ブルースプリングファイヤーモンキー

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

文字の大きさ
46 / 50
ナイトメア

ナイトメア32

しおりを挟む
ケンは佐藤との距離感をもうちょっと調整しよう、と心に決めた。
無性にセックスしたくなって、明後日の休みには例のバーに行こうと心に決めた。
今日の仕事は事務所に帰ってからが大変だった。
この季節にしては珍しくゴキブリが二匹も棚の隙間から出現したのだ、事務所は大騒ぎになった。
事務方じむかたの女性社員が悲鳴を上げて逃げまどい、現場メンバーがスリッパや虫叩きを手にしてゴキブリを追い回し、大捕り物が始まってしまった。
「なんだぁ!?なんでこんな季節にゴキが出るんだ!?
 誰か砂糖でも撒いたか!?
 オイ!外川!そっちいった」
「いやぁぁぁ!こっちこないでぇ!」
「オーライ!」
スパァン!と子気味の良い音が何度も事務所の中で鳴り響いた。
「砂糖もコーヒーに入れる分には上手いんだがな!
 床にまいちゃダメだろ!
 あかんあかん!」
「撒いてません!私たち」
「すまん君らの事じゃない」
「うわ、こっち来た!」
「害虫天誅!でやあぁぁぁ!」
事務所は虫二匹の為に、大混乱になった。
捕り物は十数分続いた。
騒ぎが終わる頃には、ケンも名前で佐藤にからかわれた事はすっかり忘れていた。
社長の差し入れのジュースを飲みながら軽く依頼者に渡す荷物の選別をして、帰る頃には8時を回っていた。
いつものように仲間に挨拶をして自転車にまたがり、今度こそ自分の住処に向かった。
冬の夜空は星がきれいで、オリオン座唯一の一等星、リゲルが美しく輝いていた。
ケンは自転車を思い切り漕いで帰り道を急いだ。
冷たい風を頬に受けながら、それでもケンの体温が上がっていく。
ふと、車の中でからかわれた、名前の由来の話を思い出してしまった。
ケンの名前は父親が付けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

酔いのわけは

立樹
BL
同僚たちと飲みに行くと、同期の中田が酔いつぶれた。 仕方なく、酔った彼を家に連れ帰ることになった。

恋と脅しは使いよう

makase
BL
恋に破れ、やけ酒の末酔いつぶれた賢一。気が付けば酔っぱらいの戯言を弱みとして握られてしまう……

素直じゃない人

うりぼう
BL
平社員×会長の孫 社会人同士 年下攻め ある日突然異動を命じられた昭仁。 異動先は社内でも特に厳しいと言われている会長の孫である千草の補佐。 厳しいだけならまだしも、千草には『男が好き』という噂があり、次の犠牲者の昭仁も好奇の目で見られるようになる。 しかし一緒に働いてみると噂とは違う千草に昭仁は戸惑うばかり。 そんなある日、うっかりあられもない姿を千草に見られてしまった事から二人の関係が始まり…… というMLものです。 えろは少なめ。

カフェ・コン・レーチェ

こうらい ゆあ
BL
小さな喫茶店 音雫には、今日も静かなオルゴール調のの曲が流れている。 背が高すぎるせいか、いつも肩をすぼめている常連の彼が来てくれるのを、僕は密かに楽しみにしていた。 
苦いブラックが苦手なのに、毎日変わらずブラックを頼む彼が気になる。 今日はいつもより温度を下げてみようかな?香りだけ甘いものは苦手かな?どうすれば、喜んでくれる? 「君の淹れる珈琲が一番美味しい」
苦手なくせに、いつも僕が淹れた珈琲を褒めてくれる彼。 照れ臭そうに顔を赤ながらも褒めてくれる彼ともっと仲良くなりたい。 そんな、ささやかな想いを込めて、今日も丁寧に豆を挽く。 甘く、切なく、でも愛しくてたまらない―― 珈琲の香りに包まれた、静かで優しい記憶の物語。

攻められない攻めと、受けたい受けの話

雨宮里玖
BL
恋人になったばかりの高月とのデート中に、高月の高校時代の友人である唯香に遭遇する。唯香は遠慮なく二人のデートを邪魔して高月にやたらと甘えるので、宮咲はヤキモキして——。 高月(19)大学一年生。宮咲の恋人。 宮咲(18)大学一年生。高月の恋人。 唯香(19)高月の友人。性格悪。 智江(18)高月、唯香の友人。

発情期のタイムリミット

なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。 抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック! 「絶対に赤点は取れない!」 「発情期なんて気合で乗り越える!」 そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。 だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。 「俺に頼れって言ってんのに」 「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」 試験か、発情期か。 ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――! ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。 *一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。

さよならの合図は、

15
BL
君の声。

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

処理中です...