真紅のダリアは闇夜に開く 〜本能のまま好きに生きてたら奇跡が起きた〜

琴音

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26 奇跡とは起こるもの

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 城に滞在している間王様には二日おきに抱かれ、隙間に宰相様や騎士団長など城の重鎮に抱かれたり抱いたり。

「ハァハァ……懐かしい。島のオメガはいい」
「でしょ?」
「うん」

 本土の騎士様たちは遊びで誰かを抱くことがほとんどない。もっぱら妻。でもね、遠征もあるからいつも抱けるはずもなく、自分でになる。もうかなり虚しいそうだ。

「風紀的に他の騎士と交わってはならぬと規則にあってな。島の人はみんな苦しんでんだ」
「グッ……出ちゃうぅ」
「出してくれ。飲ませろ」

 ドクンッと俺がすると尻から抜いて押し倒し、すぐに咥える。そして美味そうに舌が絡む。

「堪んねえ。ちんこ好き。妻は満足なんだがたまに……」
「そうね」

 俺は愛しそうにちんこ舐め回す副団長様の頭を撫でた。そんなことになってたのか。誰彼構わず食ってたかと思ってた。そう言うと、

「昔は……ハァハァそうだったんだ。だが場が乱れて禁止になった」
「そっか」

 エルヴィーレを抱けるなんてラッキーだ。ジルベールもいいがお前はまた違っていい。あれのほうが少しゴツいから、お前はかわいくて堪んないと俺の体を撫で回す。

「俺はどっちもいけるんだ。気分で店変えてな」
「あっ勃つでしょ」
「ならほら」

 そして押し込まれアンアンと楽しむ。本土では王様以外には甘くて美味しい精液の人はいなかったが楽しくはあった。それはな。強い性欲に我慢してる人たちに、奉仕出来たんだって満足感かな。アルファの騎士は激しいんだよ。

「本土に店があって、うちの兄も店作ってたはずですが」
「まだ少ねえんだ。予約なんて取れない」
「そっか」

 島の人や男色の人は思ったほど多くない……じゃなくて、平民は島に行くから重要があんまりでね。貴族専用みたいになるらしい。そうすると今度は予約が取れない。増えては来てるけどまだまだだそう。ふーん。

「俺たちは毎晩どころか一日中してても困らんだろ?だからもある」
「まあ」

 島の人は耐えられず、騎士寮は有志を募り金を出し合い雇ってるけ人数は限られる。ちんこを持て余し気味で、これは番の奥様も同様。抑制の薬様々だそうだ。

「発情期でもないのに飲む羽目になるんだ。我慢が続くとな」
「大変だね」
「うん。尻は?」
「お前いけるのか?」
「おう」

 てな感じて反対になり押し込む。

「イヤ~ン中の快感はまた違うぅ。堪んないぃ」
「だろ?」

 などとしてるとあっという間に十日経った。早かったな。そして俺は大型船に乗り込むべくお城の玄関に朝早くから支度してスタンバイ。そして馬車に乗る前に、

「お世話になりました。伯爵からばかりではなく宰相様まで」
「いや。あまりによかったから……そのな」

 照れくさそうにして、街で素敵な装飾を買ってきてくれたそうだ。足首に飾るアンクレットで、綺麗な俺の瞳の石付き。これを着けて踊ってくれよって。また店に出てくれって。

「子を産んだらきっと」
「ああ。待ってる」

 当然騎士副団長もこれなって堂々と耳飾りをくれた。それを付けて相手してくれって。フフッうん。そんで王様は見送りには来なかった。なんかね、悲しくて泣きそうだから嫌だってさ。俺をものすごく気に入ってくれたんだ。勅命も出したのに私が破ってどうするって苦悩の末でな。俺も好きでした。愛されれば心が動くのも俺たち。俺も王様を思うと涙が零れそうだよ。

「また島でな」
「はい」

 そして馬車に乗り込み出発。窓を開けて見送りの人に手を振ると二階のポーチに王様がいた。

「王様!また来るね!呼んでよ!」
「ああ!きっとな!」

 そう言ってくれた。その後もなんか言ってるけど聞き取れなかった。そしてどこか辛そうに手を挙げてくれたんだ。俺もう泣きそうってか泣いた。

「誘拐されたけど楽しかったばっかだな。グスッ」

 そして港から船に乗り込んだ。中では船員さんの休憩室に入れてもらい楽しく過ごし、甲板に出て海風に当たるとか楽しんだ。そして夕方前には島に到着。着いたころには少し気持ち悪い。大型船はそんなに揺れないよってウソじゃねえか。酔い止めの薬飲んでたのに。みんなウソつきと悪態つきながら船を降りたら旦那様たちがいた。

「アレッシオ!ベルベルト!」
「エルヴィーレお帰り!」

 俺は嬉しさのあまり駆け出した。荷物のカバンを放り出して抱きついた。

「うわーん会いたかったよぉ」
「俺たちもだ。よかった」

 三人で抱き合い叫ぶように泣いた。三か月ぶりなんだもん。ふたりの甘い香りに癒されてさらに泣く。

「怪我もなく元気そうだ。詳細は聞いてる」
「ああ。伯爵は嫌われた末の変な噂だったようだな」
「うん。伯爵様はいい人だったよ。テオドール様も」
「うん。聞いてる」

 ほらほら泣いててもいいですが、店の開店までに戻んなきゃならないから早く馬車に乗れってシリル。いつものようにしてたけど涙目である。

「シリル!」
「お帰りなさいませ。エル様」

 俺はふたりから離れてシリルに抱きつく。

「お帰りエル」
「うん。ただいまシリル。お店ありがと」
「当然だ」

 店の裏方はみんな俺の兄のような人たち。本気で心配してくれてたんだ。涙声でよかったエルと頭を撫でてくれる。

「キスして。帰ってきたって実感させて」
「うん」

 頬にチュッとすると、顔を歪ませドバーッと涙が溢れた。

「エルだ……よかった」
「ごめんね。心配かけた」
「ほんとにもう!」

 絞め殺す勢いで抱きしめてくれた。ごめんねシリル。みんなに心配掛けましたと謝った。仕方のなかったことだ。ほら帰ろうって促されみんなで馬車に乗り込む。ああってシリルがカバンに気が付き焦って拾ってくれて馬車に乗せる。そして店に着くまでの間、ふたりと交わりスッキリして店に到着。でもさ、馬車揺れるから奥に突き刺さって意識が飛ぶんだよ。めちゃくちゃ気持ちいいしさすが番だなと改めて思う。

「運が良けりゃ子が出来るかも」
「そうね。相当深く押し込んだから上手く行けば奇跡があるかもね。発情期から三ヶ月ならあり得るかも」
「まあなあ。どうかな」

 たまに聞くけどそれ貴族とか王族だろ?ダメじゃね?とふたりに言えば、

「うっすくなっても貴族の血があるエルなら奇跡が起こるかもだろ」
「まあ……期待しないで待つよ」

 そして店に着きみなの歓迎を受けた。店の子たちはやはり不安に思っていたそうだ。俺が帰って来なきゃこの店兄貴がやるんだろ?あの人苦手なんだよねって子が多かった。

「そうか?」
「うん。商売っ気が強いし金も払わず俺たちを抱くしさ」
「あー……金払わない時は言って。俺が払うから」
「だろ?だからエル様好き。旦那どももきちんと支払いをするからさ。そこらの線引きが出来る経営者だからこの店にいるんだ」
「ありがとう」

 兄貴なにしてんだよ。実家の店の子にも金払えとあれほど言ったのに。次は許さねえ。

 そして何事もなく十日経った。すでに日常が戻り、いつものようにイノシシ亭に俺たちはいる。

「ウマッさすがカルロ。飯美味い」
「だろ?お貴族様の飯もいいだろうが、庶民はこの大味な?大胆な見た目の味付けがいいんだよ」
「うん。ホントそう思う」

 身も心も庶民の俺にはあの生活は厳しい。夜伽として上がったら何年もだろ?ムリムリ。数カ月だから楽しいだけ。生まれが違うとあの堅苦しい生活は無理だとつくづく思う。

「でもなあ。王様は捨てがたい。思い出すと涙出る」
「あー……無理だな。店に来いなんて言えないしな」

 それなってふたりの旦那。さすが賢王と名高い王様だよね。なのに相性もいいなんで凄いなあって。それは俺も思う。王様に男色の素質があったのかもね。

「ジルベールとは違い大公とも違うんだ。もうねなんだろ……愛しい」
「ふーん。平民なら一緒に生活もあるんだが、王様はなあ」
「まあね。だからたまに呼んでと頼んだよ」
「そうしてやれ。特別な人と感じたならさ」

 アルファの人には精液が甘いなどというベータの人は現れない。これはオメガ特有の現象らしい。通常オメガでもめったに現れず、一生いないのが普通。俺の話を疑問に思ったベルベルトが、番でもないのに精液が甘いっておかしくね?ってことで調べてくれたんだ。

「でも相手悪いよなあ。王様とかさ」
「うん。せめて大公ならよかったのにとは思うよ」
「でもメッチャイケメンなんだろ?」
「そう!うっとりするイケメン。妻大好きでさ。ありゃベータの男としても満点だ」
「ふーん。俺たちは?」
「最高ですッ」

 ふたりは嬉しそうにうっすら頬を染めて笑う。かわいく感じて俺も赤くなりながら笑った。

 そして代わり映えのない日常を送っていると、ある日食堂で吐いた。料理長の食事を受け取り、今日は珍しいリゾットにしたと渡されて、チーズの匂いでゲロって床に跪いた。

「うっ……ごめ……なんか……」
「大変!これエル様妊娠だよ。シストアレッシオ様たちに!」
「おう!」

 焦って周りが助けてくれて椅子に座る。吐いたものは魔法の使える子が片付けてくれた。ありがと。

「うっ……これなに?」
「妊娠です!おめでとうエル様」
「妊娠?祭りの時の子?」
「アハハッ日付が合いませんよ。帰宅した時に当然したんでしょ?それじゃないのかな」
「そっか」

 俺は馬車での逢瀬を思い出していた。ふたりとも離れていたことが辛く、激しい抱き方でめり込ませて射精してて……出来るといいなあなんて夜も延々としてたし。マジで出来ましたか!でも……どっちの子だろ。まったく分からん。具合いが悪いながらも考えていた。

「エル!大丈夫か!」
「うんなんとか」
「今医者呼んだから、妊娠だろうが病気かもだから」
「うん」

 そして自室に戻り診てもらうとおめでた。やったあ!奇跡だよ!ずっと欲しかったんだもの。

「まあね。老舗四家のお店の人は時期がずれるのが時々あるから。おめでとうエルヴィーレ」
「ありがとう先生」

 君たちは丈夫だけど、走り回ったり飛び回ったりはダメ。そしてエッチは当然禁止。分かってるね?と念押し。

「はい!」
「妊娠期間は半年だから次の祭りにも間に合うけど、そこでの子作りは不可だからね。来年まで待ちなさい」
「え?なんで?」
「エル。妊娠出産は大怪我したのと同じダメージが体にあるんだ。いくらポーションとか使ってもダメージは消えないの。体が楽だからって思ってもね」
「ふーん俺まだ若いけど」

 若さなんて関係ないとピシャリ。この島の死亡原因の一位は無謀な出産だ!と叫ばれた。え?そうなの?先生のお顔が怖いですが?

「君みたいに発情期関係ない時期に産んだり、前後の発情期がズレてて次の祭りに間に合ったりの人が欲しくて作る。そして無事母体は死亡だ。たまに赤ちゃんも一緒にな」
「コワッ」

 だろ?と先生は腕組みをする。横のふたりもきちんと聞けって睨む。

「いくら注意しても減らないんだ。この島赤ちゃん大好き過ぎでな。ったく本土の医者には理解不能だよ。無理すんなよ」
「はーい」

 なんかあったら来い。なくても来い。診てやるからって。今のところ問題はない。俺帰るって立ち上がり部屋の扉の前で立ち止まる。そしてくるりと振り返り、

「妊娠出産はベータも島の人もない。体を労れ」
「はい」

 てなことで、旦那ふたりは脅されたのがとても怖かったらしく、俺はその日以降ほとんど店から出られなくなった。あー……





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