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ルークの初恋 2-12

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抱かれた時の感覚を知っているから、金や権力で性を買う奴がどんな風に買った者を抱くか知っているから、絶対にそれを『良い』だなんて言えなかった。
あんなのは、セックスなんかじゃない。ただの暴力だ。
たとえ、この国の国民の生活がかかっていても、と、シャルレに抱かれて快感に濡れた瞳に、それでも嫉妬の炎をともして頑として言い張った。
ルークの燃える様な視線に煽られて、シャルレの動きも加速していく、
肌のぶつかり合う音と鏡台に置かれた化粧品の小瓶がぶつかる音、二人の荒い息使いと、時折漏れる喘ぎ声が楽屋を満たした。
「ジェイド・・!もう、イク!また。あぁっ」
ルークがイッた瞬間、シャルレは自分のモノを引き抜いて、ルーク目掛けて吐精した。
頭からかけられてビックリして振り向いたルークに、シャルレがさらにパシャリと自分の精液を掛けた。
初めての事だった。
今まで背中や腹にすこし掛けられる事は有っても、射精した精液を直接頭からかけられる事なんて無かった。
シャルレの表情からは、ルークを見下す様な感情は感じない、息を切らして、むしろいつにも増して切羽詰まった様にすら見える。
「ごめん、自分でもなんでやったのか分からないの・・・」
先に口を開いたのはシャルレだった。
自分でも驚きながら謝っていた。
謝る口とは裏腹に、シャルレの指はルークの顔面に掛かった精液をさらに塗りこめている。そのおかしな行動から、ルークはシャルレが今夜の仕事をどれだけ嫌悪しているのか悟った。
「アイツとのセックスでイキたくない・・・」
シャルレが再びポツリと言った。
いつも勝気なシャルレが珍しく吐いた弱音だった。

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