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前編 ユルバスカル王国編
39 雨の日って少し気持ちが沈む
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明け方近くまで求めあった。サイラスの煽りに乗りまくり興奮が中々冷めなかったの。あはは……こんなの初めて。でも幸せそうではあったけどなんか変な気はしてた。いつも興奮しても彼が私を責め立てることばかり、私に責めさせた。咥えてる時は特に悦んでたし。変なのよ。
食事中に逢瀬の話をするのも変だから聞くことはせず。今日の予定を話しているうちに忘れ、執務室の席に着いたら思い出した。まあいいか。
「カール様、昨日のあの案件どうなりました?」
「ああ、手配したから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
急ぎとちょっと待てるもの、まだのもの。これは再考かな。ブツブツと独り言を言いながら仕分けする。これまたお金が……ふむ。
「姫声大きい。うるさい」
「はい」
いつもの「うるさい」を聞きながら、窓の外は暗くなったかと思うと雨が降り出した。シトシトと地面を濡らし、そのうちピチョンピチョンと水たまりに雨粒が落ちる音がする。室内は紙とペンを走らせる音しかせず静か。雨の日は空気が重く音が減る気がする。
「だる……雨降るとだるい」
パタンとペンを置いて背もたれにあーあと寄りかかるカール様。
「働け。天気が悪いからと働かないのは南の島の王くらいだ」
「あー……俺その国に行きたい」
「止めはせん」
「セフィロト様冷たいなあ」
カール様とセフィロト様の変な掛け合いを聞きながら、急ぎは……今のところないかな。指示の書類を飛行艇で飛ばせば済むわね。ふむ。
外の雨は激しくなりゴロゴロと雷の音が遠くに聞こえる。通り雨ではなかったか。カール様じゃないけど確かにやる気はなくなるわね。私は席を立ち窓辺に向かった。
「雨ひどくなりましたね」
「ああ。今日は止まないだろ」
打ちつける水滴が流れるガラスを見つめていた。お庭が滲んで見えて絵画のよう。鳥の声もしなくて、城の中の人の気配すら少なく感じる。こんな日にひとりでいると自分だけしかいない世界なのかもと錯覚するのよね。そんなことを思いながら見つめていた。すると後ろから、
「ティナ疲れてるのか?」
「いえ。雨は物悲しい気分になるなあって思いまして」
振り返りもせず答えた。この声はセフィロト様だ。
「ティナにもそんな気分になることがあるのか。いつも元気なのにな」
なんてこと言うのセフィロト様。私も女の子ですから物思いに耽ることもある。乙女なんですよと振り返るとそうかと。
「すまない」
「ふふっ私にもかわいらしい部分もあるのです」
「俺はかわいいと思ってる」
「うっ……サイラスやめて」
変なところで混ざらないで。言葉が出なくなるでしょう?とプリプリしながら睨む。
「そんな顔すらかわいい」
「もう!」
慣れたけど暑苦しいなあってカール様。ごめんなさい。わざとじゃありません。
「さて、飯にするか」
「そんな時間?」
みんなも時計を見たらお昼の鐘が鳴る寸前。雨の日は時間感覚がなくなる。窓から差し込む日差しの角度もないし薄暗くてね。みんな仕事の手を止めて立ち上がる。するとゴーンゴーンとお昼を知らせる城の鐘が鳴った。
「俺今日は肉の気分だ」
「俺は魚」
「ええ?だるい日は肉でしょっ」
「それはお前がだ」
三人で楽しそうに話しながら出で行った。すると、俺たちも行こうとサイラス。
「ええ」
「その前に」
腕を掴み引き寄せてチュッとされた。昨日あれだけ抱いたのにまだ足りない?と見上げる、
「君が動けなそうだったから止めただけ」
「う、うそ……」
「それに仕事に響いても嫌でしょ?」
顔を近づけおどけるように笑う。男性はなんて体力あるんだろう。ほえ……と見つめてしまった。あれだけして足りないとは意味が分かりません。
「若いとはそういうこと。それに君だからもある」
「え?」
「愛しい妻と抱き合うのが嫌な男はいない。それに昨日は淫らだったから余計な」
唇が少し触れながら耳に囁かれブワッと顔に熱。愛の言葉は何年たっても「当たり前でしょ」とは思えず照れる。頰を抑えて下を向いた。
「ティナのそんなところ好き。夫に照れてくれるの本当に好きだ」
「それバカにしてる?」
「いいや」
かわいい俺の姫。少し抱かせてと胸に入れてくれる。んふふっこうして抱かれるのは好き。大きな手で頭や体を撫でられるのも好き。
「サイラス好き」
「うん」
仕事の合間でもこうして抱いてくれたりキスしたり。みんなの隙を狙って愛し合うの。なんとも言えない幸せを感じてしまう。こんな短い時間にすら愛を伝えてくれるのが本当に嬉しい。でも、
「サイラスお腹すいた」
「ああ行こう」
代わり映えのない穏やかな日常。これはとても幸せなことだといつも思う。ちょっと前までのなにもかもが苦しかった時代を知っているから。余計にこの穏やかさが嬉しい。なのにこの執務室を一歩出れば敵は多い。貴族派の視線は冷たく命を狙う者がいるかもと私たちは気を抜けない。それにサイラスの法案は目先の儲けのない話ばかり。まず支出ありきの話で、そんな長期ものはまだ早いと一蹴される。
「あのねサイラス。もう少しそのね。ドカンッて一気にする案ばかりではなく、まあいいかな?とか思えるところからにしてみるのは?」
「してる。それはもう通ってて次が通らないんだ。君が来る前に通してた」
「ふーん」
セフィロト様がそれを通してやったんだから国が落ち着くまで待てと言われるそう。ほほん。会議に出てるセフィロト様たちは、これ正常化しても通す気はないだろうなあと感じるそうだ。たろうね。
「奴隷解放は最終目標だから、達成するためにひとつずつな」
「はーい」
食後のプリンが運ばれてスプーンで一口。おいしいーッ甘い物はいつ食べても美味しい。生クリームが添えてあってさらに美味しい。んふふっ
「なんでいつもティナだけおやつ出るの?俺たちは果物くらいなのに」
「いらないって言われたとメイドさんに聞いてますが」
フレッド様は確かに以前言ったけど、見てたら欲しくなると。なら頼みなさいよ。
「なんか今さら言いにくいし」
「俺はいらん」
「俺も」
セフィロト様とカール様はあんまり甘いものが得意ではないそうだ。舞踏会でもほとんど食べないし家でも。サイラスは食べるよね?と横を向くと、
「俺は君の喜ぶものを一緒に楽しみたいんだ」
「あ……ありがと」
寄り添ってくれる言葉が嬉しかった。んふふっすると目の前のフレッド様が、殿下も苦手なくせによく言うよと。えっ苦手なの?と横を向いた。なら言ってくれればいいのに。
「苦手と言っても自分から食べなかっただけだよ。嫌いではない」
「無理してない?」
「してない」
そんな会話中三人はジーッとサイラスを見つめる。黙って見つめ続ける。
「見んな」
「嘘つき発見」
「果物とかの甘さが好きなのは知ってるけど、お菓子はあんまりだと前に言ってた」
「俺もそう聞いている」
三人の発言にうっとプリンの手が止まり、サイラスはみんなを睨む。
「お前ら俺がティナに好かれるためにどれだけ努力してるか知ってて言ってるのか?なあ?」
「「「ごめんなさい」」」
フフッありがとう。私に気を使ってくれてたのか。そんな気遣いがとても嬉しかった。好かれたいだって。ふふっ
「なら私が次回からは全員におやつを付けてと頼んでおきます」
「「え?」」
「俺はいらぬ」
なにその反応は。とりあえずみんな食べろ。文句はそれからだ。メイドさんに声掛けてお願いしたら、マジかよとブツブツ。たまに食べたいだけで毎回はいらないのにって。そんな気分なんぞ料理長の負担でしょ!果物切るのと違うんだから。毎回食べてとみんなに笑いかけた。
「分かったよ。ねえ、甘さ控え目なものにしてくれって言っておいて」
「かしこまりました」
メイドさんにフレッド様は言い直す。待て!
「それつまんないでしょ!私のは今までどおりで!」
「はい。姫様」
なんだよぉティナ。甘くない方が太らないぞ?とカール様。現在体型は保っております。あなたたちも訓練してるんだから関係ないでしょと言ってみた。
「そうだけどさ。たまにでいいのに」
「お前ら食べ終わったろ。仕事だ」
「はーい」
各々ガタガタと立ち上がる。まあいいやって仕方なさそうに。いっそ太れ。
「さあ行くぞ」
「はい」
なんでもない一日。戦の辛かった記憶は遥か彼方に行くまで時が経っていない。経済はもっとで、今頑張らずにいつ頑張るの?というのが今。どの領地も国も、景気回復のため施策をバンバン出してて、追い風になるように頑張ってる。でも領地により効果はまちまち、みんな試行錯誤の連続で、当然我が領地も。さて、午後も頑張ろーッあ、飛行艇に書類取りに行かなくちゃ。忘れるところだったわ。みんなと別れて郵便受け取りに向かった。
食事中に逢瀬の話をするのも変だから聞くことはせず。今日の予定を話しているうちに忘れ、執務室の席に着いたら思い出した。まあいいか。
「カール様、昨日のあの案件どうなりました?」
「ああ、手配したから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
急ぎとちょっと待てるもの、まだのもの。これは再考かな。ブツブツと独り言を言いながら仕分けする。これまたお金が……ふむ。
「姫声大きい。うるさい」
「はい」
いつもの「うるさい」を聞きながら、窓の外は暗くなったかと思うと雨が降り出した。シトシトと地面を濡らし、そのうちピチョンピチョンと水たまりに雨粒が落ちる音がする。室内は紙とペンを走らせる音しかせず静か。雨の日は空気が重く音が減る気がする。
「だる……雨降るとだるい」
パタンとペンを置いて背もたれにあーあと寄りかかるカール様。
「働け。天気が悪いからと働かないのは南の島の王くらいだ」
「あー……俺その国に行きたい」
「止めはせん」
「セフィロト様冷たいなあ」
カール様とセフィロト様の変な掛け合いを聞きながら、急ぎは……今のところないかな。指示の書類を飛行艇で飛ばせば済むわね。ふむ。
外の雨は激しくなりゴロゴロと雷の音が遠くに聞こえる。通り雨ではなかったか。カール様じゃないけど確かにやる気はなくなるわね。私は席を立ち窓辺に向かった。
「雨ひどくなりましたね」
「ああ。今日は止まないだろ」
打ちつける水滴が流れるガラスを見つめていた。お庭が滲んで見えて絵画のよう。鳥の声もしなくて、城の中の人の気配すら少なく感じる。こんな日にひとりでいると自分だけしかいない世界なのかもと錯覚するのよね。そんなことを思いながら見つめていた。すると後ろから、
「ティナ疲れてるのか?」
「いえ。雨は物悲しい気分になるなあって思いまして」
振り返りもせず答えた。この声はセフィロト様だ。
「ティナにもそんな気分になることがあるのか。いつも元気なのにな」
なんてこと言うのセフィロト様。私も女の子ですから物思いに耽ることもある。乙女なんですよと振り返るとそうかと。
「すまない」
「ふふっ私にもかわいらしい部分もあるのです」
「俺はかわいいと思ってる」
「うっ……サイラスやめて」
変なところで混ざらないで。言葉が出なくなるでしょう?とプリプリしながら睨む。
「そんな顔すらかわいい」
「もう!」
慣れたけど暑苦しいなあってカール様。ごめんなさい。わざとじゃありません。
「さて、飯にするか」
「そんな時間?」
みんなも時計を見たらお昼の鐘が鳴る寸前。雨の日は時間感覚がなくなる。窓から差し込む日差しの角度もないし薄暗くてね。みんな仕事の手を止めて立ち上がる。するとゴーンゴーンとお昼を知らせる城の鐘が鳴った。
「俺今日は肉の気分だ」
「俺は魚」
「ええ?だるい日は肉でしょっ」
「それはお前がだ」
三人で楽しそうに話しながら出で行った。すると、俺たちも行こうとサイラス。
「ええ」
「その前に」
腕を掴み引き寄せてチュッとされた。昨日あれだけ抱いたのにまだ足りない?と見上げる、
「君が動けなそうだったから止めただけ」
「う、うそ……」
「それに仕事に響いても嫌でしょ?」
顔を近づけおどけるように笑う。男性はなんて体力あるんだろう。ほえ……と見つめてしまった。あれだけして足りないとは意味が分かりません。
「若いとはそういうこと。それに君だからもある」
「え?」
「愛しい妻と抱き合うのが嫌な男はいない。それに昨日は淫らだったから余計な」
唇が少し触れながら耳に囁かれブワッと顔に熱。愛の言葉は何年たっても「当たり前でしょ」とは思えず照れる。頰を抑えて下を向いた。
「ティナのそんなところ好き。夫に照れてくれるの本当に好きだ」
「それバカにしてる?」
「いいや」
かわいい俺の姫。少し抱かせてと胸に入れてくれる。んふふっこうして抱かれるのは好き。大きな手で頭や体を撫でられるのも好き。
「サイラス好き」
「うん」
仕事の合間でもこうして抱いてくれたりキスしたり。みんなの隙を狙って愛し合うの。なんとも言えない幸せを感じてしまう。こんな短い時間にすら愛を伝えてくれるのが本当に嬉しい。でも、
「サイラスお腹すいた」
「ああ行こう」
代わり映えのない穏やかな日常。これはとても幸せなことだといつも思う。ちょっと前までのなにもかもが苦しかった時代を知っているから。余計にこの穏やかさが嬉しい。なのにこの執務室を一歩出れば敵は多い。貴族派の視線は冷たく命を狙う者がいるかもと私たちは気を抜けない。それにサイラスの法案は目先の儲けのない話ばかり。まず支出ありきの話で、そんな長期ものはまだ早いと一蹴される。
「あのねサイラス。もう少しそのね。ドカンッて一気にする案ばかりではなく、まあいいかな?とか思えるところからにしてみるのは?」
「してる。それはもう通ってて次が通らないんだ。君が来る前に通してた」
「ふーん」
セフィロト様がそれを通してやったんだから国が落ち着くまで待てと言われるそう。ほほん。会議に出てるセフィロト様たちは、これ正常化しても通す気はないだろうなあと感じるそうだ。たろうね。
「奴隷解放は最終目標だから、達成するためにひとつずつな」
「はーい」
食後のプリンが運ばれてスプーンで一口。おいしいーッ甘い物はいつ食べても美味しい。生クリームが添えてあってさらに美味しい。んふふっ
「なんでいつもティナだけおやつ出るの?俺たちは果物くらいなのに」
「いらないって言われたとメイドさんに聞いてますが」
フレッド様は確かに以前言ったけど、見てたら欲しくなると。なら頼みなさいよ。
「なんか今さら言いにくいし」
「俺はいらん」
「俺も」
セフィロト様とカール様はあんまり甘いものが得意ではないそうだ。舞踏会でもほとんど食べないし家でも。サイラスは食べるよね?と横を向くと、
「俺は君の喜ぶものを一緒に楽しみたいんだ」
「あ……ありがと」
寄り添ってくれる言葉が嬉しかった。んふふっすると目の前のフレッド様が、殿下も苦手なくせによく言うよと。えっ苦手なの?と横を向いた。なら言ってくれればいいのに。
「苦手と言っても自分から食べなかっただけだよ。嫌いではない」
「無理してない?」
「してない」
そんな会話中三人はジーッとサイラスを見つめる。黙って見つめ続ける。
「見んな」
「嘘つき発見」
「果物とかの甘さが好きなのは知ってるけど、お菓子はあんまりだと前に言ってた」
「俺もそう聞いている」
三人の発言にうっとプリンの手が止まり、サイラスはみんなを睨む。
「お前ら俺がティナに好かれるためにどれだけ努力してるか知ってて言ってるのか?なあ?」
「「「ごめんなさい」」」
フフッありがとう。私に気を使ってくれてたのか。そんな気遣いがとても嬉しかった。好かれたいだって。ふふっ
「なら私が次回からは全員におやつを付けてと頼んでおきます」
「「え?」」
「俺はいらぬ」
なにその反応は。とりあえずみんな食べろ。文句はそれからだ。メイドさんに声掛けてお願いしたら、マジかよとブツブツ。たまに食べたいだけで毎回はいらないのにって。そんな気分なんぞ料理長の負担でしょ!果物切るのと違うんだから。毎回食べてとみんなに笑いかけた。
「分かったよ。ねえ、甘さ控え目なものにしてくれって言っておいて」
「かしこまりました」
メイドさんにフレッド様は言い直す。待て!
「それつまんないでしょ!私のは今までどおりで!」
「はい。姫様」
なんだよぉティナ。甘くない方が太らないぞ?とカール様。現在体型は保っております。あなたたちも訓練してるんだから関係ないでしょと言ってみた。
「そうだけどさ。たまにでいいのに」
「お前ら食べ終わったろ。仕事だ」
「はーい」
各々ガタガタと立ち上がる。まあいいやって仕方なさそうに。いっそ太れ。
「さあ行くぞ」
「はい」
なんでもない一日。戦の辛かった記憶は遥か彼方に行くまで時が経っていない。経済はもっとで、今頑張らずにいつ頑張るの?というのが今。どの領地も国も、景気回復のため施策をバンバン出してて、追い風になるように頑張ってる。でも領地により効果はまちまち、みんな試行錯誤の連続で、当然我が領地も。さて、午後も頑張ろーッあ、飛行艇に書類取りに行かなくちゃ。忘れるところだったわ。みんなと別れて郵便受け取りに向かった。
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