魔獣の姫に黒の騎士

すずひも屋 小説:恋川春撒 その他:せつ

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サナリア・アルテミナとリリィ・ブラック7

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「―――――じゃ、何ですか?。あなた方本当は長年離れ離れになった恋人同士だったって事ですか?。」
サナリアのうろんな問いかけに無邪気に二人はコクコクと何度も頷いた。
「夢の中で会ったのは本当です。何年かぶりの本当に熱い逢瀬でした。有難うございます。」
『・・・・おかしいな。悪夢を作ったハズなのに・・・・。』マスクの中で首を傾げるサナリアを他所に二人は語り続ける。
「夢の中とは言え、肌を重ねてしまったらもう無理でした。私はこの人無しでは生きていけない。」
ガゼルがしっとりとダミアンにしな垂れた。
「そこで夢の中で二人で話合ったのです。祭り明けの最初の戦でお互い先頭にたって開戦の宣言をする。その時にお互い合言葉を言ってそれが合ったら何もかも放りだして駆け落ちしようと。夢で一目惚れしたという言い訳にしたのはその方が皆が納得すると思ったからです。異常事態って何が不思議な事が原因だと何となく他人は納得するじゃないですか。」
と呑気に笑う二人を前にサナリアは左手の指先で眉間を押さえて一応聞いた
「ちなみに、合言葉は?」
「「愛してる。」」
「ほっとんどデキレースじゃ無いですか!。」
異口同音で答えた二人にサナリアは『そんな恋人同士が会ったら絶対口にする単語!申し合わせ無くても口から出でるじゃないですか!。貴方達結局その夢が片方だけの夢落ちでも駆け落ちする気満々じゃないですか』と律儀に突っ込んだ。
「私達が子供を欲しがるのは思いつきか何かかとお思いでしたか?。」
サナリアは返答に窮したが、二人は笑って流してくれた。
「むしろ、長年の願いなのです。諦めていた願いでしたが、ここに万能と歌に聞いたラメシャンのブラックリリィの名を持つ王子が居ると聞いて、思わず微かな希望を持ってしまいました。何ともお恥ずかしい限りです。男同士で子供が出来るなんて、そんなうまい話し有るわけな、しかし、長年焦がれた愛しい人は手に入った。今はこの幸運を逃さない様気を付けます。」
「当然です。女体化ならともかく。」
「はははは、そうですよね、失礼いたしました。本日はお時間を頂き有難うございました。それでは私たちはこれで・・・・・・・・・・・・・・・・ん?。」
ダミアンが頭を掻いてガゼルをエスコートして出て行こうとし、振り返る。
ガゼルも遅ればせながらサナリアの言葉に気が着いて振り向いた。
「あの・・・・ウロボロスの魔導士殿、今何と?。」
亡国の王と言わず、ウロボロスの魔導士と言われ、サナリアは少々気分を良くした。
「子供を魔法で作る事は出来ませんが、女体化、と言うか、男の体に一時的に子供が作れる機能を付与する事なら出来ると言ったのです。一年間位なら授乳させる事も可能ですよ。」
「・・・そ。」
ガゼルの両目に涙が浮かぶ。
「ここに来る前に機関支部長から何故か人体治療の為の臓器培養許可証を無理やり渡されました。変ですよね、これ、健康体の人間に臓器付与するなんて、普通許可が下りるのに本部最高幹部の承認まで支部長名義で採らなきゃいけないのでどんなに異例行為をしても二日は掛かるはずなんです。何で今日私の手元に届くんですかね!?」
ピラリ。サナリアが片手でその許可証を広げてせる。ガルゴがサナリアに張り付いたままその証書を覗き込む。
「本物だな。」
というと、サナリアは若干切れ気味に
「ホンット!デキレースじゃないですか!。」
と言って空いてる手で握りこぶしを作って机を叩いた。
流石にガルゴがガハハと笑った。
子供を孕むのはダミアンが名乗りを上げた。
サナリアには少々以外だったが、二人には当然の話だったみたいで、ガゼルはクリーム色の肌をピンクに染めて、『俺がしっかり守ってやるからな』とか言いながら二人は難民居住区に帰って行った。
二人が出て行った応接室で、ガルゴがボソリと言った。
「幹部の子供どころか孫までいたんじゃ『王国』党も『民主』党もこの街には絶対手ぇ出せなくなるな。」
「上層部の狸共が!騒ぎに乗じて画策したき決まってます!。私の情報を二人に流したのはきっとウチの諜報部の人間ですよ。」
支部長へ報告に行くと、遠見鏡で様子を既に見ていた支部長が笑い死にしそうになりながら執務机に倒れ込んでピクついていた。
未だ笑い過ぎてヒーヒー言っている機関支部長にサナリアは
「この狸ジジイ!、何処までがアンタの仕込みですかぁぁ!」
っと詰め寄ったがゲラゲラ笑ってるだけで何も教えて貰えなかった。

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