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学校に行ったら、知人がやたらと居ました。2
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「唯…?」
「ん?月雪さんどうかした?さっきもぼーっとしてたし、大丈夫?保健室一緒に行こっか?」
「あっいや、ごめん。なんでもないよ。」
そっかー、何かあったら言ってね。
と、前世に違わず彼女は持ち前の優しさを発揮する。
小さな声だった為、聞こえなかったようだ。
「それで…クラス委員って言うのは…?」
「あ、聞いてなかった?」
「ご、ごめん」
「ううん!大丈夫だよー。確かに入学式肩凝るもんねぇ。私も司君の答辞しか聞いてないもん。」
「赤羽君と知り合いなの?」
「うん。家が近くてね。幼馴染なんだ。あ、ほらクラス委員ってさ、面倒くさいから、皆やりたがらないじゃん?それで月雪さんぼーっとしてたから押し付けられちゃったんだと思うよ」
確かにぼーっとしてた私が悪いが、だからといって押し付けないで欲しい。
こちとら生まれ変わったばかりだ。大体のことば前世と変わらないし、私も一応読み書きや勉強は出来るが、其れでもわからない事が多い。
大丈夫なのだろうか。
「そ、そっか。えっと、それでどうすれば…」
「あ、じゃあ私先生にクラス委員の報告して来るから、月雪さん先に帰ってていいよ。大丈夫!一緒に頑張ろうね!あ、後でライン交換しよ!」
「…うん。ありがとう」
唯とラインを交換する約束をしてから、今の自分のクラスから出る。流石にラインは知っている。前世でもかなりお世話になった。特にあの既読という機能。あれは素晴らしい。そんな事を考えながら、階段を下りて下駄箱で靴に履き替える。
唯と話している間に皆帰ってしまったようで、学校にはもう殆ど人の気配はない。
校門から出て、自分の家に向かって一人で歩く。
家まで後五十メートルと言ったところだろうか。
私はどうも、昔から下を向いて歩く癖がある。
姿勢も悪いし、首も痛めるという二重苦なのだが、昔から直らない。意識すれば直るのだが、意識しなければずっとそのままだ。
…でも、今日ほど、意識すれば良かったと思った日はなかった。
ぽたっ
透明な液体が一粒、目から落ちて、アスファルトの地面に染み込んでいく。
雨と思いたかったけど、其れは間違いなく私の目から落ちて行ったもので。
もしも私が前を向いて歩いていたならば、この涙に、気づかずに済んだのだろうか。
…一人になると、気が緩む。その言葉は、本当に正しい。先程まで必死で我慢していた感情が、一粒の涙によって、溢れ出してくる。
目からどんどん、次から次に、涙が溢れ出て来て、アスファルトの地面に染み込んでいく。
傍から見れば一人の少女が道端で蹲って泣いているという結構不思議な光景だが、此処は閑静な住宅地。人通りは少ない。
月雪さん。その呼び方が、とてもかなしかった。
当たり前だ。何も覚えていないのだから。
だからかなしかった。
だって、唯はもう、もう何も覚えていない。
初めてあった時に、飴をくれたことも。
仲良くなって、一緒にクレープを食べに行ったことも。
二人で初めて任務を受けて、驚く程息が合ったことも。
其れから、相棒と呼ばれるようになった事も。
義父さんや千尋さんでさえ無理だった私の料理を、完食してくれた事も。
冷え性な私の布団で、一緒に寝たことも。
全部、全部、全部、
あなたが私にくれた記憶なのに。
あなたは全て、忘れてしまった。
「っ、うっ、ふっ…くっ、うぇっ、…っ…!いや…!」
「…何で…!忘れ、ないで…!」
「おい大丈夫か?何でこんな家の前で泣いてんだ?」
「え、本当に蓮華居るの?千尋の嘘じゃないんだ。ていうか大丈夫?」
千尋さんと聞いたことのある男性の声。
思わず涙でぐちゃぐちゃになってしまった顔をあげる。
千尋さんの横に立っていたのは、藍色の髪をしたこれまたカッコいいと言うよりは美しく儚げ男性。
「あ、学校で会ったから取り敢えず連れてきたわ。記憶はあるらしい。」
「よっ。奏藍だよー」
「…マジか」
知り合いが更に増えました。
「ん?月雪さんどうかした?さっきもぼーっとしてたし、大丈夫?保健室一緒に行こっか?」
「あっいや、ごめん。なんでもないよ。」
そっかー、何かあったら言ってね。
と、前世に違わず彼女は持ち前の優しさを発揮する。
小さな声だった為、聞こえなかったようだ。
「それで…クラス委員って言うのは…?」
「あ、聞いてなかった?」
「ご、ごめん」
「ううん!大丈夫だよー。確かに入学式肩凝るもんねぇ。私も司君の答辞しか聞いてないもん。」
「赤羽君と知り合いなの?」
「うん。家が近くてね。幼馴染なんだ。あ、ほらクラス委員ってさ、面倒くさいから、皆やりたがらないじゃん?それで月雪さんぼーっとしてたから押し付けられちゃったんだと思うよ」
確かにぼーっとしてた私が悪いが、だからといって押し付けないで欲しい。
こちとら生まれ変わったばかりだ。大体のことば前世と変わらないし、私も一応読み書きや勉強は出来るが、其れでもわからない事が多い。
大丈夫なのだろうか。
「そ、そっか。えっと、それでどうすれば…」
「あ、じゃあ私先生にクラス委員の報告して来るから、月雪さん先に帰ってていいよ。大丈夫!一緒に頑張ろうね!あ、後でライン交換しよ!」
「…うん。ありがとう」
唯とラインを交換する約束をしてから、今の自分のクラスから出る。流石にラインは知っている。前世でもかなりお世話になった。特にあの既読という機能。あれは素晴らしい。そんな事を考えながら、階段を下りて下駄箱で靴に履き替える。
唯と話している間に皆帰ってしまったようで、学校にはもう殆ど人の気配はない。
校門から出て、自分の家に向かって一人で歩く。
家まで後五十メートルと言ったところだろうか。
私はどうも、昔から下を向いて歩く癖がある。
姿勢も悪いし、首も痛めるという二重苦なのだが、昔から直らない。意識すれば直るのだが、意識しなければずっとそのままだ。
…でも、今日ほど、意識すれば良かったと思った日はなかった。
ぽたっ
透明な液体が一粒、目から落ちて、アスファルトの地面に染み込んでいく。
雨と思いたかったけど、其れは間違いなく私の目から落ちて行ったもので。
もしも私が前を向いて歩いていたならば、この涙に、気づかずに済んだのだろうか。
…一人になると、気が緩む。その言葉は、本当に正しい。先程まで必死で我慢していた感情が、一粒の涙によって、溢れ出してくる。
目からどんどん、次から次に、涙が溢れ出て来て、アスファルトの地面に染み込んでいく。
傍から見れば一人の少女が道端で蹲って泣いているという結構不思議な光景だが、此処は閑静な住宅地。人通りは少ない。
月雪さん。その呼び方が、とてもかなしかった。
当たり前だ。何も覚えていないのだから。
だからかなしかった。
だって、唯はもう、もう何も覚えていない。
初めてあった時に、飴をくれたことも。
仲良くなって、一緒にクレープを食べに行ったことも。
二人で初めて任務を受けて、驚く程息が合ったことも。
其れから、相棒と呼ばれるようになった事も。
義父さんや千尋さんでさえ無理だった私の料理を、完食してくれた事も。
冷え性な私の布団で、一緒に寝たことも。
全部、全部、全部、
あなたが私にくれた記憶なのに。
あなたは全て、忘れてしまった。
「っ、うっ、ふっ…くっ、うぇっ、…っ…!いや…!」
「…何で…!忘れ、ないで…!」
「おい大丈夫か?何でこんな家の前で泣いてんだ?」
「え、本当に蓮華居るの?千尋の嘘じゃないんだ。ていうか大丈夫?」
千尋さんと聞いたことのある男性の声。
思わず涙でぐちゃぐちゃになってしまった顔をあげる。
千尋さんの横に立っていたのは、藍色の髪をしたこれまたカッコいいと言うよりは美しく儚げ男性。
「あ、学校で会ったから取り敢えず連れてきたわ。記憶はあるらしい。」
「よっ。奏藍だよー」
「…マジか」
知り合いが更に増えました。
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