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#028 王女奪還計画! F0
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寂れた窓から差し込んでくる朝焼けを。
俺は十分に浴びて、静かなメインストリートの中。
「よしっ! 計画はかなり円滑に進んだな!」
一人、そう言葉を口にしていた。
マデリン奪還計画を開始してから、時間にして6時間後の午前4時。
疲れ切ったのか、俺以外の面子はギルド内で爆睡中といったところだ。
まあ、受付嬢は相変わらずギルドカウンターに居座り、こちらに向かって笑顔で手を振ってくれるのだが。
――受付嬢の労働時間やべえよ。
俺は受付嬢の生命力を深く尊敬するとともに、今日から行う奪還計画に向けての心の準備を整えていた。
マデリン公開処刑まであと7日。
7日目の朝には、王都中央にある王城で彼女の死刑が行われるという。
死刑内容は建前上『国家反逆罪』での火炙りというものらしい。
本当に胸糞悪い。
幸いにも俺たちは貧民街出身のため、マデリンから送られてきた一通の手紙により、事の全貌を知ることが出来た。
まあ、俺はオスカーから聞いたことろによる話が大きいのだが。
で。
現在の王国内は皆が皆マデリンを忌み嫌っているといった状態だ。
街に貼ってある彼女を揶揄する様な悪質なポスターや、度々行われるヘイトスピーチがそれらを裏付けている何よりの証拠だ。
そして何も知らず、知ろうとアクションを起こそうともしない国民共は、この国の王族を、そして勇者を深く深く信仰している。
本当に哀れな奴らだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「はあ~、今日も暑いわね」
「そうねカルちゃん。でも、ここの“あいすくりーむ”という食べ物、今の時期にぴったりだと思わない?」
「アイスクリーム!? 私、天界にいたころからいつかそれを食べてみたいって思ってたのよね~!」
「まあ、あれだけ部屋に引きこもって、地上界グルメのカタログばかり網羅してたら。それは、ね」
朝っぱらから元気に鳴くヒヨドリに起こされて。
たった2時間の睡眠を終えた俺と、これまたたった4時間の睡眠から気持ち良くまぶたを覚醒させた冒険者との喧騒が漂い。
現在俺たち三人は、酒場で朝食を摂っているといった具合だ。
この酒場にアイスクリームが売ってあることに驚いた俺は、額から垂れる汗を拭きつつ杏仁豆腐を注文した。
「やっぱり暑いときはこれに限る」
俺はアイスクリームは嫌いだ。
なので、好物の杏仁豆腐を頼むと。
「“あんにんどーふ”? なんじゃらそりゃ! カルマそれ美味しい?」
「なんじゃらとはなんじゃらカルナさん。ああ、凄く美味しい。お前も食うか?」
なんじゃらって今日び聞かねえな。
とりあえず俺は目をギラギラと輝かせている、好奇心旺盛なカルナの口の元へとスプーンを運ぶと。
「んー。アイスクリームのほうがいい!」
「ま、まあ、人を選ぶ食べ物だからな」
俺にとって、杏仁豆腐は至高のスイーツだが。
地上に来たばかりの女神からすれば、そりゃアイスクリームを取るに決まっている。
俺自身、アイスクリームは好きだったのだが、如何せん胸焼けを起こしやすい。
故に、杏仁豆腐へと浮気を行った。
事実としてあの何とも言えない味が絶妙で、もう俺は彼女の虜なのである。
そんな事を、若干のにやけ顔を浮かべながら思っていると。
「ねえカルマくん。私もあんにんどーふ。食べたいなっ」
「おおエレノア、それならここに置いておいたから」
注文したハニトーを食べ終えたエレノアが、これまたカルナと同じく好奇心旺盛な瞳をしながら言ってきたので。
俺はまだ口の付けていない物を、彼女の近くへと移動させた。
エレノアのやつ、多分俺が口を付けたものとか食べれなさそうだしな。
なんかこう潔癖ってイメージがあるからな。エレノアには。
そう善意から故の発言だったのだが。
「へ、へえ~……。い、いただくと……するわ」
心なしか、物凄く表情のやつれているエレノアが。
そう言い、嫌々ながら杏仁豆腐を咀嚼し始めた。
どういうことだ?
俺、何かエレノアの機嫌を損ねるようなことしたか!?
心の中で、自問自答を繰り返していると。
「バカねカルマ。エレノアったらあなたの食べか…………」
カルナが自信あり気に言おうとしたとき、突如としてエレノアが彼女の口を押さえ始めたのである。
「か、かるちゃん? あまり出過ぎたマネは……しないでね?」
「う…………」
エレノアの尻に敷かれたカルナを眺めながら。
俺は飯を平らげ。
そして。
「よし」
俺は席を立ち、未だに少々眠気の冷めないでいる自らの顔を一叩きして。
「飯は食い終わったようだな。それでは、これから王城へと攻め込むための配置についてもらう。予定は昨晩話し合った通りだ」
そして。
「俺の指示に狂いはない。全員、無事に侵入し終えたら“例のサイン”をしめすこと。いいな?」
「ああ! 俺たちに任せておけ!」
かくして、俺たちは各々のパーティーごとに7つの班に別れて。
冒険者ギルドを後にした。
俺は十分に浴びて、静かなメインストリートの中。
「よしっ! 計画はかなり円滑に進んだな!」
一人、そう言葉を口にしていた。
マデリン奪還計画を開始してから、時間にして6時間後の午前4時。
疲れ切ったのか、俺以外の面子はギルド内で爆睡中といったところだ。
まあ、受付嬢は相変わらずギルドカウンターに居座り、こちらに向かって笑顔で手を振ってくれるのだが。
――受付嬢の労働時間やべえよ。
俺は受付嬢の生命力を深く尊敬するとともに、今日から行う奪還計画に向けての心の準備を整えていた。
マデリン公開処刑まであと7日。
7日目の朝には、王都中央にある王城で彼女の死刑が行われるという。
死刑内容は建前上『国家反逆罪』での火炙りというものらしい。
本当に胸糞悪い。
幸いにも俺たちは貧民街出身のため、マデリンから送られてきた一通の手紙により、事の全貌を知ることが出来た。
まあ、俺はオスカーから聞いたことろによる話が大きいのだが。
で。
現在の王国内は皆が皆マデリンを忌み嫌っているといった状態だ。
街に貼ってある彼女を揶揄する様な悪質なポスターや、度々行われるヘイトスピーチがそれらを裏付けている何よりの証拠だ。
そして何も知らず、知ろうとアクションを起こそうともしない国民共は、この国の王族を、そして勇者を深く深く信仰している。
本当に哀れな奴らだ。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「はあ~、今日も暑いわね」
「そうねカルちゃん。でも、ここの“あいすくりーむ”という食べ物、今の時期にぴったりだと思わない?」
「アイスクリーム!? 私、天界にいたころからいつかそれを食べてみたいって思ってたのよね~!」
「まあ、あれだけ部屋に引きこもって、地上界グルメのカタログばかり網羅してたら。それは、ね」
朝っぱらから元気に鳴くヒヨドリに起こされて。
たった2時間の睡眠を終えた俺と、これまたたった4時間の睡眠から気持ち良くまぶたを覚醒させた冒険者との喧騒が漂い。
現在俺たち三人は、酒場で朝食を摂っているといった具合だ。
この酒場にアイスクリームが売ってあることに驚いた俺は、額から垂れる汗を拭きつつ杏仁豆腐を注文した。
「やっぱり暑いときはこれに限る」
俺はアイスクリームは嫌いだ。
なので、好物の杏仁豆腐を頼むと。
「“あんにんどーふ”? なんじゃらそりゃ! カルマそれ美味しい?」
「なんじゃらとはなんじゃらカルナさん。ああ、凄く美味しい。お前も食うか?」
なんじゃらって今日び聞かねえな。
とりあえず俺は目をギラギラと輝かせている、好奇心旺盛なカルナの口の元へとスプーンを運ぶと。
「んー。アイスクリームのほうがいい!」
「ま、まあ、人を選ぶ食べ物だからな」
俺にとって、杏仁豆腐は至高のスイーツだが。
地上に来たばかりの女神からすれば、そりゃアイスクリームを取るに決まっている。
俺自身、アイスクリームは好きだったのだが、如何せん胸焼けを起こしやすい。
故に、杏仁豆腐へと浮気を行った。
事実としてあの何とも言えない味が絶妙で、もう俺は彼女の虜なのである。
そんな事を、若干のにやけ顔を浮かべながら思っていると。
「ねえカルマくん。私もあんにんどーふ。食べたいなっ」
「おおエレノア、それならここに置いておいたから」
注文したハニトーを食べ終えたエレノアが、これまたカルナと同じく好奇心旺盛な瞳をしながら言ってきたので。
俺はまだ口の付けていない物を、彼女の近くへと移動させた。
エレノアのやつ、多分俺が口を付けたものとか食べれなさそうだしな。
なんかこう潔癖ってイメージがあるからな。エレノアには。
そう善意から故の発言だったのだが。
「へ、へえ~……。い、いただくと……するわ」
心なしか、物凄く表情のやつれているエレノアが。
そう言い、嫌々ながら杏仁豆腐を咀嚼し始めた。
どういうことだ?
俺、何かエレノアの機嫌を損ねるようなことしたか!?
心の中で、自問自答を繰り返していると。
「バカねカルマ。エレノアったらあなたの食べか…………」
カルナが自信あり気に言おうとしたとき、突如としてエレノアが彼女の口を押さえ始めたのである。
「か、かるちゃん? あまり出過ぎたマネは……しないでね?」
「う…………」
エレノアの尻に敷かれたカルナを眺めながら。
俺は飯を平らげ。
そして。
「よし」
俺は席を立ち、未だに少々眠気の冷めないでいる自らの顔を一叩きして。
「飯は食い終わったようだな。それでは、これから王城へと攻め込むための配置についてもらう。予定は昨晩話し合った通りだ」
そして。
「俺の指示に狂いはない。全員、無事に侵入し終えたら“例のサイン”をしめすこと。いいな?」
「ああ! 俺たちに任せておけ!」
かくして、俺たちは各々のパーティーごとに7つの班に別れて。
冒険者ギルドを後にした。
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