ブルースプリングファイヤーモンキー

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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ナイトメア

ナイトメア27

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そういえば、今の会社に就職を希望する切っ掛けになったのだって、再就職活動中休憩の為にたまたま寄ったネットカフェで、雑誌で特集されていたこの会社の記事を読んだからだった。
そういう記事を読める程度の国語力が無かったら、今頃ケンはどんな仕事にありついていたのだろうか・・・。
男性日雇い労働者が集まるドヤ街にでも流れ着ければまだ良い方かも知れない。
普通高校卒業という学歴では、就職試験の申込みすら出来ない会社がほとんどだ。
ケンは小柄だからなおさら少ない、土木系だって大手の直接雇用等良い所は、大卒の元運動部が人脈伝ってかっさらっていく。
「ホント、あの時偶然マンキツで見た会社の広告が無かったら、俺、今頃浮浪者の仲間入りしてたかもしんねぇんだよなー」
ケンは今日の部屋の荷物を運び出しながら、秋晴れの空を見上げて思わず呟いた。
11月の気温は、あの夏の命の危険を感じるほどの蒸し暑さなど、気配すら残されていない。
風が吹けば肌寒く、冬の訪れがもうすぐだと知らせてくれていた。
「何、井戸守君、ネットカフェで会社の求人広告見てウチ来たの?」
ケンのつぶやきを聞きつけて、仕事仲間の榎木が話しかけて来た。
5年先輩の榎木だった。
親しくは無いけれど、恐妻家で愛妻家の気のいいオジサンで、仕事の相性がいいせいかよく現場が一緒になる。
今年50歳になる。元ビル建設の工事の現場についてた人で体力も筋力もある頼れる人だ。
「はい、求人広告じゃなかったんですけど、何か雑誌で特集されてて。
 それまで俺、特殊清掃なんて仕事知らなかったんです。
 で、会社のホームページを何となくそのままチェックしたら、求人情報ページがあったのを見つけて、その足で履歴書ポストに入れました」
「あはははは凄い行動力だね」
「いつもだったらそんな事しなかったと思います。
 あの時は面接行く直前にキャンセル喰らって落ち込んでて、何かマジックかかってたんですよ」
「あははははは」
榎木は、快活に笑って段ボールに詰め込んだ荷物を、会社のトラックの荷台に詰め込んで行った。
 元バレーボール選手という経歴を持つ榎木は、大柄な割にフットワークも軽い。
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