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黒の騎士1
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ウロボロス戦闘部門第一騎士団団長ガルゴ、十七年前、ウロボロスによって保護された獣人の大男だ。当時は未だ視力も定まらない幼い子供の獣人だった。
ガルゴが飼育されていたのは、人権を無視して獣人の掛け合わせを作っているいわゆる『闇ギルド』とか『違法魔道研究所』などと呼ばれる所で、発見された時のガルゴは、強すぎた為失敗作として扱われていた。
衰弱死させるために碌な食事も与えられず、いつ死んでもおかしくない酷い状況だったという。
研究していた施設から保護され、一旦は施設に引き取られたものの、物理戦闘に特化した掛け合わせの被検体だった己の身体能力に物を言わせ若干十二歳にしてウロボロス騎士団に就職し、着々と成果を上げて二十七歳という若さで団長にまで上り詰めた剛の者である。
しかもウロボロスに入った理由が命の恩人に一目会いたいから、と言うのだからそんな理由で志願するのもどうかと思うが採用する方もする方である。
戦場での通り名は『黒の騎士』。
見た目から来た呼び名だ。
ガルゴの見た目は黒豹の獣人の特徴がほぼ全面に出ており、黒い体に黒い団長服で黒い鎧、唯一ローブの内側だけが血を吸ったように紅く、戦闘時の敵軍には『黒い悪魔』とも呼ばれる事が有る。
が、そんな威厳は露ほども見せず、今日も今日とてガルゴはサナリアの研究室の一角に置いてあるソファーを陣取り、仮眠を貪っていた。
光沢のある真っ黒な毛は光の加減で美しいレオパードが浮かび上がる、鍛え抜かれた二メートルは越そうかという巨体が寝息に合わせて静かに胸を上下させていた。
見事な金糸の刺繍の施された黒い団長服は、数々の死線を幼いころから潜り抜けて来た事で着いた迫力を持つガルゴに良く似合っていた。
サナリアが泊まりになった時にベッドにするために買った大きなソファーもガルゴが寝ると子供のベッドに大人が無理やり寝ているみたいに窮屈そうに見えた。
男が恋愛対象の者なら十人が十人魅力的だと言うだろう、間違いなくガルゴは偉丈夫だ。
現に、ガルゴは十八の頃から二十七になるまで恋人が居ない時が殆ど無かった。
ただし、その掛け合わせによって作られた規格外の体の形状と、無尽蔵な体力が原因で長くて一年弱、最短その日の内に捨てられているが。
平素の時は理性でねじ伏せている性欲も、年、最低一回は来る発情期に入ると抑えが効かず、無制限に貪って相手に切れられて捨てられるのだ。
その度に年上の団員達に揶揄いつつも慰めてもらうのは最早第一騎士団の恒例行事となっていた。
団長になってからは、諦めて遊びの付き合いしかしないでいたら相手が本気になってしまい、修羅場になってそれ以来恋愛からは遠ざかっている。
元々用心深い質な上、油断していると恋人立候補者に囲まれるので人前で昼寝なんてめったにしないガルゴ、そんなガルゴの寝顔というレアな物が直ぐ側に有るにも関わらず、実験机ではサナリアが後ろで眠る大男を気にも留めず実験に没頭していた。
ガルゴがサナリアの研究室で仮眠を取る様になった事の始まりは、偶然の出来事だった。
先に述べたガルゴの遊びの結果、本気になってしまった者達がウロボロス内で修羅場を繰り広げ、追い回されたガルゴがサナリアの研究室に窓から偶然飛び込んで来たのだ。
もちろんサナリアは直ぐに魔術で追い出そうとしたが、銀貨二枚払うというガルゴの申し出により黙認した。
以来、サナリアの人間嫌いのおかげで全く人が寄り付かないサナリアの研究室はガルゴの隠れ家となったのだ。むろんその度銀貨二枚支払っている。
しかも、都合の良い事にサナリアは他の者みたいにガルゴに言い寄らない、変な色目を使って来ない、断ったとたんに逆上して嫌がらせしてくる恐れも無い、非常に居心地がいい。
おまけにサナリアの研究室はガルゴにとって、懐かしくも安心する匂いがするのだ。
ガルゴが飼育されていたのは、人権を無視して獣人の掛け合わせを作っているいわゆる『闇ギルド』とか『違法魔道研究所』などと呼ばれる所で、発見された時のガルゴは、強すぎた為失敗作として扱われていた。
衰弱死させるために碌な食事も与えられず、いつ死んでもおかしくない酷い状況だったという。
研究していた施設から保護され、一旦は施設に引き取られたものの、物理戦闘に特化した掛け合わせの被検体だった己の身体能力に物を言わせ若干十二歳にしてウロボロス騎士団に就職し、着々と成果を上げて二十七歳という若さで団長にまで上り詰めた剛の者である。
しかもウロボロスに入った理由が命の恩人に一目会いたいから、と言うのだからそんな理由で志願するのもどうかと思うが採用する方もする方である。
戦場での通り名は『黒の騎士』。
見た目から来た呼び名だ。
ガルゴの見た目は黒豹の獣人の特徴がほぼ全面に出ており、黒い体に黒い団長服で黒い鎧、唯一ローブの内側だけが血を吸ったように紅く、戦闘時の敵軍には『黒い悪魔』とも呼ばれる事が有る。
が、そんな威厳は露ほども見せず、今日も今日とてガルゴはサナリアの研究室の一角に置いてあるソファーを陣取り、仮眠を貪っていた。
光沢のある真っ黒な毛は光の加減で美しいレオパードが浮かび上がる、鍛え抜かれた二メートルは越そうかという巨体が寝息に合わせて静かに胸を上下させていた。
見事な金糸の刺繍の施された黒い団長服は、数々の死線を幼いころから潜り抜けて来た事で着いた迫力を持つガルゴに良く似合っていた。
サナリアが泊まりになった時にベッドにするために買った大きなソファーもガルゴが寝ると子供のベッドに大人が無理やり寝ているみたいに窮屈そうに見えた。
男が恋愛対象の者なら十人が十人魅力的だと言うだろう、間違いなくガルゴは偉丈夫だ。
現に、ガルゴは十八の頃から二十七になるまで恋人が居ない時が殆ど無かった。
ただし、その掛け合わせによって作られた規格外の体の形状と、無尽蔵な体力が原因で長くて一年弱、最短その日の内に捨てられているが。
平素の時は理性でねじ伏せている性欲も、年、最低一回は来る発情期に入ると抑えが効かず、無制限に貪って相手に切れられて捨てられるのだ。
その度に年上の団員達に揶揄いつつも慰めてもらうのは最早第一騎士団の恒例行事となっていた。
団長になってからは、諦めて遊びの付き合いしかしないでいたら相手が本気になってしまい、修羅場になってそれ以来恋愛からは遠ざかっている。
元々用心深い質な上、油断していると恋人立候補者に囲まれるので人前で昼寝なんてめったにしないガルゴ、そんなガルゴの寝顔というレアな物が直ぐ側に有るにも関わらず、実験机ではサナリアが後ろで眠る大男を気にも留めず実験に没頭していた。
ガルゴがサナリアの研究室で仮眠を取る様になった事の始まりは、偶然の出来事だった。
先に述べたガルゴの遊びの結果、本気になってしまった者達がウロボロス内で修羅場を繰り広げ、追い回されたガルゴがサナリアの研究室に窓から偶然飛び込んで来たのだ。
もちろんサナリアは直ぐに魔術で追い出そうとしたが、銀貨二枚払うというガルゴの申し出により黙認した。
以来、サナリアの人間嫌いのおかげで全く人が寄り付かないサナリアの研究室はガルゴの隠れ家となったのだ。むろんその度銀貨二枚支払っている。
しかも、都合の良い事にサナリアは他の者みたいにガルゴに言い寄らない、変な色目を使って来ない、断ったとたんに逆上して嫌がらせしてくる恐れも無い、非常に居心地がいい。
おまけにサナリアの研究室はガルゴにとって、懐かしくも安心する匂いがするのだ。
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