさ。仕方なく自分たちで飲んで消費したんだよなあ。叔父にはボロクソ言われたよ。親父たちも「イリアス……もう少し相手の嘘を見抜けないとなあ」とか苦言を呈されたり。無理やりみんなで飲んだんだよな。
「考えが甘いんだ俺。人の嘘が見抜けないとかある。人の悪意に鈍感だし、裏のある優しさも気がつくのに時間がかかる。そして失敗とかな」
「そんなのは私が隣でカバーします。それでどうします?離縁しますか?」
「は?」
離縁とは?リリアナどっか行くの?子を作る話じゃなかったの?と驚いて目を開けた。
「イリアス話聞いてた?私はあなたの不幸をチャンスと言ったのよ」
「だから?俺は君が好きだし問題はないけど」
面食らったかと思うと、アハハッとリリアナは盛大に笑った。
「話しの取り方によってはあなたの親や兄弟の死を喜んだのよ?そんな人を妻にしていいの?」
「ああそれね。そんなの見合いの時に散々言われたから気にもしてないよ。一見お淑やかなお嬢様方だったが、親にあの家の金を家に入れろって言われて来てたそうだ。クリスティンの子を産んでも構わない。困窮してる家を建て直せって人が半分くらいいたんだ」
「あ……」
叔父も甘いところがある。特に女性の嘘は見抜けないこと多しと、この見合いで気がついてはいた。まあ、経済的にはそれもありだろうと思ってたから気にはしてなかったが、お嬢たちにしっくりこなかっただけ。それだけなんだ。
「だからそんな考えが悪いとは思ってない。それどころか、親父の悪い噂で嫁の来てがないかなって思ってたくらいなんだ。親父がやましかったんじゃないかって噂になってたから」
「それは聞いてました。しかし、うちの父は義父上の清廉さを知ってましたから、嘘だと笑ってましたね」
「そうか。義父上は……フフッありがたいな」
なんだろうなあ。俺は親たちに守られて好き勝手生きてきただけだな。目標らしきものもなく、目先の楽しみを追ってただけ。それがたまたま成果になった。まるで子どものままだ。そりゃあ家臣が「坊っちゃん」と呼ぶはずだ。子どもなんだもん。
俺こそこんなだけど、こんなヤツの子を持って大丈夫?と聞いた。いやあダメだろ俺。男としてっていうか、大人として半人前過ぎ。親になれるのかな?と不安にもなる。
「イリアス」
「うん?」
リリアナは立ち上がりゴソゴソと俺の膝に跨る。なにしてんの?と見つめた。
「腹黒い嫁と天使のように純粋な旦那様。二で割ったらちょうどよくない?」
「いいの?」
「何年あなたを思っていたか知らないでしょ。私の心の一番いい席にあなたはずっといた。公爵と結婚が決まっても、あなたはそこから立ち退かなかったの。それがどういうことかおわかり?」
「その戦略家に俺は落ちた。愛してますリリアナ」
「私もよイリアス。私はいろいろ話した後から腹を括ってました。絶対あなたの傍を離れたくないって」
真剣に俺を見つめる彼女の瞳はゆらゆら波打つ。本気の言葉だ。嘘をついても揺れる人もいるが、これは違うと俺にも分かる。嘘つくと波打つ色違うんだよ。最近気がついた事実だ。遅いよね。アハハッと心で笑った。
「でも……あなたがいらないと言うなら引こうとは考えてたの。迷惑にはなりたくないから」
「うん」
いらないなんて言うはずない。俺の寂しさを埋めてくれるリリアナ。いなくなったらそれこそ俺の心が死ぬ。親の死とリリアナの喪失で頭おかしくなる自信があるもん。なあリリアナ。
「なあに?」
「子はいつならできる?」
「んふふっこれからかな」
「いつ?」
「明後日辺りから出来やすいはずよ」
「今日は意味ない?」
「そんなことはないかな。愛し合うことはいつでもいいことよ」
「だよな」
俺は彼女の唇に指を沿わせた。彼女は目を伏せ、口を少し開ける。
「イリアス」
「なんだ?」
「ねえ」
「なんだよ」
少し息が上がるリリアナ。して欲しそうな頬の紅潮に俺はクスクスと微笑む。
「君好きだよね」
「当たり前でしょ。大好きな夫と触れ合うのが嫌いな人はいないわよ」
「そう?俺は抱き合うだけで幸せだよ」
「そこはあなたが変なの。そんなところも好きだけど」
「フフッ」
俺は彼女の唇を舐めた。舌を這わせるとふるふると震える。
「もっと……ンッ」
「なにを?」
「言わせるの?」
「言ってよ」
「キスして」
「それだけ?」
「意地悪言わないで」
「これ?」
俺は自分のを掴ませた。すると恥ずかしそうに頬を染めるくせに、しっかり掴む。
「して」
「なにを?」
「コレ……ンッ…」
「コレどうすんの?」
「言わせるの?」
「言ってよリリアナ」
もう意地悪って立ち上がりパジャマのズボンを脱いでまだ跨り直す。
「して」
「前戯ないよ?」
「なくてもいけます」
「リリアナのエッチ」
「あなたが焦らすからよ」
「ほら」
「えー」
「えーじゃない」
「今日はできないんだろ?」
「わかんないもん。できるかもしれないし」
「ふーん。かもなんだ」
もういいって腰を上げて俺のを掴み自分で入れ込んだ。
「本当にビチョビチョだな」
「……イジワル」
「後悔はないか?」
「ないわよ。私の恋心を舐めないでよね」
「ふふーん。なら朝まで付き合えよ」
「いいわよ。私がやめてって言うまでしてみなさい。私は強いわよ」
「おう」
そのまま俺たちは逢瀬に突入。煽られたんなら応えるのみ。嫌だと言うまで付き合ってもらうさ。
「婚約破棄が貴族中に広まった頃からかしら。悪意のある噂が流れ始めたの」
それは彼女が何かしらの悪いことをして病になったとか、実はふしだらな姫だったから性病なんじゃ?とか。性の相手をする男をとっかえひっかえ雇ってるとか、根も葉もない噂が流れ出した。
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「まあねえ。ソフィアと双璧だったもんな」
「んふふっあなたを奪うには彼女と同等でなければって頑張ったの」
「そんなのいらないのに」
あら、あの頃の私は必死だったのよ?あなたに女として見て欲しくてねって微笑む。あーあの頃はどんなでも女としては見なかっただろうなあ。世界を回るしか考えてなかったもん。嫁は障害になるくらいに思ってたから。そう言うと彼女は苦笑い。
「分かってたけどそれでもね。優秀なら国外にも連れてってもいいかな?とか、思うかもじゃない」
「リリアナ……」
俺は胸が締め付けられる思いがした。俺をあの頃からこんなにも思ってくれてたのか。その頃の純粋な気持ちを思うと、申し訳ない気持ちになってしまった。
「ごめん。今さらだけどごめんね」
「いいの。私の勝手な気持ちだから。思いを伝えた上でなら悲しみも大きかっただろうけどね」
「いや、俺なら聞いても同じことしたかも」
それはそれ。続けるわねって。男前なリリアナに俺は背中がゾクゾクした。格好いい女だなんて感心してニヤリと口元が歪む。リリアナは俺を見つめふふっと笑い続けた。
そのうち妻を亡くしたおじ様たちを食い物にしたからとか言われ始めた。だから商売が上手くいってるとかなんとか。なんとまあよく思いつくもんだな。
「ね。おじ様たちに好かれたのは確かだけど、そんな色仕掛けなんてね。私はそんなこと出来るような玉じゃないわ」
「うん。俺たちが知ってるよ」
「ええ。今はエッチ好きだけどね。んふふっ」
「それは俺だけが俺が知ってればいい」
幸せそうに微笑みありがとうって。そんな噂がみんなの真実になりかけていた頃、病の原因が分かった。そしたら今度は化け物になったと変わった。子は魔物が生まれるとか、逆に不妊だとか感染するかもとか。数年寝込んでたのに一気に治ったのはその証拠。化け物だと噂は真実のように歩き出した。
「親も兄弟も否定して歩いたけど、否定するのは真実だからってね。もうなにも出来ないところまで来ていたの。もう家族はみんなが忘れるまで耐えようって」
「そっか……」
弱った体が復活した頃家を手伝い始めた。国内にいると嫌な噂も聞くからって父親が配慮し、近隣の国にいたのよって。
「楽しかったわよ。配達の人たちと毎日ワイワイね。事務仕事だけだったけど、それでも楽しかったの」
「うん」
そんな時俺の家の不幸を聞いた。葬儀に来てみれば俺はいない。家臣の方に聞けば教えずに働かせてるって。船の積み荷が遅れてて、葬儀で呼び寄せて滞ると信用に関わるからって聞いたそうだ。そのとおりだな。
「なんてことをと思ったわ。でも私も仕事を手伝うようになり、その理由も分かったからなにも言えずにいたの」
「うん」
そしてその不幸のせいで嫁を探していると耳に入った。病や俺のスタンスで諦めていたチャンスが到来したと思ったそうだ。
「人の不幸を喜んだのよ。ごめんなさい」
「いやいいよ」
それからの家族は早かったそうだ。知らぬ存ぜぬって態度で就任式に出席する算段をしてくれた。付き合いはあるが、あくまで商売としてだけ。同級生だったのははるか昔の話だ。見合いの話など聞けば、選ばれる望みは薄い。だが、人生は賭けてみなきゃ分からない。そして、私は今ここにいる。それが結果だとリリアナ。
「私は浅ましい部分があってあなたの隣にいます。ねえイリアス。こんな私の子を欲しいと思いますか?」
覚悟を決めて話したのだろう。清々しい顔だ。ここまで卒業からの話をきちんと聞いたことはない。自分の不幸と家族総出の戦略的な嫁入り計画を話してくれた。親父たちの不幸をチャンスと捉え、俺に嫁入りした。どれほど話したくない気持ちだっただろう。俺は腕を組み目を伏せた。
「俺のなにがよかったの?」
少し考えたように黙り、そうねえって。
「子どもっぽい性善説で生きてるところかな。女性に興味ないだけで、とても思いやりのある人なのは近くにいたから知ってたの。誰かが困ると本気で助けに入る。不利になろうともね。そんなあなただから好きになったの」
「俺にはそんな気持ちはないよ。ただ……困った人とか見過ごせないだけなんだ。商売もそれでしくじったりもあるしね」
お茶農園の主が懇願してくるからと取引したら、クッソ等級が低くて香りもあったもんじゃなくてさ。仕方なく自分たちで飲んで消費したんだよなあ。叔父にはボロクソ言われたよ。親父たちも「イリアス……もう少し相手の嘘を見抜けないとなあ」とか苦言を呈されたり。無理やりみんなで飲んだんだよな。
「考えが甘いんだ俺。人の嘘が見抜けないとかある。人の悪意に鈍感だし、裏のある優しさも気がつくのに時間がかかる。そして失敗とかな」
「そんなのは私が隣でカバーします。それでどうします?離縁しますか?」
「は?」
離縁とは?リリアナどっか行くの?子を作る話じゃなかったの?と驚いて目を開けた。
「イリアス話聞いてた?私はあなたの不幸をチャンスと言ったのよ」
「だから?俺は君が好きだし問題はないけど」
面食らったかと思うと、アハハッとリリアナは盛大に笑った。
「話しの取り方によってはあなたの親や兄弟の死を喜んだのよ?そんな人を妻にしていいの?」
「ああそれね。そんなの見合いの時に散々言われたから気にもしてないよ。一見お淑やかなお嬢様方だったが、親にあの家の金を家に入れろって言われて来てたそうだ。クリスティンの子を産んでも構わない。困窮してる家を建て直せって人が半分くらいいたんだ」
「あ……」
叔父も甘いところがある。特に女性の嘘は見抜けないこと多しと、この見合いで気がついてはいた。まあ、経済的にはそれもありだろうと思ってたから気にはしてなかったが、お嬢たちにしっくりこなかっただけ。それだけなんだ。
「だからそんな考えが悪いとは思ってない。それどころか、親父の悪い噂で嫁の来てがないかなって思ってたくらいなんだ。親父がやましかったんじゃないかって噂になってたから」
「それは聞いてました。しかし、うちの父は義父上の清廉さを知ってましたから、嘘だと笑ってましたね」
「そうか。義父上は……フフッありがたいな」
なんだろうなあ。俺は親たちに守られて好き勝手生きてきただけだな。目標らしきものもなく、目先の楽しみを追ってただけ。それがたまたま成果になった。まるで子どものままだ。そりゃあ家臣が「坊っちゃん」と呼ぶはずだ。子どもなんだもん。
俺こそこんなだけど、こんなヤツの子を持って大丈夫?と聞いた。いやあダメだろ俺。男としてっていうか、大人として半人前過ぎ。親になれるのかな?と不安にもなる。
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「うん?」
リリアナは立ち上がりゴソゴソと俺の膝に跨る。なにしてんの?と見つめた。
「腹黒い嫁と天使のように純粋な旦那様。二で割ったらちょうどよくない?」
「いいの?」
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「私もよイリアス。私はいろいろ話した後から腹を括ってました。絶対あなたの傍を離れたくないって」
真剣に俺を見つめる彼女の瞳はゆらゆら波打つ。本気の言葉だ。嘘をついても揺れる人もいるが、これは違うと俺にも分かる。嘘つくと波打つ色違うんだよ。最近気がついた事実だ。遅いよね。アハハッと心で笑った。
「でも……あなたがいらないと言うなら引こうとは考えてたの。迷惑にはなりたくないから」
「うん」
いらないなんて言うはずない。俺の寂しさを埋めてくれるリリアナ。いなくなったらそれこそ俺の心が死ぬ。親の死とリリアナの喪失で頭おかしくなる自信があるもん。なあリリアナ。
「なあに?」
「子はいつならできる?」
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「いつ?」
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「今日は意味ない?」
「そんなことはないかな。愛し合うことはいつでもいいことよ」
「だよな」
俺は彼女の唇に指を沿わせた。彼女は目を伏せ、口を少し開ける。
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「なんだ?」
「ねえ」
「なんだよ」
少し息が上がるリリアナ。して欲しそうな頬の紅潮に俺はクスクスと微笑む。
「君好きだよね」
「当たり前でしょ。大好きな夫と触れ合うのが嫌いな人はいないわよ」
「そう?俺は抱き合うだけで幸せだよ」
「そこはあなたが変なの。そんなところも好きだけど」
「フフッ」
俺は彼女の唇を舐めた。舌を這わせるとふるふると震える。
「もっと……ンッ」
「なにを?」
「言わせるの?」
「言ってよ」
「キスして」
「それだけ?」
「意地悪言わないで」
「これ?」
俺は自分のを掴ませた。すると恥ずかしそうに頬を染めるくせに、しっかり掴む。
「して」
「なにを?」
「コレ……ンッ…」
「コレどうすんの?」
「言わせるの?」
「言ってよリリアナ」
もう意地悪って立ち上がりパジャマのズボンを脱いでまだ跨り直す。
「して」
「前戯ないよ?」
「なくてもいけます」
「リリアナのエッチ」
「あなたが焦らすからよ」
「ほら」
「えー」
「えーじゃない」
「今日はできないんだろ?」
「わかんないもん。できるかもしれないし」
「ふーん。かもなんだ」
もういいって腰を上げて俺のを掴み自分で入れ込んだ。
「本当にビチョビチョだな」
「……イジワル」
「後悔はないか?」
「ないわよ。私の恋心を舐めないでよね」
「ふふーん。なら朝まで付き合えよ」
「いいわよ。私がやめてって言うまでしてみなさい。私は強いわよ」
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