魔獣の姫に黒の騎士

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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パレード11

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真っ白に燃える熱線は、真昼のごとく辺りを照らしながらガルゴの口から10秒ほど放たれ続け、ふつリ、と終わった。
銃を構えていた男が、左肩を熱線に構えていた銃ごと焼き飛ばされ、叫ぶ間もなく白目を剝いてその場に崩れ落ちる。辺りが静寂に包まれた。
逃げ惑っていた観客も、襲撃してきている金色の螺子も、ウロボロスのメンバーも、呆気にとられてガルゴを見つめている。熱線を吐いたガルゴ当人でさえ呆気に取られてへたり込んでいた。
それもそのはずだ、この世に、炎を吐く獣人は居ない。
炎を吐ける知能が有る生きものはドラゴンだけだ。他に炎を吐く生き物と言ったら本能だけて生きている数種類の魔獣位、ガルゴはそのどちらでもない。
最初に正気を取り戻し始めたのはやはり戦場慣れしている騎士団と怪奇現象慣れしているウロボロス諜報部と魔道部の人間だった。
『火だ』『火だよな』『今、ガルゴ団長が火柱吐いたよな』『見間違い?』『イヤイヤだって目の前に肩吹き飛ばされた男転がってるし』『あ。アパートメントの屋上がちょっと削れてる』『ガルゴ団長ってドラゴンの血でも混ざってんの?』『バカ言え、ドラゴンの血は混ざらねぇだろ。』とかヒソヒソと話始めている。蛇足だが、この世界にドラゴンの獣人というモノは居ない、ドラゴンは人との間に子を生す事は出来るが、その血は他種族とは混ざらない。子は夫婦のどちらかの特徴しか受け継がない、だからドラゴンの獣人というモノは居ない。
そうこうしている内に、ガルゴの鼻先でチカチカと何か細かい光が湧き出で始めた。
その光は次第にガルゴの鼻先に集まってゆき、魔法陣の形を作った。
特徴的な魔法陣だったが、戦場や任務で様々な魔法展開を見て来たガルゴでも、今まで一度も見た事の無い魔法陣だった。
幾重にも重なる丸い輪と輪の間に、何語かも分からない文字が並んで音もなくゆっくりと周回している。
重なる輪は立体的にも重なており、文字も波を立てる様に輪と輪の隙間を縫って回っている。魔法陣の一番内側に、水晶玉の様な透明な球体が有り、その中に、一輪の真っ黒な百合の花が浮かんでいた。
黒い百合には覚えがある。『私の可愛いリリィ。リリィ・ブラック』懐かしい声がガルゴの脳裏に蘇った。
「魔道士・・・・・」
ガルゴの口から言葉が漏れ出ると同時に、魔法陣がパッっとはじけてキラキラとした粒子となって散り、その光の粒子は小さな竜巻の様に回りながら集まり、一人の子供が現れた。
子供はガルゴに背を向けて立っている。夕日の紅で出来た様な深紅の長い髪がさらりと揺れた。
辺りをキョロキョロと見まわしながら、両手の甲を腰の横に当て立っている。どうやら怒っている様だ。
懐かしい、高く澄んだ声が、子供の方から聞こえて来た。
「誰だい!?僕の大事なリリィを虐めたのは!!!」
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