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壊れた玩具と伝説の狼1-4

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海月の剣幕に気圧されつつも、セイラは思わず思った。
(『ものすっごい』って二回言った・・・)
それから、美しい海月がアヤに対して全く恋心を持っていない様子に、心から安心もした。
(でも、やっぱり何だか、あまりにも気心を知り合ってい過ぎる気もする)
ポンポンと、テンポよく本気の喧嘩と見まごうばかりの罵詈雑言を言い合う二人の様子は、まるで兄弟や仲の良い親友の様にも見えて、少し妬けた。
「あの、まさか、二人は昔恋人かん「やめてよ!狼なんて、考えただけでもぞっとする!」」
「そうだぞセイラ!狼は一夫一妻だ!浮気を疑うとはひどいぞ!
 しかも、いうに事欠いてこんな節操無の色情狂しきじょうきょうなんか!」
セイラは二人の過去を心配しすぎて、堪えきれず、海月とアヤを交互に見ながら二人に問いかけたが、質問を言い切る前に二人に全力で否定された。
二人のあまりの剣幕に煽られて、セイラは今度こそおされて、言葉を失った。
(でも、なんだか夫婦並みに息が合ってる様にも見えるんだけど・・・)
心配が表情ににじみ出ていたセイラを見て、海月は溜息を着きながら狼を嫌がる理由を離した。
「この山はね、代々、狼が山の王になる事が多いのさ、中にはアヤみたいに人間に恋をして、その人と番になりたいが為に山の王になる事を選んだ狼もいる。
 私はね、何代か前の山の王の番とすこし仲が良くてね、殺されかけたんだ。
 私がソイツの番も私のハーレムに加えようとしていると勘違いしてね!
 アイツ本気で私を殺そうとしてたよ、まったく、手も握っていないのに、とんだ濡れ衣だったよ」
よほど嫌な記憶なのだろう、海月は同じ王では無いのにアヤを睨みつけながら言った。

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