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前編 ユルバスカル王国編
50 興味の赴くまま
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サイラスは気を取り直したのかいつもの笑顔。ならば私も今は忘れると同じく気を取り直す。「なんでもないんだ」と言うならば、心の深い部分に入って欲しくないと言われたのだろう。そこは尊重するもん。
後は王都と同じようにあちこち見て買い物して、宝石店でかわいい髪留め買ってもらった。華やかなお花のモチーフの物で、当然彼の瞳の青い石が散りばめられていた。そしてブッサイクなぬいぐるみも買ってもらった。これなに?猫なの?掴んだままジーッと見る。
「猫だろ」
「なんでこれをチョイスしますか」
「かわいいから」
「はあ。あなたのプレゼントで嬉しくないものはなかったのですが、これは……」
「そう?俺はこのくらいデフォルメされてるのもかわいいと思う」
「ふーん」
原型は形だけで、シマシマも腹巻きみたいだし目も大きく絵本の魔女みたい。耳が頭の上になかったら何者?って感じだわよ。うーん彼の気持ちだから喜ぶけど……
「気に入らない?」
「いえ、見てると愛着が出てきました」
「だろ?」
たまに分かんなくなるサイラス。数年で彼の性格を把握など出来はしない。こんな発見が面白いのよね。一通り見て食事して農地に移動。
「すごく広い。遠くが霞んで地平線が見える。すごい」
「ああ。この国は平地が多いからな」
「うちは岩山が多くて、だから鉱山の国なんだなあと改めて思います」
「まあな」
我が国は一見普通の山なんだけど、薄い土をどければ岩山。平地は農地と人の住む場所でね。山の途中のなだらかな場所には村や町があったりもする。そこは避暑の観光施設があったり、貴族やお金持ちの別荘があったり。また別の栄え方をしている。
「一面緑できれい」
「ああ。よく育ってる」
真っ青な麦の畑の中の街道を馬車は走る。懐かしいな。うちの領地を思い出す。サイラスの領地は麦畑は少ないの。他の葉物野菜が多くて畜産がメイン。牛に豚とニワトリ、そして羊や山羊の毛を取る。お肉や羊毛は稼げるの。天候に左右されることが麦などより少なく安定。ニワトリは卵もお肉も取れるけど安いかな。
「あの柵は牧場かな」
「うん?」
「あそこ」
指を指す方を窓からサイラスも見てくれる。
「なんだろう。行ってみるか」
ジョンと声を掛けて、あそこ行きたいと説明し向かってもらった。そして牧場ではあったけど不審な動物がたくさんいた。
「これダチョウよね?」
「うん。国営の動物園にいたな」
これ卵取るのかな?食べるの?とみんなでワイワイしてたら、ここの人が気が付いてどうされた?と。サイラスが、
「我らは隣の国の者で観光してるんだが、これ食うの?」
「ええ。卵も取るし肉も食べますよ。〆るのにコツはいりますが栄養豊富で人気ですね。高級店に卸してます」
「「へえ……」」
彼は、俺は変わった家畜を生産するんだ。みんなと同じことしても収入はたかが知れてるからなって。若い頃に世界中を回り、たくさんの家畜を見てきた結果。ダチョウ、カモ、アヒルと沼にはワニ。
「ワニ?」
「ええ。少し臭いけど美味しんですよ」
「後は?」
「トナカイは諦めた。この国暑くてね。鹿が少しかな」
彼は今いるのはそんなで、頼まれればどんな家畜でも用意するよって。肉にしてからでも生きたままでもなって。
「肉は近くでないとダメだな。腐る」
「ああ、冷蔵庫あるだろ?」
「え?ああ、あなた方は隣か。そちらは魔道具が多いんですよね。うちはそういった魔道具は高い。国の術者が制限されてますから民が開発出来ないんですよ」
なんで?とサイラスに聞くと、術者自体が民族に寄与するから。この辺では雪鬼族とうちだけ。他の国の人が呪文を正確に唱えても、なにも起こらないんだそう。よその国でうちの民との子どもは出来たり出来なかったりで、運。
「だから王都に魔法学園があるだろ。他国からも受け入れてるんだ。自国の人は無料で他国は学費を取る」
「そうでした」
農夫の方は独学では難しく国は援助しない。自費で行くには高い。だから民が自分で試してこちらの学園に留学するそう。へえ。特殊な「魔石」と呼ばれる動力の核があれば動くよね?便利なのにとサイオスに聞くと、
「そんな血の才能ありきの技は邪道となってて、そんな力がなくても冷蔵庫とか夏の冷房機を開発するってのがこの国の魔法省だ。そのうち出来るだろ」
「そのうちが来ません。俺が子供の頃からこの年になるまで、ずーっと来ません」
この国は魔石が採掘されなくて輸入品に頼る。そもそも魔石はラセイネイしか採れない。そんでくっそ高い。俺は商売柄必要だから買ったけど、普通のお家は買えないと嘆く。
「そんなにしないよ?」
「ティナ税関だよ」
「あ……」
国産が出来るまではすごく税を掛けてると聞いたような?だからココだけの話、密輸が横行しててねって。請け負う行商人とか結構いるそうだ。
「国は分かってても黙ってるけどね。正規の輸入品は財政的にどの家も無理だ。そのくせ金持ちや貴族も王族も持ってる」
「あはは……」
「あなた方は貴族?」
「まあな。黙ってるから気にするな」
お願いしますよって。肉が必要なら買いに来てねって。うんと答えてまたねって馬車に乗る。
「こういうことが聞けるから地方はいい」
「はい」
なんて商人や農夫の方の率直な話をたくさん聞いた。裕福でも困ったこともあるし、裕福ならではの問題もあるそうだ。奴隷を解放しみんな裕福となり、民の心が傲慢気味でねえって。
「旦那。金があると言っても貧富の差はあるもんでさあ。余分にある方が強く、その力関係は昔のまんま。飢えなくなっただけですな」
「そうなの?」
「そんなもんですよ。治安は昔よりいいですがおかしなやつはどこにでもいる、貧しい者もそれなりにいる。そちらの国より少ないだけでね」
「ふーん」
せっかくだから庶民御用達の食堂でご飯。むっちゃ美味しい。貴族とは味付けが違ってるけど、何とも言えない美味しさがある。
「奥さんにこれどうぞ。この国のデザートですよ」
「ありがとう」
見た目はすごい緑のアイスクリームのようだけど……一口スプーンですくって口に。うまっ
「美味しい。少し苦みがあってミルクの美味しさと……ほわぁ」
「でしょう?緑のお茶を粉にして混ぜてるんです。この辺りの農夫が茶葉を発酵させないで作るんですよ」
「へえ……うまっ」
旦那たちも食べる?と言われ三人も欲しいって。なら持ってくると。
「すごい色だな」
「美味しいの。本当に美味しい」
「ふーん」
すぐに持ってきてくれて三人も食べた。うわっこれなら甘いの苦手でも美味いって。そうでしょう。んふふっ
「その粉って買い付け出来る?」
店主は頭を掻きながら無理かなぁって。
「生産量がないんでさあ。今うちでお客さんに出してるけど、この街だけでね」
「そっか。うちは茶葉の生産はないしなあ。よそにあるか」
「うん。そうね」
チッチッチッと指を振る店主。茶葉を育てるところから違うんでさあとドヤ顔。
「葉っぱがあればいいってもんではないのよ。きちんとした生育と粉にする技術。それでこれがあるの。難しいから簡単じゃなくてね。だから生産量も少なく、この地の名物にしかならないんだよ」
「そっか。簡単にはいかないんだな」
「ええ。やるなら何年も掛かるし、石臼も職人も多数用意しないと商売にはならない。こちらも始めたばかりなんでさあ」
そっかとサイラスは諦めた顔になった。美味しいのになあって。それは私も同意。ジョンもキリクも男性でもこれは好きだよなあって。
「いつか増産できた頃買って下さいよ」
「うん。そうする」
食べ終わった。少し名残惜しい。ならそのお茶園に行こうとなった。向かいのお茶屋さんに話を聞いたら同じ答え。
「茶葉の品質もありますしこれ見て下さい。とてもゆっくり回してるでしょう?」
職人さんが丁寧にゴリゴリと石臼を回している。間から少しずつ真緑の粉が出ている。
「急ぐと熱が入って不味くなるし色も黄色っぽくなる。この石臼も特殊でね。遠くの国から買い付けてるんです」
「へえ……」
「同じものを石工職人と頑張ってますが、完成はいつになるやらですね」
サイラスの顔は無になる。無理かと。領地の目玉にいいかなあって思ったんだけどなあって。旦那はどこかの領主かい?ならばこちらが成功したら来てくれよ。技術提供してやるって。
「本当か?」
「ああ。茶葉は土地で味が変わる。提携して稼ぐのもいいだろ?」
「そうだな。茶葉は植えてどのくらいで生産出来る?」
真面目に詰めだした。その話を聞いていたら長いなあって。
「当たり前だよ。苗から取れるようにしてだから。まあ帰ったらお茶畑作るところからだな」
だよなあと。それも日当たりとか諸々考えなくてはならないし、お茶を生産してる領地にも相談か。聞いていたらとてつもなく長い期間かかりそう。
「気に長い話だな。少し考えるよ」
「ええ。決心したら部下の方でもよこしな」
「そうする」
そんな感じで気になったことをあちこち観光して翌日国に帰った。
後は王都と同じようにあちこち見て買い物して、宝石店でかわいい髪留め買ってもらった。華やかなお花のモチーフの物で、当然彼の瞳の青い石が散りばめられていた。そしてブッサイクなぬいぐるみも買ってもらった。これなに?猫なの?掴んだままジーッと見る。
「猫だろ」
「なんでこれをチョイスしますか」
「かわいいから」
「はあ。あなたのプレゼントで嬉しくないものはなかったのですが、これは……」
「そう?俺はこのくらいデフォルメされてるのもかわいいと思う」
「ふーん」
原型は形だけで、シマシマも腹巻きみたいだし目も大きく絵本の魔女みたい。耳が頭の上になかったら何者?って感じだわよ。うーん彼の気持ちだから喜ぶけど……
「気に入らない?」
「いえ、見てると愛着が出てきました」
「だろ?」
たまに分かんなくなるサイラス。数年で彼の性格を把握など出来はしない。こんな発見が面白いのよね。一通り見て食事して農地に移動。
「すごく広い。遠くが霞んで地平線が見える。すごい」
「ああ。この国は平地が多いからな」
「うちは岩山が多くて、だから鉱山の国なんだなあと改めて思います」
「まあな」
我が国は一見普通の山なんだけど、薄い土をどければ岩山。平地は農地と人の住む場所でね。山の途中のなだらかな場所には村や町があったりもする。そこは避暑の観光施設があったり、貴族やお金持ちの別荘があったり。また別の栄え方をしている。
「一面緑できれい」
「ああ。よく育ってる」
真っ青な麦の畑の中の街道を馬車は走る。懐かしいな。うちの領地を思い出す。サイラスの領地は麦畑は少ないの。他の葉物野菜が多くて畜産がメイン。牛に豚とニワトリ、そして羊や山羊の毛を取る。お肉や羊毛は稼げるの。天候に左右されることが麦などより少なく安定。ニワトリは卵もお肉も取れるけど安いかな。
「あの柵は牧場かな」
「うん?」
「あそこ」
指を指す方を窓からサイラスも見てくれる。
「なんだろう。行ってみるか」
ジョンと声を掛けて、あそこ行きたいと説明し向かってもらった。そして牧場ではあったけど不審な動物がたくさんいた。
「これダチョウよね?」
「うん。国営の動物園にいたな」
これ卵取るのかな?食べるの?とみんなでワイワイしてたら、ここの人が気が付いてどうされた?と。サイラスが、
「我らは隣の国の者で観光してるんだが、これ食うの?」
「ええ。卵も取るし肉も食べますよ。〆るのにコツはいりますが栄養豊富で人気ですね。高級店に卸してます」
「「へえ……」」
彼は、俺は変わった家畜を生産するんだ。みんなと同じことしても収入はたかが知れてるからなって。若い頃に世界中を回り、たくさんの家畜を見てきた結果。ダチョウ、カモ、アヒルと沼にはワニ。
「ワニ?」
「ええ。少し臭いけど美味しんですよ」
「後は?」
「トナカイは諦めた。この国暑くてね。鹿が少しかな」
彼は今いるのはそんなで、頼まれればどんな家畜でも用意するよって。肉にしてからでも生きたままでもなって。
「肉は近くでないとダメだな。腐る」
「ああ、冷蔵庫あるだろ?」
「え?ああ、あなた方は隣か。そちらは魔道具が多いんですよね。うちはそういった魔道具は高い。国の術者が制限されてますから民が開発出来ないんですよ」
なんで?とサイラスに聞くと、術者自体が民族に寄与するから。この辺では雪鬼族とうちだけ。他の国の人が呪文を正確に唱えても、なにも起こらないんだそう。よその国でうちの民との子どもは出来たり出来なかったりで、運。
「だから王都に魔法学園があるだろ。他国からも受け入れてるんだ。自国の人は無料で他国は学費を取る」
「そうでした」
農夫の方は独学では難しく国は援助しない。自費で行くには高い。だから民が自分で試してこちらの学園に留学するそう。へえ。特殊な「魔石」と呼ばれる動力の核があれば動くよね?便利なのにとサイオスに聞くと、
「そんな血の才能ありきの技は邪道となってて、そんな力がなくても冷蔵庫とか夏の冷房機を開発するってのがこの国の魔法省だ。そのうち出来るだろ」
「そのうちが来ません。俺が子供の頃からこの年になるまで、ずーっと来ません」
この国は魔石が採掘されなくて輸入品に頼る。そもそも魔石はラセイネイしか採れない。そんでくっそ高い。俺は商売柄必要だから買ったけど、普通のお家は買えないと嘆く。
「そんなにしないよ?」
「ティナ税関だよ」
「あ……」
国産が出来るまではすごく税を掛けてると聞いたような?だからココだけの話、密輸が横行しててねって。請け負う行商人とか結構いるそうだ。
「国は分かってても黙ってるけどね。正規の輸入品は財政的にどの家も無理だ。そのくせ金持ちや貴族も王族も持ってる」
「あはは……」
「あなた方は貴族?」
「まあな。黙ってるから気にするな」
お願いしますよって。肉が必要なら買いに来てねって。うんと答えてまたねって馬車に乗る。
「こういうことが聞けるから地方はいい」
「はい」
なんて商人や農夫の方の率直な話をたくさん聞いた。裕福でも困ったこともあるし、裕福ならではの問題もあるそうだ。奴隷を解放しみんな裕福となり、民の心が傲慢気味でねえって。
「旦那。金があると言っても貧富の差はあるもんでさあ。余分にある方が強く、その力関係は昔のまんま。飢えなくなっただけですな」
「そうなの?」
「そんなもんですよ。治安は昔よりいいですがおかしなやつはどこにでもいる、貧しい者もそれなりにいる。そちらの国より少ないだけでね」
「ふーん」
せっかくだから庶民御用達の食堂でご飯。むっちゃ美味しい。貴族とは味付けが違ってるけど、何とも言えない美味しさがある。
「奥さんにこれどうぞ。この国のデザートですよ」
「ありがとう」
見た目はすごい緑のアイスクリームのようだけど……一口スプーンですくって口に。うまっ
「美味しい。少し苦みがあってミルクの美味しさと……ほわぁ」
「でしょう?緑のお茶を粉にして混ぜてるんです。この辺りの農夫が茶葉を発酵させないで作るんですよ」
「へえ……うまっ」
旦那たちも食べる?と言われ三人も欲しいって。なら持ってくると。
「すごい色だな」
「美味しいの。本当に美味しい」
「ふーん」
すぐに持ってきてくれて三人も食べた。うわっこれなら甘いの苦手でも美味いって。そうでしょう。んふふっ
「その粉って買い付け出来る?」
店主は頭を掻きながら無理かなぁって。
「生産量がないんでさあ。今うちでお客さんに出してるけど、この街だけでね」
「そっか。うちは茶葉の生産はないしなあ。よそにあるか」
「うん。そうね」
チッチッチッと指を振る店主。茶葉を育てるところから違うんでさあとドヤ顔。
「葉っぱがあればいいってもんではないのよ。きちんとした生育と粉にする技術。それでこれがあるの。難しいから簡単じゃなくてね。だから生産量も少なく、この地の名物にしかならないんだよ」
「そっか。簡単にはいかないんだな」
「ええ。やるなら何年も掛かるし、石臼も職人も多数用意しないと商売にはならない。こちらも始めたばかりなんでさあ」
そっかとサイラスは諦めた顔になった。美味しいのになあって。それは私も同意。ジョンもキリクも男性でもこれは好きだよなあって。
「いつか増産できた頃買って下さいよ」
「うん。そうする」
食べ終わった。少し名残惜しい。ならそのお茶園に行こうとなった。向かいのお茶屋さんに話を聞いたら同じ答え。
「茶葉の品質もありますしこれ見て下さい。とてもゆっくり回してるでしょう?」
職人さんが丁寧にゴリゴリと石臼を回している。間から少しずつ真緑の粉が出ている。
「急ぐと熱が入って不味くなるし色も黄色っぽくなる。この石臼も特殊でね。遠くの国から買い付けてるんです」
「へえ……」
「同じものを石工職人と頑張ってますが、完成はいつになるやらですね」
サイラスの顔は無になる。無理かと。領地の目玉にいいかなあって思ったんだけどなあって。旦那はどこかの領主かい?ならばこちらが成功したら来てくれよ。技術提供してやるって。
「本当か?」
「ああ。茶葉は土地で味が変わる。提携して稼ぐのもいいだろ?」
「そうだな。茶葉は植えてどのくらいで生産出来る?」
真面目に詰めだした。その話を聞いていたら長いなあって。
「当たり前だよ。苗から取れるようにしてだから。まあ帰ったらお茶畑作るところからだな」
だよなあと。それも日当たりとか諸々考えなくてはならないし、お茶を生産してる領地にも相談か。聞いていたらとてつもなく長い期間かかりそう。
「気に長い話だな。少し考えるよ」
「ええ。決心したら部下の方でもよこしな」
「そうする」
そんな感じで気になったことをあちこち観光して翌日国に帰った。
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