夢日記短編集

さーもん

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折れた木刀(前編)

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 バキッッ!!!

 嫌な音が響いた。手の中の木刀が真っ二つに折れている。目の前が真っ白になる。ただの木刀が折れただけ。大したことはない。いや、、、ただの木刀ではないから頭が真っ白になるんだよ。
 とりとめのない言葉が働ききらない頭の中でぐるぐると回る。友人から譲り受けたたった一つの木刀は、いまや、無惨な姿で手の中に一つ、床に一つ転がっている。
  真っ青な顔で立ちすくむ弟は、小さな声でごめんと繰り返しているが、頭に入ってこない。
 「いや、仕方ないよ、使っていれば折れることもあるものだから。」と、なんとか口にできたのは奇跡に近かったと思う。
片付けは後でするから、ごめん、一人になりたい。そう言って手の中にある木刀をそっと床に置くと、足早に部屋を去った。
現実を受け止めきれなかった。折れた木刀を直視し続けられなかった。まだダメだ。泣いてはいけない。ベタだが、感情の整理をするならあそこが一番いい。
いつも、泣きたくなるとそこに籠ることにしている。
 部屋の端にちんまりたたずむ押し入れの戸。震える手で押し空けて、潜り込む。扉をそっと閉めると全身の力が抜けた。
うずくまって、耳をふさいで、声を殺して押し叫ぶ。
使い続ければ、いつか壊れることは知っていた。しかし。
「僕の代わりにこいつを目一杯使って欲しい」
 などと言われたのだから、使わなければならない。使わないという選択肢はなかった。ただ少し、折れるのが早すぎただけだ。心の整理の着く前に、折れてしまった。どうしようもない気持ちを声にならない声で叫び続けた。
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